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【北海道マラソン優勝】横田真人コーチが振り返る、新谷仁美選手復活までの2年半 「『よくやった』と自然にハグしていた」

2026年10月29日

※本記事は『ランナーズ2026年12月号』掲載内容になります。(全1ページ/1ページ目)

新谷仁美選手(右)を迎えた横田真人コーチ

新谷仁美選手(右)を迎えた横田真人コーチ(写真/釜石由起)


「もう1回オリンピックに出て日の丸をつけよう」。故障と体調不良に苦しみ、引退も口にしていた新谷仁美選手(積水化学)へ、指導するTWOLAPSの横田真人コーチはそう声をかけたという。そして、8月30日の北海道マラソンでは2時間24分14秒の大会新記録で優勝。ゴール後の抱擁に込められた復活までの2年半を振り返ってもらった。

取材・文/近藤雄二(読売新聞編集委員)


北海道マラソンは、新谷にとって約2年半ぶりのフル挑戦となりました。2024年のクイーンズ駅伝後、女性特有の体調不良と足底筋膜炎に見舞われたためです。体調不良は昨年春頃には解決したのですが、足底の痛みは続き、1日1回、ジョグ程度の練習しかできません。あらゆる治療を試しても治らないのです。

そこで昨年12月、私が現役時代に米国でお世話になったトレーナーに2週間ほど治療を受けさせたところ、劇的に改善しました。1月には自腹でロサンゼルスまで行って治療を続け、強度を上げた練習もできるようになりました。

故障中、彼女は月に1度は「(競技を)やめる」と言っていました(笑)。その頃、彼女に言ったのは「もう1回オリンピックに出て日の丸をつけよう」ということでした。引退するにしても、今終わるのはアスリートとして良くないと。本人はあくまでも日本記録を出さなければ、という思いが強かったのですが、日本で3番以内に入ることは、日本記録よりはハードルが下がります。それで肩の荷を少し下ろしてくれた感じになりました。僕ら周囲の者にも「オリンピックに行ってもらいたい」という気持ちがあり、なかなか口に出して言えなかったその思いに、共感してもらえたのかと思います。

海外マラソンという選択肢もありましたが、来年10月に開催されるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ/28年ロンドン五輪選考会)から逆算し、北海道が一番との結論に至りました。MGCと気候が近く、暑熱対策や夏マラソンまでの準備が経験できます。

ただ、3月の段階ではマラソンなんて想像もつきませんでした。復帰戦となった5月の関西実業団選手権5000mは15分44秒92。彼女の場合、レースは常に練習以上の内容で走るのですが、新谷らしくないなと少し心配になりました。

それが、7月から本格的なマラソン練習に入ると別人のようになりました。ベースとなる練習はできていたので、1カ月の準備でも対応できました。ジョグは1回20㎞は当たり前で、ペースもキロ4分ほどと質が高かった。そのひと月の走行距離は約800㎞です。

北海道では、彼女のマラソンへの対応能力の高さを改めて感じました。給水も、ボトルにつけた保冷剤を使う暑熱対策も、予定通り冷静に実行しました。「キロ3分20秒を絶対切るな」と指示したら、最後まで守りました。1度だけ集団のペースが速くなって3分19秒に上がったのですが、すぐ落としたそうです。

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