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RUNNERS ONLINE「30km走は『枯渇』で細胞を刺激する」元五輪代表&理論派コーチが語る
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現在発売中のランナーズ12月号では、昨年度のランナーズ30Kシリーズに出走したランナー約6,000人をアシックススポーツ工学研究所(ISS)が分析したデータを元に30km走にどのような効果・意味があるかを紹介しています。ここでは、データを踏まえてスズキACヘッドコーチの藤原新さんとマラソン完走クラブの中田崇志さんが実施した対談の内容を抜粋して紹介します。
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編集部 お二人に見ていただいたのは、アシックススポーツ工学研究所(ISS)が昨年のランナーズ30Kシリーズに出走した約6,000人の走行データを分析したものです。これによると、30km走はハーフよりもフルに失速の傾向が近かったということですが。
中田 非常に納得できますね。私はフルマラソンでエネルギー切れのため失速してしまうことがありますが、ハーフではありません。30km走はハーフより約9km長いだけでも、マラソンのようにエネルギーを使っている感覚があります。
藤原 私も感覚としてよく分かります。30km走のような長い距離を走る場合、心拍数が上がったり、グリコーゲンが枯渇すると失速します。おそらくこのデータはそこまで鍛錬度が高くない人たちなので、20kmぐらいまでしかエネルギーのタンクが持たず、そこから失速しているのかなと。
中田 ただ、私や藤原さんの場合、ハーフの運動時間が1時間ちょっとだからエネルギー切れしないけれど、2時間ぐらいかかる市民ランナーの方はまた違う傾向なのかなと思っていました。エネルギー切れは運動時間によって起こるのか、距離なのかどう思われますか?
藤原 基本的には距離だと思いますね。ただ、(相対的な)ペースが速くなると糖をエネルギーにする割合が大きくなるので枯渇が早くなるかなと。
中田 なるほど。確かに先日私のチームで40km走をやったのですが、キロ7分というゆっくりのペースなのでほとんどの人が走り切れました。
30km走は「スモールマラソン」
シミュレーションに最適
編集部 これを踏まえて、30km走はどのようなトレーニング効果があるといえますか。
藤原 グリコーゲンを枯渇させることで、細胞に刺激を入れられると思います。もちろん完全に枯渇するわけではありませんが、刺激が入るレベルまでは下がるというか。それによってミトコンドリアが増える、脂肪をエネルギーにする能力が向上するなど、様々な効果があると思います。
中田 藤原さんの話した効果に加え、30km走はマラソンに近いけれど、フルより疲労が少ない「スモールマラソン」として本番のシミュレーションにもなります。最後まで一定のペースで走るとか、どのぐらいの追い込み具合だったらしっかり走り切れるだとか、マラソンに近い条件でいろいろなことを試すことが可能です。ウエアやシューズもそうですね。その日の気温の場合、選んだウエアでちゃんと走り切れるか。本番用シューズの疲労感はどれくらいになるか。スタート前に思ったことがゴールの時にできているかをテストすることができます。
編集部 今回のデータのように、後半失速してしまっても練習としては効果があるのですか?
藤原 失速したということは、グリコーゲンが枯渇して細胞に刺激を与えられているということです。もちろんあまり早い段階で失速するのは良くないですが、20kmぐらいまでキロ4分15秒で走って、その後5分とか5分30秒に落ちて完走したというのであれば、それはとても良いトレーニングになっていると思います。
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ランナーズ12月号では2人がお勧めする30km走の走り方や30K参加者6,000人を分析したデータの詳細、30km走&疑似30km走計19種を紹介しています。ぜひご覧ください。
プロフィル
ふじわら・あらた
スズキACヘッドコーチ。ロンドン五輪マラソン日本代表。拓殖大学からJR東日本に進み、その後男子としてはプロランナーの先駆けとなった。2012年東京マラソンでは2時間7分48秒で2位に入った。
なかた・たかし
マラソン完走クラブ主宰。一般企業に勤務しながらランニングコーチとしても活動する。ブライドランナーの伴走者として、パラリンピックで2度メダル獲得。今年の別府大分マラソンは2時間29分16秒だった。
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