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今週末のフルにも使える “脳” の活かし方「レース中、ポジティブな言葉を投げかけ続ければ “火事場の馬鹿力” を引き出せる」

2025年2月19日

ポジティブワードによる自己暗示によって脳の報酬系が活性化される

ポジティブワードによる自己暗示によって脳の報酬系が活性化される


今週末2月23日は姫路城マラソン、24日は大阪マラソン、3月2日には東京マラソンや鹿児島マラソン、と全国各地で続々とフルマラソンが開催されます。出走する皆さん、準備は万端ですか?「できるトレーニングはやったので、あとは体調を整えて当日を迎えるだけ」……と思っている方、ちょっと待ってください。まだタイムを縮めるためにできることがあります。それは「脳」をポジティブな状態にすることです。
走る脳科学者の本田学さんと新澤英典コーチ、ウルトラランナーの小谷修平さんが「最先端の脳科学をランニングに活かす」をテーマに行ったセミナーには、今週末のレース対策にも有効な内容が盛りだくさんでした。一部をご紹介します。


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新澤 まず私と小谷さんの実例で、レースで力を発揮するために脳の影響の大きさを感じた経験談を紹介します。小谷さんは台湾での24時間走で12年ぶりに自己ベストを出し2位になった際、終盤きつくなった場面で自分を叱咤激励したとSNSに書いていました。

小谷 このレースで意識したことの1つが、自分を褒めることです。例えば、レトルトのご飯を食べた時、一瞬歩きましたが「これは将来への投資だ。これで1時間後、2時間後楽になる」とポジティブな言葉を自分に語りかける、というようなことです。そうすると全体的な心のレベルが上がっていったのか、主観的なきつさが減り、集中できる時間も長くなりました。

新澤 私は2013年にサロマ湖100kmで、50km過ぎでキロ6分を保てなくなり「今日は自己ベストは難しい、9時間半切りでいいか、いや良いわけない」と気持ちを入れ替えた時に、たまたま後ろから速いランナーに抜かれたのでついていきました。そうしたら意外とキロ5分ぐらいで楽に走れたんです。その瞬間にフッと気持ちが変わってそのランナーを抜き、前のランナーも次々に抜いていくとどんどん気持ちが盛り上がり、80km過ぎまでその調子で行けました。ただ90kmの折り返しで、折り返し地点を勘違いして戻るということがありました。すると、調子よくいっていたのが完全に切れてしまった。その途端、それまで全然感じていなかった痛みが急に出てきて、 キツくなってきました。これは脳科学的にどんなことが言えるでしょうか。

本田 新澤さんはいわゆるひとつのランナーズハイの状態になっていたのだと思います。ランナーズハイの状態は脳の中の報酬系、いわゆる快感を生み出す神経回路が活性化されることによっていろんなものがポジティブになっている状態です。抜かれたランナーについていってすごくポジティブになった時は脳の中の報酬系が活性化している状態だったと思います。それがあるキッカケで今度は一気に冷めてしまったということです。ランナーズハイの背景にあると考えられている強い快感物質がベータエンドルフィンという物質で、自分で作ることができます。小谷さんの24時間走でのお話は自己暗示と言え、意識的にポジティブな言葉を自分に言い聞かせることで相当にベータエンドルフィンを出し続けたんじゃないかと思います。

小谷 この24時間走に向けて、毎日30分以上かけて脳内でシミュレーションをしていました。こんな場面で自分はこう考えると決めて、頭の中で何度も何度も繰り返すのです。これも脳科学的に意味があるでしょうか。

本田 それはいわゆるメンタルシミュレーションというもので多くのスポーツで非常に効果があると言われています。実際に身体を動かしていなくても、メンタルシミュレーションによって脳の中で複雑な運動を司る運動前野や補足運動野といったところが非常に強く活性化します。脳のレベルでの準備のようなもので、とても有効です。

新澤 私のクラブのメンバーで、 多忙で月間50kmぐらいしか走れずに100kmマラソンに出た方がいたんですが、結果的に制限時間までかなり余裕のある11時間台でゴールしました。その方が言うには、キツくなった時にとにかくいろんなネガティブな言葉が頭に浮かんだけれども、それを全てポジティブな言葉に変えたと。そしたらすごく力が湧いてきたと言っていました。

本田 ポジティブワードによる自己暗示によって報酬系が活性化されることは、一種の「火事場の馬鹿力」と似たようなところがあります。その状態をうまく引き出すことはとても重要なことだと思いますね。



プロフィール

本田 学
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第七部部長。脳の情報処理の側面から精神・神経疾患の病態解明と治療法について研究。自身もランナーで川の道フットレース513kmなどを完走。

新澤英典
損害保険会社を早期退職しランニングクラブ「ウルトラプロジェクト」を発足。ポータルサイト「ウルトラランナーへの道」運営。39歳でランニングを始め45歳でサブスリー。ウルトラマラソンは100kmを中心に走り31回完走中27回サブ10。

小谷修平
東大大学院修了後フィットネスクラブに3年間勤務し、2016年にランニングショップHolosを創業。オリジナルブランド「Catalyst」のサプリメントなどを開発・販売。13年と17年に24時間走日本代表として世界選手権出場。


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96歳、走る 奥山新太郎さん(神奈川県)

1月12日のいぶすき菜の花マラソンを8時間37分26秒で走り切ったのは神奈川県横浜市在住の奥山新太郎さん(96歳)。レース前には「走る」と「歩く」を繰り返す30km走を2回行ったといいます。96歳にしてなぜこれだけの走力、その源となる熱量があるのか、インタビューしました。



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