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カラダを目標達成への最短距離にスタンバイ。トレーニングに励むランナーは「アミノ酸」を有効活用すべし!(PART1)

2022年4月15日

Question
「次のマラソンで自己ベスト更新!」が現在の目標です。週3回のトレーニングが欠かせない日々ですが、仕事が忙しい時期はその練習疲れも抜けず、準備がうまくいっているのか判断が難しいです。本番で最大限パフォーマンスを発揮するために何かできることはありますか?

Answer
長時間のトレーニング(1時間以上)や強度の高い練習をしているなら、普通の人以上に身体のタンパク質やアミノ酸が消耗していると考えましょう。練習量に見合ったエネルギー量や栄養素の摂取、十分なリカバリーをセットにして取り組むことで、パフォーマンスをぐっと引き上げることができます!


回答者:深野祐子(管理栄養士・ランニングコーチ)


トレーニングの「やりっぱなし」はもったいない!?

――次のレースで目標達成するには、これまでより負荷の高い練習が必要だと考えて実践しています。週1回は2時間近くのロング走を。インターバル走や坂道ダッシュも取り入れていますし、それからそれから……

深野先生(以下F):頑張っていますね! マラソンのように長時間の運動で十分なパフォーマンスをさせるためには、今実践しているような持久的なトレーニングや強度の高い練習(インターバル走など)を積み重ねることができれば、最後まで粘り強く走りきる持久力の向上が成しえると思います。

持久的なトレーニングや強度の高い練習を継続して行うことで心肺機能を高め、毛細血管が増え「酸素を取り込んで運搬する力」がUPしますし、「筋肉に糖を取り込む力」、長時間運動のパフォーマンスに必要な「グリコ―ゲンを合成する力」も高めます。脂質(体脂肪)をエネルギー源として効率よく活用できるようにもなるんです。

――なるほど! ということは、この感じで頑張っていけばいいですね!

F:ちょっと待ってください! やるべき練習をすれば良いパフォーマンスできるというのは半分正解で半分間違いなんですよ。

――と言いますと……?

F:まず、そもそも…の話になりますが、私たちがこうやって走ることができるのは、『筋肉』が動く(収縮する)から。『筋肉』がなければ、走ることはできません。筋肉は、走るうえでの動力源(エンジン)です。

長時間または高強度のトレーニングに耐えられるだけの“身体づくり”はもちろん、日々のトレーニングやレース本番でパフォーマンスを発揮するためには、運動中も“筋肉のコンディション”を維持していくことが大切なんです!

そして私たちランナーは、エンジンである『筋肉』を長時間動かして“走る”動作が継続できるよう、エネルギーを生み出す力(代謝)を高めたり、酸素を取り込んで全身に送り届ける力(心肺機能や循環系など)を高めていく必要があります。

そのために必要なのが、持久的なトレーニングや強度の高い練習です。こういったトレーニングを行ったり、長時間にわたるレース本番でパフォーマンスを発揮するには、エンジンを動かすのに“ガソリン”が必要なように、『筋肉』を動かすためにエネルギーを送り続ける必要があります。

さらにハードな運動によって身体にかかるストレスなどへの対策、そして運動後の身体のリカバリーまで、セットで取り組む必要があるんですよ!

――なるほど、闇雲にハードな練習を重ねているだけでは、パフォーマンスも落ちてしまうということですね。「スタミナアップ!」とエネルギー補給は意識していましたが、“筋肉のコンディションを保つ”ことや身体のリカバリーまではできていなかったかも…

筋肉をよい状態に保つことができれば練習にもしっかり取り組めるし、身体をしっかりリカバリーさせて、また質の高い練習を行うことができれば、目標達成への近道にもなりますね。とはいえ、私の場合まだまだそんな本格的なランナーじゃないし、そこまで取り組まなくてもいいような気も…

F:いえいえ、フルマラソンに挑戦するようになり、1時間以上のトレーニングを行う習慣が付いてきたら、健康運動の域を超えた『トレーニング』を行っていると心得てください! ランニングをしていれば普通の人より健康体だというイメージがあるかもしれませんが、リカバリーを軽視していると、気づかぬ間に筋肉や胃や腸などの内臓に負担がきたり、身体に炎症を引き起こしたり、免疫機能が低下して体調を崩しやすくなることもあるんです。

――ドキッ。実はロング走で追い込んだあとやレース後は、ちょっと風邪を引きやすくなる気がしています……。

F:真面目に練習に取り組むほど「走ること」ばかりに目が向きがちになりますが、練習量に見合ったエネルギー量や栄養素の摂取、トレーニングによるダメージからの回復(休養)を意識することが肝心。せっかくのトレーニングの効果が十分得られないだけでなく、コンディションの低下や故障の原因になってしまいます。

――質の高いトレーニングを積み重ねていくには、「適切なリカバリー」までをセットにして考えることが必要なんですね! しっかりした栄養摂取をするとなると……やはり「ガス欠」を防ぐ糖質が必要なんでしょうか?

F:もちろん、エネルギー補給として糖質の摂取は重要です! ただ、糖質は身体に蓄えられる量が限られており、貯蔵しているグリコーゲンが枯渇してしまうと、脂質(体脂肪)をエネルギーにうまく変えることができず、パフォーマンスを維持することも難しくなってしまいます。

持久的な運動でパフォーマンスを維持するためには、トレーニングやレース前に糖質を十分に摂ってためておくこと。特に長時間にわたるトレーニング中やレース中には運動中にも補給することが大切です。また、トレーニング後やレース後にエネルギーとして利用した分を再補充することは身体のリカバリーにも重要です。

それから糖質の十分な補給は、エネルギー源としての糖質(グリコーゲン)が不足することによって起こる、筋肉のタンパク質の分解をできるだけ抑えることにもつながります。そして、運動中も筋肉のコンディションを保ち、十分パフォーマンスが出来る状態を作るために、またトレーニングによってダメージを受けた筋肉をできるだけ素早く回復させるためには、筋肉の主成分であるたんぱく質やアミノ酸の補給が欠かせません。


持久的なトレーニングを行うランナーなら、たんぱく質・アミノ酸を意識的に摂取!

――筋肉の成分って……あえて補給しないと減ってしまうのですか?

F:走るために必要な筋肉の70~80%は水分で、残りのほとんどはタンパク質でできています。私たちの身体のタンパク質は生きている限り絶えず「合成」と「分解」を繰り返して新しく作り替えられています。特に運動していない人でも、毎日食事からたんぱく質・アミノ酸を摂取して、身体のタンパク質を合成するための材料を取り入れる必要があります。

長時間/高強度の運動など、ハードにトレーニングを行うランナーの場合、エネルギーとしてもアミノ酸を消耗したり、ダメージを受けた筋肉を回復するためにもたんぱく質・アミノ酸を必要とするため、必要量が多くなります。たんぱく質やアミノ酸の補給が十分ではないと、ダメージからの回復が遅れるだけではなく、筋肉の減少やコンディションの低下にもつながってしまうこともあるのです……。

――ああ…、それはまずいですね。

F:運動すること自体は筋肉のタンパク質合成を促すための刺激となりますが、同時に分解も促します。さらに強度の高い、あるいは長時間に及ぶハードなトレーニングを行うと、タンパク質やアミノ酸を激しく消耗してしまう……だからこそ、毎日食事や補食からたんぱく質やアミノ酸を摂取し、筋肉のタンパク質を合成するための材料を意識して、十分な量を取り入れる必要があります。より効果的な早期回復には、アミノ酸のロイシンを多く配合した必須アミノ酸「ロイシン高配合必須アミノ酸ミックス」が役立つことがわかっています。


●1日に必要なたんぱく質の推奨量

・軽度の運動をしている人の場合…体重1kgあたり0.8~1.0g
・持久的なトレーニングを行っているランナーの場合…体重1kgあたり1.2g~1.4g
(※体重1kgあたり1.8gの摂取で持久的なパフォーマンスが向上したとする報告もあります)


――ランナーはたんぱく質やアミノ酸も意識して、食事や補食で十分な補給を行うべき、ということですね!

F:そうですね。ランナーは走る際のエネルギー源となる“糖質”の補給を意識するだけでなく、走ることでたんぱく質やアミノ酸を消耗しやすく、リカバリーのためにも普通の人よりも必要量が増えていることを忘れずに!

また、糖質とたんぱく質・アミノ酸はあわせて摂取することで、筋肉のリカバリーとエネルギーとして使ったグリコーゲンの再補充の両方に効果的と言われています! たんぱく質とアミノ酸は糖質と併せてしっかり摂りましょう。

もちろん、たんぱく質・糖質だけでなく、代謝に必要なビタミンやミネラルも含めて、練習量に合わせたエネルギー量や栄養素を、1日3食の食事や補食から十分に補給していくことが大前提ですが、長時間/強度の高いトレーニングを行ったり、フルマラソンなど長時間にわたる運動を行うランナーは、運動中のパフォーマンスをキープしたり、ダメージを受けた筋肉をできるだけ早くリカバリーを行うためにも「ロイシン高配合必須アミノ酸ミックス」もうまく取り入れてみてください。

ランニングなどの運動時は、運動前や運動中・運動直後の補給では、消化に時間がかからず素早く吸収される形で摂取したほうが、身体に負担がかからず効率よく取り入れることができたり、また、必要なタイミングで・必要な栄養素を・必要な量だけ摂取できるのも“サプリメント”の大きなメリットなんですよ!

――分かりました、ありがとうございます!

F:次回、いよいよこのシリーズも最終回を迎えます。これまでも登場してきた、アミノ酸の種類それぞれの役割について、食事と補食との上手な付き合い方まで、おさらいしていきましょう!

(PART2ヘつづく)



【参考URL・参考書籍】
《アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ》
・カラダの大半をつくっているアミノ酸と筋肉の関係とは?運動中に筋肉は減ってしまう!
https://sports-science.ajinomoto.co.jp/thm01_aminoacids-muscle/
・理想とするパフォーマンスを発揮するには筋肉を「早めに回復する」ことが大切。
では具体的に何をすればいいか?
https://sports-science.ajinomoto.co.jp/thm04_quick-recovery/
・『ロイシン高配合必須アミノ酸ミックス』は、運動の筋肉のコンディションをキープ!
運動後の疲労回復もサポート!
https://sports-science.ajinomoto.co.jp/knw0104_leucine-mix/

・スポーツ栄養学最新理論 寺田新編著 市村出版
・スポーツ栄養学ハンドブック ダン・ベナードット著 寺田新訳 東京大学出版会
・理論と実践 スポーツ栄養学 鈴木志保子著 日本文芸社
・筋肉の科学 石井直方著 ベースボール・マガジン社
・身体運動・健康科学ベーシック 東京大学身体運動科学研究室 東京大学出版会




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