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ランナーズonline

フルマラソン レース中の「困った」を解決

2026年7月10日


9月以降、全国各地でフルマラソンが開催されています。出走した皆さんは、トラブルなく終えられましたか? どんなに練習を積んでも、万全の準備をしても、レースではなぜかトラブルが起こってしまうもの。本特集では、多くのランナーが経験するレースでの3つの「困った」を取り上げ、コーチや専門家が対策を指南します。「困った」を抱えている皆さん、今冬のレースに向けてぜひ参考にしてみてください。





困った①:頻繁にトイレに行きたくなる

本物ではない尿意は我慢できます

レース当日のトイレマネジメントはランナーの大きな関心事。ここでは頻繁な尿意に困っているサブスリーランナー関口篤史さん (50歳) の悩みに、自身の YouTube でもトイレ問題について解説している原田拓コーチが答えまます。まずは原田コーチが持論を述べました。


トイレアンテナの感度問題と体内の水分に対する理解問題

トイレアンテナ”の感度問題
この問題の論点は二つあると思います。一つはトイレに対するアンテナの問題。尿意を催すのは、「トイレアンテナ」の感度が高くなっているからです。トイレのことばかり考えて頭の中が尿意に占領された状態です。行きたいときに行けない、そう思うと、そのストレスが偽物の尿意を育てるのです。尿がたまっていないのにアンテナが立っているからトイレに行きたくなる。その尿意は本物ではないので我慢できます。

体内の水分に対する理解問題
もう一つは身体に蓄えられている水分量を把握しているかという問題。レース前は水分をたくさん取っておかなくては、と考える人が多いと思います。でも大会直前は多くのランナーは練習量を落とすので、発汗量が減ります。実は体内の水分は思っている以上に蓄えられており、余っている可能性もあります。余った分は尿になります。
食事だけでもけっこう水分を取れているというのも、意外に見落としがちです。たとえばレース当日の朝、おにぎり3個、味噌汁、バナナ、エネルギーゼリーをとったとすると、これで約600mlの水分を摂取できているのです。1時間のジョギングによる発汗量は、気温10℃の冬場は500~750mlです※(※条件によって異なる)。前述のようにレースが近づくとこれより減ります。
とすると、脱水にならないようスタート前にとった水分は余分かもしれません。夏場は別ですが、冬のマラソンは足りない分は給水所で補えばいい、と考えてみましょう。また身体が一度に吸収できる水分量は200~250mlといわれています。給水所で一度にガバガバ飲んでも全ては吸収されません。一定量を超えると水分が体内にあふれて、尿になるだけです。
こういった全体感を理解し、水分の出入りを数字で把握したうえで冷静に考えるのです。私の持論は「尿意の問題は算数で解決できる」です。計算上、余分にとっていないはずなのに尿意が出たら「変だぞ、これは本物の尿意ではないな」と、いま感じている尿意が本物か偽物かが分かり、すぐトイレに行くべきか否かを正しく判断できるのです。



原田コーチの解決策
まずは身体の水分の出入りを数字で把握する余分に水分をとっていて尿意を感じる(本物の尿意)→水分の取り方を見直す
余分に水分をとっていないのに尿意を感じる(偽物の尿意)→我慢できる(別のことを考えているといつの間にか忘れる)。給水が必要か判断する。


関口さんにアドバイス

関口:今年の勝田と静岡は途中でトイレに行って、ぎりぎりでサブスリーでした。
原田:レース中トイレに行ったとき、尿はたくさん出ますか。
関口:思ったほど出ません。
原田:ということは、気にしすぎが原因でトイレに行きたくなっている可能性が高いです。
関口:確かにレース当日、尿意を催していないうちからトイレのことばかり考えています。
原田:トイレアンテナの感度が非常に高い状態ですね。
関口:実は練習の30km走でも20kmくらいでトイレに行きます。
原田:私の経験談ですが、2年前の新潟シティマラソンでスタート地点に整列してから尿意を感じました。視線の先にトイレらしきものが見えたので走っていったら、自転車置き場でした(笑)。結局トイレは行かれずにスタートしましたが、そのうち忘れていました。その後、私がトイレに行ったのはゴール後ホテルに戻ってからです。これは偽の尿意だった証拠です。一度、練習中に行きたくなっても我慢して、尿意を気にせず走り続けてみてください。トイレ以外のことを考えてみるのです。
関口:やってみます。
原田:レース中、給水はどんなふうにとっていますか。
関口:毎回とるとタイムロスになるので、2回に一度とり、一回でコップ2杯分、飲みます。
原田:一度にたくさん飲んでも全ては吸収されないので、おしっこのために飲んでいるようなものです。いずれにせよ、本物の尿意か偽物の尿意かを判断できるよう、まず自分の身体の水分の出入りを数字で把握してみましょう。


「尿の色」で給水が必要か判断する 排尿量を把握することも大切  解説/西村かおる(日本コンチネンス協会名誉会長)

冬は、冷えも排尿、排便に影響します。ランニング途中で下痢になりやすい人は、ワセリンなどオイルを腹部に塗ることで、風、汗による冷えを防ぐことができます。排尿に関しては、普段から尿が近い人はランニング直前はコーヒー、紅茶、緑茶など利尿作用の高い飲み物を避けます。また冷たい飲み物は吸収を高めますし、腸を冷やすことにもつながるので、できれば温かい番茶などをお勧めします。
必要以上に水分を摂取しないことも大切。具体的な数値は個人差もありますが、ランニング前の尿の色が薄黄色から透明であればそれ以上飲む必要はありません。ランニング中は汗のかき方や気温から判断して摂取してください。
一日の「排尿量」を把握することも大切です。目安として、体重(kg)×20~25ml(体重50kgであれば1000~1250ml) であれば正常、体重×40mlであれば多飲多尿(飲みすぎ、出しすぎ)です。
男性40代後半以降で頻尿の方は前立腺肥大症の可能性もあります。これはほとんどの男性に起こるもので、診断されれば治療薬が処方されます。また性別関係なく、加齢に伴い過活動膀胱になる可能性も大きくなります。これも診断を受ければ薬で対処できます。



■指導/はらだ・たく:プロランナーとして活動しながら名古屋でランニングスクールFROGを運営。フルマラソン自己ベスト2時間19分20秒

文/吉田誠一





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