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SPORTSレースに向けた体調管理の食事のとり方とは?
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味の素株式会社がアスリートの栄養環境を改善するために実施する栄養プログラム「勝ち飯®」。この連載ではランナーが知っておくべきバランスのとれた食事の重要性やメニューの考え方を紹介しています。今回のテーマは「レース前、調整期」です。どんなにいい練習が積めていても、いざ本番のスタートラインに立った時に疲労が残っていたり、調子が落ちているようでは好結果を残すことはできません。練習を調整するだけでなく、食事の面からもコンディショニングに気を配れば、より力を発揮することができるでしょう。今回も競泳の2008年北京五輪代表で、管理栄養士の柴田隆一さんに調整期の食事のポイントを教えて頂きます。
抗酸化作用のあるビタミン類がおススメ
レースが近づいてくるとランナーの皆さんは練習量を減らして疲労を回復させ、レース終盤までペースを維持できる身体を求めると思います。その点では「勝ち飯®」の基本である1日3回の食事で「主食」、「主菜」、「副菜」、「汁物」、「牛乳・乳製品」の「5つの輪」に、「果物」を加える食事は理想的な形です。普段から「勝ち飯®」の食べ方を実践しているのであれば、特に変えていく必要はないというのが私の考えです。特に疲労回復を促すためエネルギー源である糖質と、損傷した筋肉を修復するためのたんぱく質を意識して取るようにするといいいでしょう。
中には練習量が落ちるがゆえに、体重管理のために食事を減らしたいという方もいるかもしれません。その場合も「主食」であるごはんやパンだけを落とすのではなく、「5つの輪」すべてを少しずつバランスよく減らすようにしてください。ただ1、2週間の調整期に走る量が減ったからといって大きく体重が変化することもないと思うので、あまり神経質になる必要もないと思います。
糖質、たんぱく質に加え、調整期はビタミンA・C・Eも積極的に摂ってほしい栄養素です。これらは抗酸化作用があり、身体のコンディションを整えてくれるもので、ビタミンAならにんじんやほうれん草、ビタミンCはピーマンやブロッコリー、ビタミンEはかぼちゃやほうれん草等に多く含まれています。
ビタミンAとEは油溶性のため、油で炒めることで吸収が上がりますので、豚肉などと合わせた野菜炒めはおススメです。逆にビタミンCは水溶性ですので、スープなどにして溶け出たものも一緒に食べられるものがいいでしょう。またビタミンCは果物にも多く含まれ、オレンジやグレープフルーツなどの柑橘類や、キウイフルーツなども食後に入れるといいと思います。
生活のリズムもレースに合わせよう
調整期にはレースに合わせ、食事も含めた生活リズムを作っていくことも重要です。スタート時間は決まっていますので、そこから逆算し、3時間前の朝食と理想では最低6時間の睡眠、さらにその2時間前の夕食というのが望ましいと思います。普段は仕事や環境などでなかなか実践しづらいですが、レースに合わせてこれに近い生活パターンを確立するように努めてみてください。その過程で自分なりのルーティンや、どんなスケジュールでレースに向かうかなどベストなやり方を見つけることができるはずです。
またレースが近づくと一時的にエネルギー源である糖質の摂取量を減らし、体内で枯渇させた後に一気に糖質を体内に取り込む「カーボローディング」をしなければいけないと考える方もいるかと思います。「勝ち飯®」の食べ方ができていれば、特に必要ないかと思いますが、すでに毎レースごとにやっている方はそれを継続していいと思います。ただその際にもビタミン類の摂取など、他の栄養バランスには気を配るように心がけてください。もしこれからカーボローディングをやってみたいという方は、狙うレースの前でいきなり実行するのではなく、何度か試してみて、自分の体に合うかを確認するようにしてください。
レースに向けた体調管理のためのおすすめレシピ
鶏肉とたけのこのだし炊きご飯
⇒ https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/710098/
炊き込みご飯にすることで、糖質(ごはん)とたんぱく質(鶏肉)を効率よく同時に補給できます。
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かぼちゃと豚肉の炒めもの
⇒ https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/010310/
さっと炒めるだけで簡単。ビタミンB1が豊富な豚肉と、でんぷん質豊富なかぼちゃの最強コンビのおかず。
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ソーセージとざく切り野菜のポトフ
⇒ https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/703695/
具材の旨味と栄養がたっぷり染み出た、煮込むだけの簡単・栄養満点のスープです!
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やみつき!無限ピーマン
⇒ https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/800270/
ビタミン豊富なピーマンがレンジで簡単なおかずに早変わり。ツナのたんぱく質とも相性ばっちりです。
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グレープフルーツとミントのサラダ
⇒ https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/703637/
デザートだけでなく副菜としても使える柑橘系。いつもと違った雰囲気のさっぱりサラダです。
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「勝ち飯®」とは?
味の素株式会社は2003年に日本代表選手およびその候補選手を対象とした国際競技力向上およびメダル獲得数増の為のコンディショニングサポート活動、「ビクトリープロジェクト®」をスタートさせました。その長期に渡るサポート活動の知見とスポーツ栄養学の裏付けにより誕生したのが、アスリートの栄養環境を改善するための栄養プログラム「勝ち飯®」です。「何を食べるか」ではなく、「何のために食べるか」を考えることを推奨しています。
⇒ https://www.ajinomoto.co.jp/sports/kachimeshi/
- 監修:柴田隆一
管理栄養士。2008年北京五輪に競泳日本代表選手として200mバタフライに出場。現役引退後は母校・日本大学のコーチングスタッフとして指導。2015年には管理栄養士の資格を取得し、スポーツにおける食の大切さを、自らの経験を加味して、多くのアスリートやジュニアアスリート・親へのセミナーを行う。