ニュース・記事
ランナーズonline
ケープタウンマラソンで開催された年代別世界選手権で優勝 三重県で活動する「45歳プロランナー」
|
年代別世界選手権45~49歳の部で優勝した松岡さん |
5月24日にアボット・ワールドマラソンメジャーズの候補となっているケープタウンマラソン(南アフリカ)が開催されました。このレースではワールドマラソンメジャーズの年代別世界選手権も実施。年代別世界選手権は毎年ワールドマラソンメジャーズや候補大会で行われており、2024年はシドニーマラソン、25年はニューヨーク・シティマラソンが舞台となりました。
今年の世界選手権M45(男性45~49歳)を2時間30分19秒で優勝したのは、三重県の松岡直希さん(45歳)。松岡さんは教員やスポーツジムの勤務などを経て、2023年に「自称日本唯一の40代プロランナー」と宣言。地元企業の支援を受けるとともに、家族で楽しめる大会「いせランフェスタ」の運営なども行いながら走っています。今大会に向けての取り組みやレースの感想を伺いました。
Q. 優勝の感想をお願いします。
2023年にプロランナーとして、この世界大会で勝つという目標を掲げ、積み重ねてきた挑戦がようやく実を結びました。2年前のシドニー大会では悔しい結果に終わり、そこから故障や挫折も経験しましたが、諦めなければ必ず実現できると信じ続けてきました。その努力が報われた瞬間で、本当に嬉しかったです。
Q. レースはどのような展開でしたか?
今回のテーマはタイムではなく勝負でした。コースは序盤からアップダウンが続き、31〜32kmには約1km続く上り坂があります。そこまでしっかり脚を残し、後半に勝負するプランで臨みました。18km過ぎからカテゴリー内ではトップでしたが、ハーフ過ぎ、ヨーロッパ系の選手に抜かれ、さらに25km過ぎには左ハムストリングが軽い肉離れに近い状態になりました。給水をかけながら集中力を高めて悪化しないでくれと祈りながら走っていました。37kmで再び違うヨーロッパ系選手に抜かれ、ペースが一気に上がりましたが、必死に食らいつきました。脚に爆弾を抱えた状態だったので、40km過ぎのラスト200mに全てを懸けました。勝負所で思い切って仕掛けると差が開き、3秒差で逃げ切ることができました。ゴールした瞬間は、自然とガッツポーズと雄叫びが出ました。一生忘れられないレースになりました。
Q. このレースに向けての取り組みを教えてください。
昨年12月の防府読売マラソンで2時間25分40秒と狙い通り権利を獲得しました。年末に肋骨を負傷したものの、できる範囲でロングジョグを積んで、3月からは名古屋シティマラソン 、ぎふ清流ハーフマラソン、 仙台国際ハーフマラソンと毎月ハーフに出場。 一人ではできない強度をレースで経験し、スピードの余裕度を高めることが目的でした。結果的にすべて70分切りをし、ぎふ清流ではマスターズ45歳以上日本タイ記録も。さらに4〜5月には、2週間ごとに3回の高地トレーニング合宿を実施。持久力強化に加え、ケープタウン対策として起伏への対応力を徹底的に鍛えることができました。
Q. この優勝はどんな意味がありますか?
学生時代は全国大会に出場できるような選手ではなく、世界で戦うことなど、当時の自分には想像もできない存在でした。それでも、成し遂げたいことに向かって努力を続ければ、どんな状況でも可能性はあると信じて、一歩ずつ積み重ねてきました。誰もやっていない挑戦を続け、今回マラソンランナー松岡として生きた証を残すことができたと思っています。この経験が、これからの選手や子どもたちに自分も挑戦してみたいと思ってもらえるきっかけになれば嬉しいです。そういう意味でも、この世界一には大きな価値があると感じています。
|
ワールドマラソンメジャーズの候補大会として実施されたケープタウンマラソン |
Q. ケープタウンマラソンの感想を教えてください。
EXPOはサッカーのワールドカップでも使用された大きなスタジアムで、スポンサーのメルセデス・ベンツの展示車に自由にメッセージを書けたり、その車が大会当日に実際に走行していたことにも驚きました。コースはテーブルマウンテンの圧倒的な景色が印象的でした。ただ景色が美しいだけではなく、エリアごとに街並みや起伏が変わるため、最後まで飽きることなく走ることができました。給水所は約3kmごとに設置され、コーラや無糖コーラまで用意されるなど、ランナーへの配慮を強く感じました。そして何より、アフリカならではの熱い応援、伝統的な踊り、爆音の音楽。日本ではなかなか味わえないエネルギッシュな雰囲気の中で走れたことは、本当に特別な経験でした。最後のブルーカーペットのゴールは格別でした。ケープタウンマラソンは、ワールドマラソンメジャーズ第8戦候補として注目されていますが、今後さらに世界的人気大会になっていくと感じました。
Q. 40代プロランナーとして活動してきていかがでしたか。
世界の舞台で戦いたいとの想いで2023年に5社の支援からプロ活動をスタートしました。オリンピックという分かりやすい枠組みを持たない挑戦は、想像以上にシビアなもので、関心を持ってもらえない悔しさも味わいました。特に2024年のシドニー大会の年は、9社ものご支援をいただきながらも、結果で応えることができず、翌2025年には4社が離れていくという、厳しさを突きつけられる経験もしました。今年度は6社のパートナー社と共に再び世界の頂点へと挑むことができたので本当に恩返しができてよかったです。また選手だけでなく、地域のランニング文化を育てるために大会開催にも注力してきました。トレーニングと大会運営の両立は過密なスケジュールでしたが、地元の企業さんや関係者は毎年開催を重ねるごとに「今年もやるんだね、頑張って!」と声をかけてくれました。継続してきたからこそ得られたこの絆があるから、これからも地域のために走り、そして挑戦の場を作り続けたいと思います。
※こちらから記事検索ができます。

ランナーズ7月号 5月21日発売!
ロンドンで人類初の2時間切りが誕生!
「驚異的ペースアップの裏側」
4月26日に開催されたロンドンマラソンで、ケニアのセバスチャン・サウェ選手が1時間59分30秒をマークし人類初のフルマラソン2時間切りを達成しました。この記録が実現した背景について、筑波大学の鍋倉賢治先生が科学的見地から分析。今後の記録更新に向けての注目点についても言及しています。また瀬古利彦さん、藤原新さん、吉田響選手ら識者もコメントを寄せました。
第22回全日本マラソンランキング
2025年4月から2026年3月の1年間、日本国内で開催されたフルマラソンの各種データをまとめた「全日本マラソンランキング」。対象大会数は108大会で過去最多でした(前年度92大会)。メインのコンテンツの「フルマラソン1歳刻みランキング」は各年齢上位100位を掲載。本誌に掲載の、ランキングで誕生した記録やストーリーをピックアップする「偉大な記録からほんわかストーリーまで 全日本マラソンランキングトピックス×18」特集も合わせてお読みください。
週一スピード走は月間走行距離100km増と同効果!
& プレイバックRUNNERS Since1976「継続できるスピード走」
今年、ボストンマラソンの参加者(2022年)を対象にしたトレーニング調査の結果が報告されました。それは「レース記録は、走行距離に加え “スピード練習の回数” と強く関連している」というもの。この研究を踏まえて、兵庫県立大学の森寿仁先生が春先からスピード走を実践することの有効性を解説します。
本誌購入は年会費7,800円「ランナーズ+メンバーズ」がお勧め!
「ランナーズ+メンバーズ」は毎月最新号が自宅に届く(定期購読)だけでなく、「デジタルで最新号&2011年1月号以降が読み放題」「TATTAサタデーランが年間走り放題」「会員限定動画&コラム閲覧可」のサブスクリプションサービス! 年会費7,800円の超お得なプランです。



