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【40歳以上の初サブスリー達成術⑥】「最先端トレ」&「クラブでの練習」に取り組み52歳で初達成
ロンドンマラソン2021でもサブスリーを達成した(2時間54分10秒)寺田さん |
2023年度に達成したのは全完走者の3.6%(全日本マラソンランキングより)で、多くのランナーにとっての憧れとなっているサブスリー。そのサブスリーを40歳を超えてから初めて成し遂げたランナーを紹介する連載。今回は49歳で走り始め52歳でサブスリーを達成した寺田修さん(59歳)です。
寺田修さん(てらだ・おさむ)
1965年生 59歳 会社員 千葉県出身
サブスリーを達成した大会とタイム: | 2017年開催 つくばマラソン 2時間57分09秒 |
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現在の自己ベスト: | 2020年開催 別府大分マラソン 2時間44分28秒 ※表記はグロスタイム |
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寺田さんが本格的に走り始めたのは2015年、49歳の時。友人がスポーツメーカー主催の『自分流で走り出そうキャンペーン』(ローマシティマラソンにペアでご招待企画)に当選、ふたりで出走することになったのがきっかけだった。
「23歳のときに職場で無理矢理フルのレースに連れていかれたことはあるのですが、興味もなく練習もせず走ったので、そのレースは私のマラソン史には入っていません。ローマで走れる!と喜んでジョギングから始めました」
寺田さんは49歳で本気になり52歳でサブスリーを達成するのだが、サブスリーランナーの何割かに当たる “潜在能力が眠っていた人” というのは否めない。中学時代は英語部、高校で卓球部、大学でギター部という経歴。練習はジョギングだけだったというローマシティマラソンは4時間1分53秒。「4時間切れると思ったから、悔しかった」。やる気に火が付き、サブスリーを目標として2つの方法に取り組んだ。
トレーニングマシンでフォーム改善と筋力トレーニング
「サブスリー達成に向けてネットなどで情報を集めました。1つ目に行ったことは谷川真理さんがSNSで『速くなりたかったらこちらへ!』と呼び掛けていたハイテクスポーツ塾への入会です。そこでは、コーチから指摘された姿勢を徹底的に正しました。私の走り方はひざ下で走ってしまうドタバタ走りで身体の軸がブレていました。東京大学名誉教授・小林寛道先生が開発した、認知動作型スプリングトレーニングマシン『カンド君』を使って軸のブレを直し、ストライドを大きく出せるようにしました。また、同じく小林先生が開発した車軸移動式自転車型スプリントトレーニングマシン『マリノ』で大腰筋と腸骨筋を鍛えました。当時まだ施設が少なかった低酸素トレーニングも定期的に試し、体重も10kg減り圧倒的に走りやすくなりました」
8レース中6レースで3時間一桁。最後の決め手は「リラックス」
2つ目の取り組みはランニングクラブ『Team Okojo Running』に入会したことだ。毎週水曜日、土日の練習会に極力参加した。特に水曜日に行うトラックでのペース走(12km)では、同じ目標を持つ仲間と相談してキロ3分50秒のグループを設定、できる限り追い込んだ。12kmのペース走の翌週は1500m×4本のインターバル、土曜日は20kmのジョグ(5分)、日曜日は20kmのペース走(4分15秒)。当時の1週間の練習スケジュールは月/8kmジョグ(4分30秒)、火&木/ハイテクスポーツ塾、水&土&日/Okojo、金/ジョグ(体調に合わせた時間とスピード)と休むことなく毎日走った。
「サブスリーを出すぞ! と決めて2016年~2017年は、合計12フルマラソンをスケジュールに入れたのですが、8回続けてサブスリーの神様に追い返されました。①水戸黄門漫遊3時間4分18秒(10月30日)②さいたま国際3時間7分58秒(11月13日)③つくばで3時間2分44秒(11月20日)が出て、あと少しだ! と思ったら、④勝田で3時間18分51秒(1月29日)⑤板橋Cityで3時間5分18秒(3月19日)⑥かすみがうらで3時間4分24秒(4月16日)、そして夏の練習で追い込むも、⑦榛名湖マラソンは激坂コースということもあり3時間13分14秒(9月24日)⑧ニューヨーク・シティマラソンではベストが1分しか縮まらず3時間3分32秒(11月5日)……、こうなると、はぁ~~っと溜息ばかり出て、もう永遠にサブスリー達成できないような気さえしました(笑)。
でも、故障もなく練習も不足していない。気を取り直して9レース目のつくばマラソンでは力を入れすぎないように走りました。すると、つくばマラソンでは力まないことが功を奏し2時間57分9秒という結果で、余裕をもってのサブスリー達成できたんです。1年以上続いた、長い戦いでした」
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「マラソンを通じて友人が増えたことがなによりの喜びです」という寺田さんは、その後自己ベストを2時間44分まで短縮。来年還暦を迎え、これからの目標は、1シーズン中に1回は2時間50分切りを果たすことだという。
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