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38歳で2時間21分 産後1年弱でパリ五輪出場の豪ママさんランナー「産後、自分の力を最大限に引き出す能力が向上した」
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パリ五輪は産後1年弱で出場し2時間26分45秒(13位) |
昨年12月のバレンシアマラソンで、2時間21分22秒のオーストラリア女子マラソン新記録を樹立したジェシカ・ステンソンさんは38歳、2児を育てながら第一線で活躍するママさんランナー。2024年のパリオリンピックでは、第二子出産後半年での選考レースをクリアし、産後1年足らずでオーストラリアチームの女子マラソン代表として出場。2時間26分45秒・13位の成績を残しました。
バレンシアマラソン後に3人目を懐妊し、現在はトレーニングを休止中ですが、出産後にロサンゼルスオリンピック代表を狙うと言います。出産によるトレーニングの休止を、エリート選手としてどのようにとらえているのか、また産前・産後で実際に身体やメンタルにどのような変化があるのかを、インタビューしました。
⇒2時間21分の豪州女子新記録を出した38歳ママさんランナー 「夫の出勤前に18kmファルトレク」
――妊娠・出産をするということは、単に産前産後の一定期間トレーニングを中断しなければならないだけでなく、身体的な変化もありますし、子育てとトレーニングやレースを両立させていかなければいけません。アスリートとしてその選択に不安や迷いはなかったのでしょうか。家族を持ち、母としてオリンピックを目指すことは並大抵のことではありません。あなたがその強い意志を持つ根底にあるものは何でしょうか。
「はい、最初は(不安を)感じていました。2018年、私は4月のゴールドコースト・コモンウェルスゲームズ、7月のゴールドコーストマラソン、そして10月のトロントマラソンと、年に3回のマラソンに出場しました。その年の終わりには、肉体的にも精神的にも、そして感情的にも疲れ果てていました。トロントでは自己ベストを更新し、まだ向上できるポテンシャルがあると感じてはいましたが、それ以上に「お母さんになりたい」という願いが、競技を続けたいという欲求を上回ったのです。
いつかランナーとしてベストな状態に戻れたらいいなとは思っていましたが、妊娠、出産、育児には未知の要素があまりにも多く、それが自分にとって本当に可能なのか全く確信が持てませんでした。それでも、それまでランニングで達成してきたことには満足していましたし、それを(競技生活の区切りとして)受け入れていました。
幼い頃、私はオリンピックというムーブメントと、そこで競い合うアスリートたちに完全に畏敬の念を抱いていました。近代オリンピックの第1回大会から2000年代までのハイライトを収録したDVDセットを持っていて、いつかオーストラリア代表として出場することを夢見ながら、繰り返し何度も見ていたものです。
オーストラリアのために戦いたいという強い思いは、その頃の経験から来ているのだと思います。また、チームの一員であることへの愛着もあります。他のアスリートたちと一緒に過ごす時間は本当に楽しいですし、チームとして戦った選手権での経験は、私の最高の思い出のひとつです」
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左から夫のディランさん、長女エリーちゃん(2歳)、ジェシカさん、長男ビリー君(6歳) |
――産前と産後で、マラソントレーニングにおいて身体的な変化は感じましたか?
「以前よりも身体的に強くなったと感じています。2回の帝王切開を経て、走るために不可欠な脊椎の安定性と体幹のコントロールを取り戻すため、体幹を再構築することに重点を置きました。また、その時期は股関節や背骨が非常に硬くなっていたため、可動性と柔軟性の向上にも取り組む必要がありました。大きくなっていく赤ちゃんを抱っこしたり、授乳したりしているうちに、脚や上半身もかなり鍛えられたと感じています」
――産前と産後で、マラソントレーニングにおいて、また五輪や世界選手権を目指す上で、メンタル面ではどんな変化がありましたか?
「親になってからは、トレーニングや競技において精神的により自由になったと感じています。ランニング以外の生活が充実しているため、結果を出さなければならないというプレッシャーが少なくなりました。以前よりも『結果』ではなく『プロセス(過程)』に集中できるようになっています。
レース中も、今その瞬間に集中し、自分の力を最大限に引き出すための戦略を立てる能力が向上しました。親として、常に変化に対応し適応しなければならない環境にいるため、多くの刺激がある中でも冷静さを保つ練習を日常的に積み重ねています。これらはアスリートとして非常に強力な武器になっています」
――子を持つことで、アスリートとして良かったと思うことはどんなことですか?
「視点が変化したことです。私は家族と親としての役割を愛しています。そして、ランニングという活動が、私が親として『最高の自分』でいられるよう支えてくれていることに、心から感謝しています」
(取材・文/田岡万由子)
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