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RUNNERS ONLINE【40歳以上の初サブスリー達成術⑦】月間100km→350kmに増加 走り始めて19年目に初サブスリー
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2023年度に達成したのは全完走者の3.6%(全日本マラソンランキングより)で、多くのランナーにとっての憧れとなっているサブスリー。そのサブスリーを40歳を超えてから初めて成し遂げたランナーを紹介する連載。今回は2024年の別府大分マラソンで2時間57分7秒を出し、サブスリー達成を果たした上岡基洋さん(44歳)です。
上岡 基洋
さん(うえおか・もとひろ)
1980年生 44歳 会社員
サブスリーを達成した大会とタイム: | 2024年開催 第72回別府大分マラソン 2時間57分7秒 |
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上岡さんが走り始めたのは26歳だった2006年、ストレスからの解放手段のひとつとしてだった。「人生の中で悩んでいた時期に走り始めました。そしてマラソンならホノルルという軽い気持ちでエントリーして出走したのですが、途中から気持ちが切れて脚は動かず、6時間11分55秒でした」
ホノルルの後、上岡さんは、レースからしばらく遠ざかり、ひとりで黙々とジョギングをするようになった。ただ、長年走っているうちに、「今度はちゃんと練習を重ねてレースに出てみよう……」と思うようになり、走り始めて13年目、2018年の『さいたま国際マラソン』にエントリー。4時間17分9秒でフィニッシュ。この大会を機に「まずはサブフォーを目指そう!」というスイッチが入った。
サブ3.5を果たしてmoshicomでランニングクラブ探し
「当時はランニングクラブには入らず、週に3~4回、1回7~8kmのジョギングを続けていました。さいたま国際で4時間17分が出たときは、『やったぞ!』と心から喜びました。フィニッシュしたとき、1年後に同じ大会でサブフォーできたら……、と自分なりに目指してみようと思いました」
1年後、有言実行とばかりにさいたま国際マラソンで3時間28分47秒を出し、“目標を立てて達成していく喜び”を実感。39歳で本格的にマラソンの魅力に取りつかれた。
「3時間半を切ったことで、少し欲が出てきました。この頃には、もっと速くなるにはインターバル、ビルドアップなどのポイント練習、そして情報交換のためなどにランナーとの交流も必要だと感じていて、41歳のときに初めてクラブに入りました。e-moshicomでいくつかの練習会に参加して、元モンテローザ陸上部の向井孝明さんが率いるクラブチーム『TEEM GREEN TRACK(TGT)』に入会しました」
TGTに入ってみると、年上のランナーが多く猛者ぞろい。入会してすぐに、「自分はこの人たちについて行けば速くなる!」と肌で感じた。しかし、クラブに入る前に約100kmだった走行距離はそのあと2年間も、ほぼ変化がなかった。
「毎週土曜日に開催されるTGTの練習会では、10km前後をキロ4分ペースで走っていました。当時の私の走力では、その10kmで力尽きてしまい、常時ひざに痛みを抱えていました。結果、平日3~4回やっていたジョグも1~2回になってしまい2021年、2022年も月間走行距離は約100kmでした」
「絶対サブスリーがしたい」と走行距離増加を決意
2023年2月、上岡さんは、京都マラソンに出走した。月間走行距離は約100kmではあったものの、TGTでの課題に真剣に向き合っていたことから、もしかしたらサブスリーを達成できるのでは? と僅かに期待した。しかし結果は3時間22分23秒。
「やはり距離を踏まなければと改めて思いました。翌月に開催された東京マラソンで友人を応援しながら速いランナーをみて『自分も絶対サブスリーをしよう』と決意しました」
覚悟を決めた上岡さんは、直後から月間約350kmに走行距離をアップ。火曜日と土曜日はクラブでポイント練習を行い(火はキロ4分10秒の12km走や1km×8本、土は追い込む1時間走)、水曜日と木曜日で計30km以上、日曜日も20km以上とジョギングも長めの距離を走った。故障を防ぐため、月曜日と金曜日はマッサージや鍼治療を受け、メンテナンスも徹底した。
「サブスリーになると覚悟してから、特に苦しかったのは、メンタルです。たとえば猛暑の中を月に350km走っても、走力がついたという自信がまったく持てませんでした。これでいいのか、練習が足りないのではないのか? 自己満足で終わっていないか? 不安ばかりが押し寄せてくる日々でした」
日々募っていく不安を払拭するように、2023年9月には400km走り、10月から1月までは、キロ4分15秒の30km走を課題とした。10月の30kmイベントを4分15秒で完走、12月と1月の練習会30kmでは最後5kmを上げて、それぞれ2時間6分、2時間5分を出し、ようやく自信がついたという。その成果が表れ、2024年2月、走り始めて19年目に別大でサブスリーを果たした。
今シーズンは本命の別大でサブエガ(2時間50分切り)達成が目標。「ここまで来るのに本当に長くかかりました。今は2時間45分まで、目標を持ち続けたいと考えています」
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「どうしても、サブフォーができない」
2023年度の全日本マラソンランキングでは、サブフォーランナーは全完走者のうち27.4%にあたる8万6815人。ジョギングだけで達成してしまう人がいる一方、ロング走やスピード練習をして走り込んでいるのに、届かないランナーもいます。そんな「努力しているのにサブフォーができないランナー」がどうすれば4時間を切ることができるのかを、専門家やコーチの協力のもと解決します。
特別寄稿
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フルマラソンを走るランナーであればほとんど誰もが聞いたことのある言葉であろう『30kmの壁』について、内科医でサブスリーランナーの北原拓也先生がYahoo!ニュースでそのメカニズムをまとめた記事を発表し、大きな反響がありました。それを受け、本誌では北原先生にさらに詳しく加筆をしていただいた記事を掲載します。
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91歳の現役ランナーが語る「マラソンは究極の人生の目的」
2023年度全日本マラソンランキングの最高齢ランナーである北畑耕一さん(91歳)は伊藤忠商事を経て外資系日本法人の代表を歴任、退職後に74歳で走り始め、これまでにフルマラソンを32回完走。2024年は国内外で3つのフルマラソンを完走しました。
90歳を過ぎてもフルマラソンを走り続ける活力の源を探りに、編集部が北畑さんのある一日に密着しました。
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