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「世界との差は準備から」トレラン日本代表が語る五輪にむけた課題と展望
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写真左から甲斐大貴選手、川崎雄哉選手、秋山穂乃果選手、笠木肇選手、近江竜之介選手、福田六花日本トレイルランニング協会会長 |
スペインで昨年9月に開催されたトレラン世界選手権で、12位が最高位に終わった日本代表。1月31日(土)に実施された報告会で語られたのは「3日前現地入りvs 1カ月前合宿」という準備格差と、五輪種目化を見据えた競技改革への具体的ビジョンでした。吉田響選手(サンベルクス)ら陸上トップ選手もトレラン興味を示す中、日本トレランが世界に挑む展望とは。
準備段階から始まる海外との格差
「フランスチームは1ヶ月前から何回もピレネーで合宿を行い、シェフやコンディショニングスタッフが帯同していました。スペインチームも同様です。一方、日本チームは3日前の現地入り。準備の段階で既に差ができていました」
サロモングローバルチーム所属の近江竜之介選手(ショートトレイル17位)は、海外チームとの準備体制の違いを語りました。定期的にスペインを訪れている近江選手の報告によると、カタルーニャ州やバスク州では州ごとにチームがあり、世界最高の山岳アスリートの一人であるキリアン・ジョルネ選手のような世界的選手が若手にアドバイスする環境が整っているといいます。
日本勢最高位12位となった秋山穂乃果選手は、海外選手が補給方法を始めとする科学的なメニューに日頃から取り組んでいることに言及。今後は走ることだけにフォーカスした練習方法を根本的に変える必要性を感じたと振り返りました。甲斐大貴選手(ロングトレイル95位)は、ヨーロッパの選手が上りをポールを使って歩く速さに、日本人選手が走っても追いつけなかったと報告。会社員として働きながら世界に挑戦する笠木肇選手(ショートトレイル43位)も、険しいガレ場でのサーフェス対応力で大きな差を感じたといいます。
五輪種目化を見据えた道筋
準備段階からの海外との差は、トレランが文化として根付き競技人口の規模が日本よりはるかに大きいこと、それに伴うトップ選手をサポートする仕組みが人的リソースからも資金面からもできあがっていることがあります。
そういった背景に対して、現状注目されるのが、陸上競技トップ選手の参入と若年層育成システムの構築です。特に追い風となっているのが、トレイルランニングの五輪種目化への具体的な動きです。
2024年のパリ五輪開催中の8月5日、国際トレイルランニング協会(ITRA)は「トレイルランニングのオリンピックとパラリンピックのレガシー」と題したプレスリリースを発表。ITRAとしてトレイルランニングの五輪・パラリンピック競技種目化への取り組みを進めていることを明らかにしました。
日本トレイルランニング協会の福田六花会長は、陸上界との具体的な接点を明かしました。「サンベルクス所属で日本トップランナーの一人である吉田響選手に会いに行き、トレイルランニング出場への興味を示してもらっています。こうした陸上のトップ選手に積極的に声をかけ、レース参加を促すことで競技レベルの底上げを図りたいです」
6大会連続出場の川崎雄哉選手(ロングトレイル67位)は育成面での課題を指摘。陸上を引退した人がトレイルランニングに来るだけでは限界があり、近江選手のように9歳から山を走る選手が続々と出てこないと世界との差は広がる一方だと分析しています。さらに、キッズレースの増加を評価する一方、アンダー20の選考レース実施により高校生世代のトレイルランニング参入機会を増やす必要があるとも提案しました。
YouTubeで10万人超のフォロワーを持つ甲斐選手は、競技普及の課題についても言及。山へのアクセスや必携品の複雑さなど参入障壁があるものの、一緒に初めてのトレイルレースに出場するなど具体的なサポートでロードランナーにトレイルの魅力を伝える活動を続けているといいます。
五輪種目化への可能性が浮上する中、日本は陸上界との連携、科学的トレーニングの導入、若年層育成システムの構築などをどう実現していくか。日本トレランチームの世界を見据えた挑戦はこれからも続きます。
世界マウンテン&トレイルランニング選手権2025(WMTRC 2025)
開催日:2025年9月25日(木)~ 28日(日)
場所:スペイン・ピレネー山脈(カンフランク)
日本代表選手結果
●ロングトレイル(女子 82km)
秋山 穂乃果:12位、吉住 友里:60位
●ロングトレイル(男子 82km)
吉野 大和:51位、川崎 雄哉:67位、西村 広和:78位、甲斐 大貴:95位、田村 健人:106位
●ショートトレイル(男子 42km)
近江 竜之介:17位、笠木 肇:43位 、上田 瑠偉:46位、小笠原光研:95位
●ショートトレイル(女子 42km)
髙村 貴子:52位
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