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女性初の駐日メキシコ大使が語る「女性がマラソンに参加できるのはいい社会」
写真/軍記ひろし |
メルバ・プリーア駐日メキシコ大使
1958年、連邦直轄区(メキシコ市)で生まれる。社会学士。戦略的計画と公共政策を専攻し、それぞれの修士号を取得。大学院で国家安全保障及び戦略的研究を学ぶ。SRE(メキシコ外務省)での長いキャリアを有す。在イスラエルメキシコ大使館政治部・領事部勤務、外務大臣顧問等を経て2007~15年駐インドネシア大使、15~19年駐インド大使。19年より駐日メキシコ大使。今年の東京マラソンは4時間35分54秒、名古屋ウィメンズマラソンは5時間0分25秒で完走。ワールド・マラソンメジャーズ6大会を完走しシックススターを獲得している。
2019年から駐日メキシコ大使を務めるメルバ・プリーア大使(67歳)は3月9日名古屋ウィメンズマラソンのスタートセレモニーで壇上に上がり、約1万5000人の女性ランナーにエールを送ったのち、42.195kmを完走しました。ランニングが日々の活動や考え方にどのような影響を与えているのか、インタビューしました。
――大使就任後、どんなことに力を入れてきたのでしょうか。
「メキシコと日本の友好関係をさらに強固にするのが大きなミッションですが、私の仕事はそれだけではなく政治、経済、文化、科学技術など幅広い分野にわたります。私は女性初の駐日メキシコ大使なので、日本の企業で働く女性や政治家と女性の人権について語り合い、メキシコにおける女性の地位向上の事例を共有しています」
――具体的には。
「メキシコでは近年、女性の活躍が顕著です。議会は上下院とも女性議員が50%を占めています。メキシコの大統領、最高裁の裁判長、メキシコ銀行の頭取は女性です。私は女性の大使だから注目されているし、私が存在することで大使という職が男性だけのものではないと捉えてもらえると考えています」
――日本で名古屋ウィメンズや東京マラソンに出場していますが、いつ走り始めたのですか。
「短い距離はかなり前から走っていました。初のフルマラソンは58歳のとき、ベルリン(4時間49分0秒)です。今年は青梅マラソン(30km)、東京、名古屋ウィメンズを走り、今後はシドニー、シカゴ、さらに富士山マラソンか湘南国際に出る予定です」
――ランニングは人生にいい影響を与えていますか。
「走っていて良かったと思うことは、日本でたくさんのランナーと出会えたことです。ランニングクラブに所属しているのですが、友人たちは私をいちランナーとしてしか見ていません。だいぶ時間が経ってから、どうやらメキシコ人らしい、どうやら大使らしいと気づきます。走っているからこそ幅広い世代の人たちと友情を育むことができました」
――多忙な中で、普段はどのくらい走っているのですか。
「大会がない時期は週2回、5~8kmずつ走ります。週末は家族と過ごす時間を少し削って、より長く走るので、月間走行距離は80~100kmです。大会前になると月200~220km走ります。春の終わりから夏にはトライアスロンをするので、自転車と水泳のトレーニングも積みます。東京は走るところがたくさんあって素晴らしいです。駐インド大使のときは幹線道路を走っていました。車が多いので騒音と排気ガスにまみれ、たまに象やラクダを見かけました。それも楽しい経験でした」
――日本ではフルマラソンを走る女性の割合が20%※と低率です。メキシコではどうでしょうか。
「メキシコでも同じようなものです。女性の健康や福祉について啓蒙する短い距離の大会はあっても、女性だけのフルマラソンはありません。女性が積極的にスポーツに参加するようにすることが社会に大きな影響を与えます。女性がマラソンに参加できる社会は本当にいい社会です」
※2023年度全日本マラソンランキングの完走人数男女比は約8対2
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