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かつて人間は狩猟時代、獲物を見つけたら持久走でじりじりと追いつめて、相手を疲れさせたうえで仕留めていました。
人間は長時間走るように進化することで、生き残ってきたのです。
加齢に伴う予防医学の切り札として、世界中でランニングが注目されています。
といっても大上段に構える必要はありません。
たとえば日常生活のちょっとした移動を、ウォーキングから、ランニング(会話のできる速度)に変えることで「走る総時間」を増やすこと。これだけで変わります。
大腿四頭筋や腸腰筋など大きな筋肉を使って走るスロージョグは、ウォーキングと比べてエネルギー消費は約2倍。
極めて効果的な減量法であることに加え、1日の総走行時間を増やすことで、心肺機能や脚筋力への刺激も同時に実現します。
加齢に伴う動脈硬化も高血圧もメタボもロコモ(運動器の機能低下)も老衰も、9割が走ることで解決できると言われています。
細切れに走って総走行時間を増やすことは、タイムを狙うランナーにもお勧めです。
マラソンに出場するランナーに、レース前の2週間、朝、昼、晩、合計で1時間の細切れスロージョグを続けてもらったところ、2kgの減量に成功し、走パワー計測(トレッドミルと自らの脚力で動かして測定)するとパワーが維持されていたという報告があります。
パワーがそのままで体重が3%落ちれば記録は3%向上します。これはレース直前の有効な調整法として注目に値します。
運動時にエネルギーを発生させるミトコンドリア。
このミトコンドリアの生合成には「PGC1a」という遺伝子が関与しています。
「PGC1a」はランニングによって発現しますが、1分走って30秒歩くことだけでも発現することがわかってきました。
汗をかき過ぎず、ウエアに着替えなくても日常生活のちょっとした時間にちょっと走って遺伝子を刺激できるのです。
走ることを、日常生活で当たり前にすることは、アンチエイジングにも、パフォーマンスアップにも貢献できるのです。
※月刊ランナーズより抜粋
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