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【40歳以上の初サブスリー達成術①】「達成の決め手は空腹3時間走」

2024年8月22日

初サブスリーを達成した2021年の富山マラソン。40km手前からスパートをかけ、「あと何秒削り出せるか……」と考えられるラストだった

初サブスリーを達成した2021年の富山マラソン。40km手前からスパートをかけ、「あと何秒削り出せるか……」と考えられるラストだった


2023年度に達成したのは全完走者の3.6%(全日本マラソンランキングより)で、多くのランナーにとっての憧れとなっているサブスリー。そのサブスリーを40歳を超えてから初めて成し遂げたランナーを紹介する連載がスタートします。初回は3時間走の実践によって21年富山マラソンで2時間57分で走った宅島豊人さん(48歳)です。


宅島豊人さん(たくしま・とよひと)
1975年生 48歳 会社員

サブスリーを達成した大会とタイム:2021年富山マラソン(2時間57分56秒)
現在の自己ベスト:2024年東京マラソン(2時間51分38秒)

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宅島さんが走り始めたのは38歳のとき、イベント参加のつもりでエントリーした東京マラソンに当選したのがきっかけだった。

「学生時代はサッカーで身体を動かしていましたが、マラソンは未知の世界でした。初マラソンは4時間17分で完走。その後も記録が少しずつ縮まり、3時間半を切るために平塚潤さんの塾に入りました。平塚さんに言われたことを忠実に実行し、マラソンを始めて4年目に3時間半を切り、8年目には別府大分マラソンで3時間8分58秒。そのくらいから、サブスリーの文字が見えてきました」

38歳でマラソンの世界を知った宅島さんは、タイムが縮むと同時に体調や体重などの管理も行うようになり、日常生活では大好きな中華のランチを控えるようになった(通常身長178cm・64~65kg。レース時は62.5kgまで絞る)。


5000m 19分切りが絶対条件(?)

宅島さんが平塚潤さんの塾で教わり、常に気に留めていたのは「サブスリーの達成をめざすなら、5000m 19分切りを意識せよ」という平塚さんの言葉だった。サブスリーのレースペース4分15秒に対して5000m 19分(キロ3分48秒)を意識することで、心肺機能や動きに余裕を持たせるのだという。当時宅島さんの5000mは20分40秒。サブスリー達成を目指すランナーが多い塾で周りを見ると自分よりも速い人が多かった。

「速いランナーから刺激をもらい練習を重ね、2020年7月時点での5000mは19分3秒。19分切りまであと少し、と1000m×5本や200m×12本、400m×8~12本など様々なスピード走を実施しました」

その結果2020年11月の5000mは17分59秒。「18分切りを達成しかなりの自信となった」という。


撃沈から取り入れた「空腹3時間走」

5000mのタイムは伸びていた宅島さんだが、サブスリー達成をめざしたフルマラソンでは苦戦が続いていた。

「スピード強化で練習の効果を感じており、2021年に入った頃から、もうサブスリー達成は可能だろうと思っていました。しかし、荒川河川敷で開催された東京チャレンジマラソン(3月)では気合いを入れたものの撃沈。サブスリーどころか後半脚が重くなり気力もなくなり36kmで棄権、自分にがっかりしました。当日ゲストランナーだった平塚さんにいくつかアドバイスをいただいていたのですが、現地で“宅島さんジョグやってないものね……距離が不足しているんじゃないかな”と言われ、ハッとしました」

それまでゆっくり長く走ることを重要視していなかった宅島さんだが、この経験から練習メニューに3時間走を加え、特に意識して長く走るようになった。たとえば、土曜日の早朝6時、水を1、2杯だけ飲み、脂肪が燃焼しやすい空腹のまま3時間走をスタート。キロ6分前後のペースで、どのくらいの距離で脚が重くなるのかを確認する。

2021年11月の富山マラソンを本命レースとし、8~9月で計5回空腹3時間走を実践。「空腹で走るのは辛いけど、この練習がなければサブスリー達成は無理でした。あらためて地脚づくりの大切さを実感しました」

富山マラソンでは失速することなく、35kmを過ぎてからも1分以上の貯金を携えたまま余裕を持ってフィニッシュ(2時間57分56秒)。5000mでスピードを、3時間走でスタミナを強化し、走り始めて9年目にサブスリー達成を果たした。

2024年は9月にベルリン、11月富山、12月防府のスケジュール。現在の課題は1000mのインターバル走を3分30秒で走れるようにすること。2時間47分30秒を目指している。






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