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出雲駅伝出走1週間前まで船上生活 北海道大学の走る研究者たちの「船の上でも速くなる方法」
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10月13日に開催された学生三大駅伝の開幕戦「出雲全日本大学選抜駅伝競走」。このレースに出場した北海道大学でアンカーの6区を走った秋野僚太選手(博士課程1年/写真左)は、8月末から研究のため船で北極を訪れ、陸に戻ってきたのは10月6日でした。また、出走はならなかったものの、同大学10人のエントリーメンバーに入った宮瀬陸選手(博士課程1年/写真右)も研究のため8月初旬から9月末まで船上生活を送りました。2人に「船の上でも速くなる方法」を聞きました。
プロフィール
秋野僚太選手:
北海道大学博士課程1年、出雲駅伝6区出場、フルマラソン自己ベスト2時間24分12秒
宮瀬陸選手:
北海道大学博士課程1年、1500m自己ベスト3分50秒41
――出雲駅伝お疲れ様でした。感想を教えてください。
秋野 沿道にずっと応援がいて、走っていて楽しいと感じました。もう一度あの舞台で走りたいですね。
――お二人はレース間際まで船の上にいたとのことですが、どのようにトレーニングをしていたのですか?
秋野 だいたい年に1回1~2カ月航海があるのですが、今回はそれが出雲駅伝の前でした。僕の乗っていた船にはトレッドミルがあるのものの、最高速度がキロ4分ということもあってスピードを上げた練習はできないので、船に乗る前の期間でできるだけ必要な練習は積んでおきました。船では空いた時間に15~20kmトレッドミルで走ることを基本に、時々タバタプロトコル(筋トレなど20秒の高強度運動と10秒の休息を計8セット行うトレーニング)などで刺激を入れました。同じ船の人には「昨日は何キロ走ったの?」とよく聞かれました(笑)
宮瀬 僕の船はトレッドミルがありませんでしたが、機材を出していない時は甲板上を走れるので、30mぐらいのところを30~40分とかグルグルしていました。あとは縄跳びをよくやっていました。10秒跳んで10秒休んだり、5分間跳び続けたり。無酸素系の動きを入れるため、三重跳びをしたりすることもありました。
秋野 僕が今回乗った船は、前に宮瀬くんが乗った経験があるんです。ですので、設備を聞いてから持ち込むものを考えました。
宮瀬 道具によってできないトレーニングはありますからね。バーピージャンプやもも上げはどこでもできるので、タバタプロトコル的によくやりますね。
――船だとウェイトコントロールが難しいイメージがあります。
宮瀬 そうですね。けっこうご飯はがっつり出るので、そこは自分で気を付けて調節する感じです。
――今回のトレーニングの効果は表れましたか?
宮瀬 縄跳びなどのおかげか、陸に戻ってから接地の感覚は良かったです。ただ、前に進む動きができていないので、動きの連動がうまくいかなかったです。出雲駅伝10日ぐらい前に部内でタイムトライアルをしたのですが、その結果選手には選ばれませんでした。
秋野 その頃僕はまだ海の上にいたので、1週間前に1人でタイムトライアルをして、そこで自分なりのいい走りができて選手に選出されました。トレッドミル走の効果はあったかなと思います。
――2人とも船に乗るような研究をするとなった時、陸上を辞めようとは思わなかったんですか。
宮瀬 それはないですね。確かにできないことも多いのですが、例えば故障して走れなくなった時にするメニューも船の上で行っている練習が参考になりますし、プラスになることもあります。
秋野 辞めようと思ったことはないです。北海道は冬場雪で走れないことも多いので、そんな時は船の上での練習と同じでトレッドミルを走るので、経験が生かされている部分もあります。
――出雲駅伝出場校は充実した環境の大学も多い中、2人は異色ですね。
宮瀬 陸上はもちろんタイムで決まるのですが、そういうバックグラウンドに興味を持ってくれる人もいる。いろんな人がいて、いろんな速さや強さがあるというのが、陸上の面白いところかなと最近感じていますね。
秋野 環境を実力が足りない言い訳にはしたくないと思うのですが、そういった背景がある人が速く走れるのは面白いことだと思うので、突き詰めていきたいです。そのためにやっぱりもっと速くなりたいです。
――今後の目標は
宮瀬 僕は中距離種目が専門なので、日本選手権出場を目指したいです。あと、出雲駅伝に出場して区間一桁で走りたいです。
秋野 自分はまずメインの種目であるフルマラソンで2時間20分を目指したいと思います。
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