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【全ては敗北から始まる】100km世界記録保持者・風見尚さん
2021年の柴又100Kは大会新記録で優勝 |
現在、100kmの世界記録を保持するのは男女とも日本人。男子は2018年のサロマ湖100kmウルトラマラソンを6時間9分14秒で優勝し、20年ぶりに世界記録を更新した風見尚さん(38歳)だ。2019年には日本人として初めてコムラッズマラソン※で3位入賞、昨年10月の柴又100Kでも大会新記録で優勝している。しかし、駒澤大学では箱根駅伝に出走できず、実業団も4年で退部になるなど「敗北の連続」だったという。そんな多くの敗北を乗り越え、世界記録保持者となった風見さんに話をきいた。
※南アフリカで開催される毎年2万人以上が参加する世界最大級のウルトラマラソン(約90km)
――昨年10月の柴又100Kでは大会新記録(6時間31分47秒)で優勝おめでとうございました。出身地東京での優勝でしたが、そもそも走り始めた理由を教えていただけますか。
「私が小さいころ、両親が居酒屋を経営していたんです。自宅から約3km離れた店まで毎日走っていたら、自然と脚が速くなって、小学校の校内マラソンで上位になりました。それで走るのが好きになって、中学で陸上部を選びました。中学では3000mで東京都ランキング1位になることができ、勧誘を受けて東京実業高校に進みました」
――順調なスタートですね。高校1年生でも5000m 15分0秒というタイムを出されています。
「当時の東京の高校生としては好記録だったので注目されました。でも、その後が辛かった。伸び盛りのはずなのに、高校3年の10月まで自己ベストが更新できませんでした。サボっていたわけではなく、チームでは常に練習を引っ張っていましたし、合宿でも他校の選手より速く走れていました。しかし、レースになるとガチガチに力んでしまい、後半失速してしまうんです。特に3年時の東京都高校駅伝は1区、2区が区間賞を取ったのに4区の自分がブレーキを起こした影響でチームは4位。全国に行けず非常に落ち込みました」
――卒業後は駒澤大学に進学されました。
「当時の駒大は黄金期で、同級生もインターハイ入賞者など強い選手がたくさん。入学時の走力は下の方でした。それでも毎日無我夢中で走っていると自己ベストを連発し、秋の府中ハーフを1時間4分台で走ることができて箱根駅伝の16人のメンバーに入れました。本戦は走れませんでしたが、『このままいけば上級生になったら箱根を走れる』と思いましたね」
――しかし、結局4年間箱根は出走できませんでした。
「2、3年生になるとやっぱり本番に弱い特徴が出てしまったんです。当時のチームはある程度の記録を出すと仙台ハーフなどのレースに派遣されて、そこでも結果を残すと駅伝に出られるというステップアップの方式があったのですが、私はよく大事なハーフで失敗していました。大八木(弘明)監督に『話にならない』と怒られたこともあります。最大のチャンスは4年生の時で、11月の府中ハーフでは学年トップになれたんです。コーチからは『アンカーの起用を予定している』と言われました。そのままいけば地元の東京を走れるのでうれしかったです。しかし、12月に行われた最終選考の20km走で3位に入ればいいところを5位になってしまい、結局外れてしまいました。この時もそうですが、大学時代は『失敗しないように』と消極的になってしまうレースが多かったです。高校時代と同じくメンタルの問題でした」
風見さんはその後、実業団を経て市民ランナーとしてウルトラマラソンに出場し、世界記録を樹立しました。それは学生、実業団時代の精神面の課題を克服したからだといいます。
インタビュー全文はランナーズ3月号に掲載しています。
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