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うどんと大浴場と地元の応援に温まる ~香川丸亀国際ハーフマラソン編~

2026年2月13日


照義、58歳、男。東京都在住。日課の早朝ランも、レース参加も基本は独り。誰にも気を遣わず、自分のためだけに贅沢な1泊2日を組み立てる。前日は名所を歩き、名物で腹を整える(走る前なので節度はある)。大会当日はマイペースで走り切り、ゴール後はグループ参加の乾杯を横目にレース後の身体を静かにいたわる。速さも順位も関係ない。走る、旅する、食べる―それを真剣に楽しむだけだ。
「孤独のグルメ」的ハーフマラソン旅、ここからスタート。


「孤独の時間がある人ほど、人生は深くなる。」
― ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(思想家)


大会にはいつも一人で参加している。

ランニングクラブには所属せず、走る仲間もいない。だから日帰り参加はもちろん、前泊する大会も一人。グループ参加の人たちを羨ましく思わなくもないが、誰に気を遣うことなく、自分勝手に動けるこの時間は何ものにも代えがたい。1泊2日ともなれば、ひとり時間の贅沢さは増す。レース前日に何を食べ、どこを歩き、何時に風呂に入るか、すべて自由だ。日常のストレスから解放され、胸に積もった孤独への渇望を満たすことができる。

今宵のホテルは大会会場から徒歩15分、大浴場付きの理想形。16時にチェックインして部屋に入り、Googleマップを開く。夕食は讃岐うどん一択だが、近くのうどん屋は定休日。周辺を探しても15時か16時で閉店する店ばかり。焦り気味に調べ続けると、21時まで営業しているうどん屋を発見。よし、助かった。ここから1.3km。さらに1.2km先には丸亀城がある。今日、明日は城がライトアップされるらしい。先に丸亀城まで足を延ばし、帰りにうどんを食べて帰ってこよう。


会場でもらったアイテム。手荷物預かり袋と一緒に、讃岐うどん、洗濯槽クリーナー、ケア商品などが入っていた

会場でもらったアイテム。手荷物預かり袋と一緒に、讃岐うどん、洗濯槽クリーナー、ケア商品などが入っていた


日の入り時間を待ってホテルを出発。30分ほど歩くと夜空は真っ暗になり、山の上に築かれた丸亀城天守が白く浮かび上がっていた。高さ日本一を誇るという石垣。その迫力に圧倒されながら、暗闇の坂を延々と上り、頂上から丸亀の夜景を見下ろす。ああ、日中には見られない光景だ。


ライトアップされた石垣と天守。全て形の異なる大きな石をどうやって積み上げたのか。

ライトアップされた石垣と天守。全て形の異なる大きな石をどうやって積み上げたのか。

高さ日本一の石垣の上から、丸亀の夜景を静かに見下ろす。

高さ日本一の石垣の上から、丸亀の夜景を静かに見下ろす。


帰りはいよいよ念願のうどん屋「桃山亭」に。店のイチオシは「肉ぶっかけうどん」らしいが、普通のかけうどんを注文し、セルフで天かす、ねぎ、おろし生姜、すりごまをのせて席へ運ぶ。まずは出汁(つゆ)をひと口飲んでからうどんを啜る。うまい。そこから箸の上下が止まらない。寒波の影響は四国にまで及び、寒い夜道で冷え切った体をこの一杯がしっかり温めてくれる。どんぶりが空になるまでつゆを飲み干すと、お腹も心もすっかり満たされた。


炭水化物と一緒にたんぱく質もしっかり摂る。このとり天も美味かった

炭水化物と一緒にたんぱく質もしっかり摂る。このとり天も美味かった


ハーフマラソンのスタートは3回に分かれていて、私の区分は3回目の10時55分スタート。おかげで朝はゆっくりできる。朝食バイキングではあれもこれもと欲張りたい気持ちをこらえ、ご飯中心の和食チョイスでまとめた。

のんびりと会場まで歩いて行くと、すでにサブトラックでは多くのランナーがぐるぐるとアップを始めている。この大会は今年から始まったジャパンプレミアハーフシリーズ(JPHS)の1つであり、記録狙いのランナーもたくさんいるのだろう。

スタートブロックの閉鎖時間に遅れることなく、かといって早過ぎることもない絶妙な時間に荷物を預け、トイレに並ぶ。レースを快適に走れるかどうかはこの時間配分にかかっている。トイレの順番がスタートまでに間に合うかハラハラしたが、ぎりぎりセーフだった。

ゲストの千葉真子さんに元気に見送られ、スタート地点のマットを通過。「ピー、ピー」という計測タグの反応音を聞きながら、ゆるゆると走り出す。周りのペースに巻き込まれないことが大事。GPSウォッチはキロ5分45秒ペースを表示している。上出来だ。

序盤は国道11号線を北上し、丸亀城方面へ。「前半追い風、後半向かい風。前半がラクに感じても、あなたの調子がいいせいではありません!」と、スタート前にゲストの青山剛さんが話していた。それにしても、このコースはアップダウンが少なくて走りやすい。沿道の応援は途切れることなく続き、コースの反対側をエリート選手たちが颯爽と走っていく。太鼓やブラスバンドの演奏に励まされるポイントも多い。ラスト2kmぐらいでは、野球部の高校生が野球部らしい大声で応援してくれる。「最後は笑顔で!ラスト、ラスト!」

競技場内のフィニッシュはやっぱり気持ちがいい。今日のような晴天だとなおさらだ。ボランティアスタッフから完走賞のバスタオルを受け取る。


歴史ある善通寺龍神太鼓の演奏に、最後の力を振り絞る

歴史ある善通寺龍神太鼓の演奏に、最後の力を振り絞る


着替えた後は会場内の「にぎやか村」へ。目当ては完走後の一杯(うどん)だ。屋外で食べるうどんはまた格別。遠路はるばる来てよかったなあと思う。ペースを抑えて走ったせいか、疲れはさほど感じない。さて、丸亀名物「骨付鶏」も食べて帰るとしよう。



~3日後、JPHSのエイジランキングが発表になった。どれどれ、自分の順位(50代)は84人中61位。うん、まだ本気は出していない。ここから少しずつ順位を上げていく楽しみができた、としようか。次は3月8日、名古屋シティマラソンだ。


注釈:ジャパンプレミアハーフシリーズ(JPHS)……全国の主要ハーフマラソン大会が手を取り合い、ひとつのシリーズとして連携することで、これまでにない新たなランニング体験の創出を目指している。
https://jphalf.jp/



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