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「走るZ世代」増加中(全8ページ/8ページ目)
FUTURE
次のランナーたちは、もう走り始めている。
小学校の朝ラン、高校生の自主練習会。教育の現場では、走ることを通じて達成感や仲間とのつながりを得る体験が広がっている。
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海城中学高等学校:東京都新宿区にある完全中高一貫の男子校。1891年創立。「リベラルでフェアな精神を持った『新しい紳士』の育成」を教育目標に掲げる進学校で、生徒主体の活動や体験型学習にも力を入れている。
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指導を担当する石塚泰啓先生 |
海城中学高等学校 朝30分が挑戦する力を育てる
毎週水曜と土曜の朝7時20分開始の有志による朝ランニング。約30人の高校生が、戸山公園に集まる。当初は10分も続けて走れなかった生徒が、2カ月もすれば30分以上を歩かずに走れるようになり、朝起きるのが苦手だった生徒は「今日はみんなと走る日だから」と時間通りに登校できるようになったという。
友人に誘われて始めた参加者の一人である小林さんは「目標を持つことで走ることが楽しくなり、続けられている」。吹奏楽団とラクロス部を兼部する吉備さんは、ゆっくりであれば長く走れることを発見し「ハーフマラソンなら完走できるかも」と感じている。森本さんは朝ランによって体重が3㎏減ったという。
指導する石塚泰啓先生は、かつて持久走が苦手だった。10年ほど前から無理なくゆっくり走ることを続けるうちに「持久走は苦しいもの」というイメージが「続けるほど楽しくなるもの」へと変わった。その経験を、生徒たちとも共有したかったという。
「努力を積み上げる感覚が自信につながった、継続力や自制力が身についた、集中力が高まった、新しい趣味を見つけたなど、生徒たちは幅広い効果を実感しています。自分には無理だと思っていた生徒が、気づけばみんなと一緒に21㎞を完走している。そういう成功体験を共有できることも、この取り組みの価値だと思っています」
週2回、朝30分のランニングという成功体験が、次の挑戦への背中を押している。
中富小学校 みんなで走る。だから走るのが好きになる
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東京都大田区大森東にある公立小学校。地域とのつながりを大切にし、持久走大会や地域を活用した体験活動など、体力向上と豊かな人間性を育む教育に取り組んでいる。
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森伸一校長と佐藤暁子副校長はどちらもランナー |
「いつも、だれが一番速いか競争になる。苦しいのを我慢して、走り切るとすごい達成感がある」「3年生から参加してる。みんなで走ると笑顔になる」「速くなりたくて、実際に速くなれた」
東京都大田区の中富小学校は夏休みに入った7月末の5日間、午前6時半からのラジオ体操に合わせてランニング教室(朝ラン)を催した。就任2年目の森伸一校長(64歳)が昨秋に始めた取り組みで、今回が第6弾。7月29日は50人ほどの児童がランニングドリルで肩甲骨や股関節を回しながら動きづくりをした後、近隣の大森ふるさとの浜公園で約1㎞を走った。
かつて中学校の陸上部顧問を務めた森校長は「朝ランの目的は早起きの習慣づけと体力向上。運動が好きな児童を育みたい」と話す。よく通る声で声を掛けながら、きれいな走り方を身につけるためのドリルを実演。「自分もテンションが上がる。子どもたちが変わっていくのを見るのは楽しい」と話す。
朝ランのスタートに際し、佐藤暁子副校長は「足が速い子だけのためでなく、運動が苦手な子も『走るのは楽しい』と思えるようなものにしてほしい」と要望した。「ランニングはつらいもの」と思われがちだが、活気にあふれる森校長の雰囲気づくりが奏功し、子どもたちはみな、「楽しさ」を口にする。雨で中止の日や、朝ラン期間終了後に間違って来てしまう児童もいるそうで、森校長は急きょ、一緒に走る。
中富小学校は12年から毎年、大森ふるさとの浜辺公園にて全校持久走大会を開催してきた。前回は日本郵政グループ女子陸上部の菅田雅香選手がスターターを務め、児童たちと一緒に走った。1年前を振り返り、佐藤副校長は「前の年に途中で歩いていた子が昨年は走りきることができた。それが自信になって表情が変わった」と喜ぶ。
毎年12月には5、6年生から選抜された男女計16人が大田区小学生駅伝大会に参加。「駅伝出場を目標にしている子も多い」といい、昨年は過去最高の9位に食い込んだ。地元で開催されるおおたランニングフェスティバルには家族で参加して楽しむ児童もおり、「走るのは楽しい」という原体験が、未来のランナーを育てている。
取材・文/吉田誠一
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