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ランナーズonline

プロフェッショナルたちのスポーツビジネス論 「何かを選択する際は緊張する方を選ぶ(元Jリーグ・チェアマン村井満氏)」

2026年8月26日

東信堂/2420円(税込)

東信堂/2420円(税込)


日本テレビ放送網株式会社で取締役常務執行役員を務めるランナー・岡部智洋さんと、桐蔭横浜大学学長・森朋子さんの著作『大学で育つアスリートのライフキャリア― “部” 活動を「学びファースト」へ』が4月に東信堂から発売された。箱根駅伝に代表される学生スポーツの意義は? 読売新聞の近藤雄二記者が書評を綴った。


大学4年間、スポーツに打ち込んだ学生アスリートたちには、さまざまな力がある。目標達成へ突き進む力、困難にぶつかっても乗り越える力、技術獲得へ粘り強く継続する力、チームで成果をつかむための団結する力――。しかし、これらの力を、学生アスリートたちは社会で十分に発揮できているだろうか。 本書では、この問いを発端に、大学部活動で培った人間性を、いかに社会で活かせるのかを提示していく。その中核をなすのが桐蔭横浜大で行われた「アスリートクロス」の特別講義録だ。

著者の一人であり、特別講義をコーディネートした岡部智洋氏は、フル3時間7分17秒のベストを持つランナー。日本テレビホールディングスの経営に携わる傍ら、桐蔭横浜大学客員教授として教壇に立った。特別講義には、WOWOW代表取締役会長執行役員で日本車いすバスケットボール連盟会長の田中晃氏、アールビーズ社長の黒崎悠氏、Jリーグ・チェアマンなどを歴任した日本バドミントン協会会長の村井満氏、文藝春秋執行役員でNumber局長の松井一晃氏ら、スポーツに関わる第一線で活躍する豪華講師陣が登場(※本文中の肩書きは書籍掲載時のもの)。それぞれの経験を基に、学生たちに実践的なアドバイスを伝えている。

村井氏は、何かを選択する際、「緊張する方を選ぶ」ことを勧めた。「『緊張しなくなった』という人がいれば、その人は成長したんじゃなくて、成長がそこで止まっているのかもしれません」と投げかけた。

松井氏は、スポーツ・アスリートの魅力の一つとして「アスリートの経験、内面から出てくる独自の言葉を持っている」ことを挙げ、「自分の言葉で語ろう。言葉でも記憶されるような選手になろう」と呼びかけた。

講義録の結びには、同大の桜井智野風スポーツ科学部教授が学生アンケートの内容を分析。初回の頻出語が「スポーツ」「楽しみ」「経験」といった言葉だったのに対し、最終回は「考える」「人生」「将来」「社会」などに変わったことが記された。

受講生約120人の多くは、体育会系の学生だったという。桜井教授は語彙の変化について「学生の学びが『知識の獲得』から『自己の変容』への質的に転換している」と評価している。特別講義に触れた学生アスリートたちが、冒頭で示した問いに対し、自らのこととして真摯に向き合い始めた結果だろう。

講師陣が語るのは、スポーツを通じて得た経験を社会でどう活かすかという視点だ。黒崎氏は自身の陸上競技経験がランニングビジネスにつながった歩みや、マラソン大会の価値について論じた。競技レベルや年代を問わず、走ることで得た経験を人生につなげるヒントが詰まった一冊だ。



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