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ついおろそかにしがち!? 「質の良い睡眠」こそがパフォーマンスを高める!(PART1)

2022年2月22日

Question
少ない平日の自由時間。トレーニングは残業帰りの夜にしたり、早朝にしてみたり、どちらも睡眠時間を削りながら捻出しています。練習は欠かせないと思って頑張っているものの、日中に眠気を感じることも…。ランナーとして、これで良いのでしょうか?

Answer
健康維持に欠かせないのは「食事」「運動」「睡眠」の3大要素。リカバリーの柱である「睡眠」を質・量ともに十分、戦略的にとることこそが、スポーツパフォーマンスのカギを握っています!


回答者:深野祐子(管理栄養士・ランニングコーチ)


「睡眠」はリカバリーのための必須時間

――ランナーとしてレベルアップしたい、と日々頑張っています。良いと聞いたトレーニングは実践しますし、栄養面を工夫してみたりすることも。でも睡眠に関しては……正直あまり重視できていません。できるだけ練習時間を捻出したいですから!

深野先生(以下F):そのような市民ランナーの方の声はたくさん聞きますね。でも睡眠は、身体や精神的な疲労を回復させる役割だけではなく、傷ついた組織の修復、ケガの治癒を促す、免疫機能の強化など、非常に重要な役割を担っているもの。スポーツパフォーマンスの向上や維持にも欠かせません。つまりランナーにとって「リカバリー」=「睡眠」は、練習同様に、とても大切なプロセスなのです。

――ドキッ。日々の「トレーニング」とセットで「リカバリー」も重視せよ、ということですね……。

F:そうですね。身体の回復のために、質・量ともに十分な睡眠をとることがパフォーマンスアップのカギを握っていますから。もしそれらが十分でないと、瞬発力や持久力などの身体パフォーマンス、注意力や記憶力などの認知的パフォーマンスも低下しますし、病気やケガのリスクも増えるといわれています。

――そうか……フィジカル面だけではなく、注意力も睡眠が関係しますもんね! ケガなどの原因にもなりそうです。そもそも自分の場合、夜の練習後、お風呂に入ってバタンキュー!なので、寝つき自体は良いと思っているのですが……。

F:一般に、運動することは良好な睡眠をもたらすと言われています。ランニングなどの有酸素性運動を長期間継続することで、寝つきがよくなる、深い眠りが増えるなど“睡眠の質”が改善されたという報告もあります。また、習慣的な運動をすることで、筋肉量が増えたり、体脂肪が減るといった身体組成の変化、運動によるストレス軽減効果なども影響して睡眠習慣の改善につながる、とも考えられています。


でも……市民ランナーはゆっくり眠るには忙しい!?

――私自身もそうですが、正直、うまく眠れないこともあります。とくに、夜にハードなトレーニングをした後は、疲れているはずなのに気が高ぶって眠れなかったりしますし、レースが近づくと緊張して寝つきにくいことも……!

F:そうですよね。市民ランナーの場合、仕事や家事などを優先して睡眠時間がおろそかになることもあるのですが、競技的にハードなトレーニングを実施しているがゆえに、十分な質や量の睡眠がとれていない、というパターンも多いんです。レース前の不安やイレギュラーな生活スケジュールも、睡眠を阻害する要素になってきますね。

睡眠時間を削った練習スケジュールを立てることは分かりやすい要因ですが、そのほかにも、不規則な食事、遅い時間まで飲酒すること、平日と休日で睡眠リズムが大幅に変わること(寝だめするなど)、寝る直前までスマホやPCなどの画面(ブルーライト)を見ることも睡眠の「質」に悪影響を及ぼします。

――運動して疲れてすぐ眠れているから問題ない!という単純な話なわけではないんですね。

F:その通り。パフォーマンス向上につながり、リカバリーの大きなカギを握る「睡眠」のとり方のコツを知っていただきたいです!


眠っている間に訪れる「睡眠の種類」には大切な役割あり!

F:まず睡眠には、「ノンレム睡眠(脳も身体も休息している)」「レム睡眠(脳は起きていて身体が休息している)」の2種類があるということは、聞いたことがあるかもしれませんね。睡眠は、入眠後約90分で訪れる「ノンレム睡眠」とそれに続く「レム睡眠」が朝までに4~5回繰り返し交互に現われ、朝方には「レム睡眠」の出現時間が長くなり、やがて目覚めを迎えます。

「ノンレム睡眠」は入眠直後が最も深く、明け方に近づくと眠りは浅くなり持続時間も短くなります。特に入眠後の深い眠りでは脳と身体を休ませてメンテナンスを行っています。
「レム睡眠」は浅い眠りで明け方に近づくと長くなりますが、明け方に向けて起きる準備を整える役割ももっています。

どの段階の睡眠にも意味があり、脳と身体に休息を与えるだけでなく、自律神経を整える、免疫機能の強化、記憶の整理・定着、脳の老廃物の除去など、重要な役割をもっています。

――睡眠はただ身体を休めているだけではなかったんですね…!!

F:特に、寝ついて最初の1~2回の「ノンレム睡眠」で睡眠全体の中でも深い眠りとなることが重要で、この時間に代謝に関わる“成長ホルモン”が活発に分泌されて、身体の細胞の修復が行われます。ランナーにとってトレーニングで酷使した身体の「リカバリー」にとても重要です。

――一度しっかり脳と身体を休ませ、やがて翌日の活動に向けて準備をする、身体のリズム。ちゃんとうまくできているんですね……!

F:そうです。だからこそ、自分にとって適切な睡眠時間と合わせて、これらをしっかり享受できるような、「質の高い睡眠」を得ることが重要になります。

――質の高い睡眠は、入眠がスムーズなだけじゃなく、より長く、深く、連続的な睡眠であると言えそうですね!

F:そのとおりですね。次回はランナーにとっての実践的な睡眠上達法をご紹介します。

(つづく)

PART2はこちら
PART3はこちら



《参考文献》
・健康づくりのための睡眠指針2014(厚生労働省)
・健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~に基づいた保健指導ガイドブック
・睡眠医療 アスリートと睡眠 Vol.14 No.1 2020(ライフ・サイエンス)
・臨床 スポーツ医学 アスリートと睡眠 Vol.36 No.7 2019(文光堂)
・基礎休養学 一般社団法人日本リカバリー協会(メディカ出版)
・トコトンやさしいアミノ酸の本(日刊工業新聞社)
・e-ヘルスネット 眠りのメカニズム(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-002.html
・いきいき健康研究所(味の素)
https://report.ajinomoto-kenko.com/suimin/nayami.html




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