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リレハンメル五輪金メダリストは毎月400km走るサブスリーランナー
札幌オリンピックミュージアムにて。後ろに見えるのが大倉山ジャンプ台(写真/釜石由起) |
現在発売中のランナーズ6月号ではチャレンジの象徴として、今も挑戦を続ける人物を掲載しています。
今回は1994年のリレハンメル五輪スキー・ノルディック複合団体で金メダルを獲得した阿部雅司さん(56歳)を紹介します。現在、2030年札幌五輪招致活動を行う傍ら、月間400kmほどのランニングを続けています。
「目標に向かって努力をしていないと自分がダメになっていく気がするんです」
「今年の東京マラソンは3時間20分でした。直前に北京(五輪)から帰国したのですが、向こうでは隔離生活を送っていたので、完全なる練習不足でした」
1972年札幌五輪で使われた大倉山ジャンプ台の下にある「札幌オリンピックミュージアム」内の一室で語る阿部雅司さんはフルマラソン2時間43分57秒(04旭川マラソン)の記録を持つランナーです。五輪で金メダルを獲得したほどのアスリート。並大抵でない体力があったことは事実でしょうが、現役時代は「ひざを痛める可能性がある」という理由からロードを走ることはなかったといいます。
金メダルを獲得した翌年に現役を引退。その直後からナショナルチームのコーチを務めました。
当初「運動をするのはゴルフのみ」「酒を飲む」「タバコを吸う」という生活でしたが、2000年に転機が訪れました。チームメイトでオーストリア人のワックスマンがベルリンマラソンを3時間20分で完走した話を聞きました。「俺はサブスリーを目指す」そう意気込んで走った初マラソンは同年7月の千歳国際。ところが本番は後半に大失速しました。
「脚を引きずりながらのゴールで、それはもう格好悪かったですよ。でも一冬越えて“負けたままでは終われない”と思うようになったんです」
5月の洞爺湖マラソンにエントリー。本番では2時間59分30秒をマークしました。
「ゴールした瞬間、オリンピックで金メダルを獲得した時よりもうれしかった。レース中はすごく苦しかったですが、何とかペースを維持することができたことに対して“自分に勝った”実感があって、思わず両手でガッツポーズをしていました」
さらにこう続けます。
「選手時代は他人との勝負なので、自分が高いパフォーマンスを発揮しても、ライバルにさらに上をいかれたら敗れる世界です。しかし市民ランナーとして挑むマラソンは自分との勝負のみ。そのことがすごく新鮮だったんです」
この時から約20年、原則的に月間400km程度のランニングを欠かしたことはありません。冬は雪の上を走り、インターバル走やペース走は『つどーむ(札幌市内の室内陸上競技場)』で行っています。
あべ・まさし
小学1年生の時にスキーを始め、五輪には3回出場。
2007年のサロマ湖100kmウルトラマラソンで7時間52分57秒。新型コロナウイルス発生後のレースは札幌・豊平川 Trial Marathonで3時間8分28秒をマーク。1965年生まれ、北海道留萌郡小平町出身。
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現在発売中のランナーズ6月号では現在札幌オリンピックミュージアムの名誉館長(取締役)として「オリパラ教育」にも注力する思いや自身の人生観について掲載しています。
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