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ランナーズonline

「ゲイター」「タイツ」「アームスリーブ」新商品続々! 着圧アイテムはマラソンに効くのか!?

2026年10月27日

※本記事は『ランナーズ2026年12月号』掲載内容になります。(全6ページ/1ページ目)



タイツ、カーフスリーブ、アームスリーブ――。レース会場では当たり前になった着圧アイテム。速くなりたい、疲れたくない、故障したくない。ランナーが着圧に託す期待は大きい。では実際、その効果はどこまで期待できるのか。研究者、トップランナー、市民ランナーの声から探った。

写真/軍記ひろし、ランナーズ編集部
協力/スーパースポーツゼビオ東京御茶ノ水本店


この記事で分かること

・科学的視点からの着圧アイテムの効果
・ランナーが着圧アイテムを使う理由(ロンドン五輪代表・藤原新さんも登場)
・進化する最新の着圧アイテムとトレンド解説


先生、着圧アイテムって効果ありますか?

ランナーにとって着圧アイテムのメリットは? 前ページでモデルを務めているランナーズ編集部員須河(着圧使用歴10年、フル2時間11分46秒)が、着圧アイテム(コンプレッションウエア)を研究する水野沙洸先生にランナーが気になる疑問をぶつけた。


編集部・須河宏紀さん

編集部・須河宏紀
元実業団選手、プロランナーで、2019年延岡西日本マラソン優勝。35歳。


水野沙洸さん

水野沙洸(みずの・さひろ)
日本女子体育大学附属基礎体力研究所講師。博士(スポーツ健康科学)。1991年生まれ。高校~大学時代はボート競技の団体種目で2009年インターハイ3位、11年全日本新人選手権2位。立命館大学大学院スポーツ健康科学研究科博士課程において運動時のコンプレッションウエア着用の効果に関する研究に取り組み、それらの成果を国際学術誌に発表した。



着圧アイテムとは?


着圧アイテムとは?
着ることで身体に圧力がかかるように設計されたウエアやアクセサリー。ランニングではタイツ、カーフスリーブ、アームスリーブなどがあり、筋肉の動きをサポートする機能をうたう製品が多い。


筋肉の振動を抑える

須河 先生、まず一番聞きたいことから。着圧アイテムを愛用するランナー51人(詳細は次のページ)に使う目的を聞いたら、66%が「パフォーマンスを高めたい」でした。使えば速くなるんですか?

水野 「使えば速くなる」とまでは断言できないです(笑)。

須河 いきなり夢が……。

水野 筋肉の振動を抑えることや血流が促進されることは、多くの研究で確認されています。しかし、「使えば速くなる」はまた別の話です。

須河 では、今の研究で言えることは?

水野 私たちの実験では、長時間走ったときの心拍数の増加や炎症反応を抑える現象が確認されました。

須河 どんな実験だったのでしょうか?

水野 成人男性8人に着圧の異なる3種類のロングタイツを着用してもらい、斜度7%程度のトレッドミルを最大心拍数の60%で120分間走ってもらいました。後半の60分は、どの被験者も「かなりきつい」と言っていました。

須河 なぜ走行時間を120分に設定したのですか?

水野 着圧アイテムの影響を見るなら、短時間より長時間運動のほうが有用性が見られると仮説を立てたからです。

須河 結果はどうでしたか?

水野 下腿と大腿部に約15mmHgの着圧のかかるウエアを着用した条件では、心拍数の増加が抑えられました。炎症反応の指標であるIL-6の上昇も小さく、運動直後の筋機能の低下も抑えられました。

須河 それって、マラソンでの消耗と関係があるんですか?

水野 条件が異なるためマラソンでの効果までは断定できませんが、適切な着圧は長時間走行での疲労を抑えられる可能性があります。

須河 着圧がより強いほうが、効きそうな気がするのですが、そのあたりは?

水野 それは違いました。下腿と大腿部に約30mmHgという強い着圧も試しましたが、同じような結果は出ませんでした。

須河 強すぎると血流が悪くなったりするのでしょうか?

水野 血流は直接測っていませんが、30mmHgの条件では心拍数の増加や炎症反応は抑えられませんでした。

須河 市販のタイツの着圧はどのくらいなんですか?

水野 下腿から大腿部にかけて着圧を弱める段階圧の製品が多く、下腿は20~30mmHg、大腿は10~20mmHgの製品が多い印象です。


グラフ


被験者:成人男性8人
条件:上り勾配約7%/最大心拍数の60%/120分
着圧:ほぼなし/約15mmHg/約30mmHg(下腿および大腿部への着圧)
結果:約15mmHgの条件で心拍数とIL-6の上昇が抑えられ、運動後の筋機能低下も小さかった

※上り勾配での結果。平地で同じ結果になるとは限らない
※mmHgは着圧の強さを示す単位



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