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藤原新のマラソン論「レースペースで走れる距離を延ばす それが目標達成の近道です」
※本記事は『ランナーズ2024年3月号』掲載内容になります。
今年こそサブスリーや3時間30分切りを達成したいランナーの皆さん、スズキ浜松ACヘッドコーチ・藤原新さんの練習法を試してみませんか?自ら練習を考えるプロランナーとしてロンドン五輪出場を果たした経験から生まれた理論は「レース当日に向けて、レースペースで走る距離を次第に延ばしていく」というもの。「サブスリーや3時間30分切りを目指す市民ランナーの方こそ取り入れやすいはず」という藤原流メソッドを、インタビューを通して紹介します。
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スズキ浜松ACヘッドコーチ・藤原新さん |
藤原新(ふじわら・あらた)
スズキ浜松ACヘッドコーチ。ロンドン五輪マラソン代表。拓殖大学では箱根駅伝に2度出場し、卒業後はJR東日本に入社。その後プロランナーとなり、2010年オタワマラソン優勝や2012年東京マラソン2位(2時間7分48秒)といった実績を残した。1981年生まれ。
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スズキ浜松ACの選手へ指導する藤原コーチ |
①マラソン練習のタイプは「丸焼き」と「切り身」
――プロランナーだった現役時代と指導者になってから、マラソンの練習法について考え方の変化はありますか?
「今スズキ浜松ACのヘッドコーチになって5年目ですけど、基本的な部分はそう大きく変わらないです。僕の練習の特徴というのは、フルマラソン本番に近い負荷を普段からかけていくこと。具体的には、マラソンのレースペースでできるだけ長く走る、というものです。それが大切だというのは変化していませんが、一方で現役の時は一年を通して(レースペースが主体の)同じ練習をしようと思っていたけれど、現実的にそれをやろうと思っても選手はできませんし、壊れてしまいます。実際僕も2013年に大きな故障をしてしまいました。そのため、マラソンレース後はきちんと疲労を抜き、その後は筋トレで身体をつくるなど、時期によってトレーニングを変化させる期分けをより意識するようになりました」
――現役時代レースペースを重視するというトレーニングに至った経緯を改めて教えてください。
「そもそもトレーニングの流れは2種類あると思うんです。一つは短く速いペース(スピード走)と長くてゆっくりなペース(ロング走)を組み合わせるタイプで、もう一つは20~30kmをレースに近いペースで走って負荷をかけるタイプ。日本だと前者のトレーニングをする人が多かった印象で、僕も実業団時代はそうでした。ただ、プロになって2012年のロンドン五輪は絶対に行きたいと思ったんです。そこで、五輪の選考会で確実に勝つために、よりレースとのつながりが分かりやすいレースペース走主体に切り替えました。そして五輪後にある研究者の方と食事をして、先ほど話した内容を『練習は魚料理に例えると切り身タイプと丸焼きタイプがある。君がしているのは丸焼きタイプの練習だね』と教えてもらいました」
――ご自身が行っていたトレーニングの流れは具体的には?
「最初はまずクロスカントリー走で20kmぐらい走ることを続けて土台を作ります。それで身体ができたら、今度はレースペースを分割して1km×10本とかでやり、徐々に1度に走る距離を延ばしていきます。2km×5本とか、3km×5本ぐらいまで。そうなったら、今度はレースペースより少し速く15kmを走って、20km、25kmと延ばしていきます。この時大切なのは、練習量を落とすなどの調整をせずに、レースペースで走るということです。そしてたまに30㎞とか遅めのロング走を入れたりして、マラソン1週間前からは練習量を落として調整に入る、という感じでしょうか。2012年の東京マラソンはこれを丁寧にやり、結果が出ました(2時間7分48秒で2位)。それからもずっと丸焼きタイプの考え方でしたが、2013年1月にハムストリングスの故障をしてからはうまく練習も積めなかったので、きちんとできたのは1年半だと思います」
――40km走よりもレースペース走を重視されていたんですね。
「それまでって40km走が何回もできないとスタートラインに立つ資格がないという風潮でしたよね。でも、僕はいかにマラソンペースに身体を適応させておくかと、終盤の『枯渇』を疑似体験しておくかの方がロング走の距離よりも大切だと思っていました。だから30km走の日は炭水化物を減らしたりして意図的に枯渇状態をつくっていました。そうすると、レースよりかなり遅いペースでもキツいんですよ。でも本番では、練習の時よりかなり速いペースでもほぼ変わらないキツさで走れました。そうして脂質代謝能力を鍛えていたためか、マラソンのレース中も糖をとらずに走れましたし、40㎞以降に競り負けたことは2010年東京マラソンで、藤原正和さん(現中央大学監督)に負けた以外ではありません」
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