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【連載:バックヤードウルトラ⑫】「1時間に6.7km」を何十時間も繰り返すサバイバルレースの練習法とは?
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数日間にわたって「1時間に6.7km」を繰り返す競技だけに、そのトレーニングはまだ確立されていない。写真は2023年の「Backyard Ultra Last Samurai Standing 2023 東京」(撮影/石山 匠) |
「1時間で6.7km走る」ことを身体の限界まで繰り返す、バックヤードウルトラという競技をご存知でしょうか。近年国内外ウルトラランナーの間で人気が高まりつつあります。この競技に魅せられて脱サラ、大会に参加するだけでなく自身でも大会を企画、さらには普及活動も行っている水野倫太郎さんがその魅力について綴る連載です。
私が初めてバックヤードウルトラに参戦したのが2023年11月。それ以来、この競技にのめりこみ、約2年8カ月で8本のバックヤードウルトラを経験して来ました(2026年7月時点)。これまではレースの話が中心でしたが、今回はバックヤードウルトラのために、どのようなトレーニングに取り組んできたのか。「やめたくなった時にやめない練習」、「6.7kmを歩く練習」、「毎周、寝る練習」等々を、その意図や変遷と共にご紹介します。
実際にバックヤードウルトラに効果的な練習とは何か? もちろん、人それぞれのレベルや状態によります。少なくとも現時点では、これが決定版! のように確立されたメソッドもありません。
私自身も、まさに試行錯誤をしている最中です。バックヤードウルトラに取り組み始めた1年目、2年目、3年目(直近の半年間)、そして今後で、考え方と取り組み方は変化しています。それぞれのタイミングにおける重点課題によって、それを解決するためのアプローチを模索しています。
2023年11月にバックヤードウルトラを実際に経験するまでは、正直、右も左もわからなかったので、とにかくウルトラマラソンのレースに積極的に参加しました。2023年は、小江戸大江戸230k(ロード)、彩の国100マイル(トレイル)、津軽みちのくジャーニーラン(ロード)、LAKE BIWA100(トレイル)に出場しました。行動時間を伸ばすこと、オーバーナイトの経験を積むことを意識しました。
あえて「途中でやめたくなる」シチュエーションで走る
最初の一本目で、70LAP、約470kmを走破し、翌2024年10月のバックヤードウルトラ国別対抗戦の日本代表の候補メンバー入りをすると、バックヤードに特化した取り組みを考えるようになりました。
真っ先に取り組んだのは、走り方、身体の使い方の改善でした。2023年12月から、東京・神保町と水道橋の間に位置する「あしラボ」に月1回程度、通うようになりました。カイロプラクティックをベースに、ランニングと歩きの動作指導を専門とする治療院です。思えば、当時も、今も、走り込みで走力を高めるというより、いかに身体への負荷を少なくし、効率的に進むかということが、私が重視している点です。
そうした走る技術、歩く技術の向上と同時並行で、1年目は、メンタル強化をメインに取り組みました。なぜなら、初挑戦の時、ラスト2人まで残ったのですが、走り続けるのがイヤになってしまい、もう一人の方とレース中に話し合い、70LAPを走り終えて、二人同時にレースをやめたのです。体力的には、まだ余力があったのですが、心が限界に達してしまいました。
レース直後から後悔の念が募り、2度とこういう終わり方はしないと心に誓いました。そして取り組みだしたのが「やめたくなった時にやめない練習」です。
これは至ってシンプルで、走っているときに「あー、もうやめたいな」と思ったら、まず「よし、トレーニング開始だ」と自分に言い聞かせるという方法です(笑)。そのためにやめたくなりそうなシチュエーションを選んで、走るようにしました。例えば、小江戸大江戸260kmや道南ものがたりジャーニーラン210k(8月)、オーバーナイトバックヤード練(幸運にも練習開始時点で土砂降り)などです。
そうして迎えた2024年10月のバックヤードウルトラ国別対抗戦。結果は、メンタルよりも身体が限界に達し、64LAP/429kmで終了。
当時は、速く走れば走るだけ、休憩時間をつくれて好記録につながると考えていました。序盤から30分台を連発した結果、筋肉の炎症が耐えがたいレベルに達してしまったのです。
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2024年10月バックヤードウルトラ国別対抗戦にて、身体の痛みが限界に達し競技続行を断念した場面(写真/野田倖史郎KoshiroNoda) |
このレースを機に、バックヤードに求められる能力に対する考え方が大きく変わりました。次回は、「歩く練習」「ゆっくり走る練習」についてお話します。
<プロフィール>
みずの・みちたろう
プロウルトラランナー。1995年生まれ。神奈川県秦野市在住。バックヤードウルトラを主戦場に、2024年、2025年、日本代表として世界選手権に出場。自己ベストは 94LAP/約630km。
活動の軸は、走ること・伝えること・つくること。『走るはつなぐ』『共走』をテーマに、「丹沢ループス」「バックヤードウルトラ神奈川大会」等のイベント企画やバックヤードウルトラのドキュメンタリー上映会・ポッドキャスト配信にも精力的に取り組む。2026年は海外バックヤードを転戦予定。
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