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疲労回復のための食事の取り方とは?

2022年3月01日


味の素株式会社がアスリートの栄養環境を改善するために実施する栄養プログラム「勝ち飯®」。この連載ではランナーが知っておくべきバランスのとれた食事の重要性やメニューの考え方を紹介していています。今回のテーマは「疲労回復」です。記録向上のために日々、練習に励むランナーが避けることの出来ない問題であり、栄養補給が必要なことを分かっていても、適切な食事のとり方を悩んでいる方も多いのではないでしょうか。競泳の2008年北京五輪代表で、管理栄養士の柴田隆一さんに疲労回復のための食事のポイントを教えて頂きます。


基本は糖質とたんぱく質の補給

疲労回復を促すためには、失われたエネルギー源である糖質と、損傷した筋肉を修復するためのたんぱく質を取ることが基本です。「勝ち飯®」では1日3回の食事で「主食」「主菜」「副菜」「汁物」「牛乳・乳製品」の「5つの輪」に、「果物」を加え、すべてをバランスよく食べることを基本としていますが、疲労時には意識的にごはんやパンなどの糖質を「主食」で、肉や魚、大豆製品などのたんぱく質を「主菜」や「副菜」で取るようにしてください。

身体が疲れている時は食欲が落ち、食事がのどを通りにくいこともあると思います。これは運動により内臓を動かすエネルギーが全身の筋肉で使われてしまい、消化器官で使えなくなってしまうことが理由です。必要なエネルギーが補給できず、疲労回復できないという悪循環を避けるためには、調理方法も工夫しましょう。油で焼いた料理は消化にエネルギーを使うため、同じ食材でも蒸したり、煮たりといったものが有効です。肉であれば焼肉より、蒸し鶏や冷しゃぶなどがお勧めです。

肉が食べられない時は魚でもOKです。なかでも「まぐろ」「かつお」といった回遊魚には疲労回復に効果の高い「イミダゾールペプチド」という栄養素が豊富に含まれています。また少量のキムチをメニューに加えてもいいでしょう。唐辛子に含まれる「カプサイシン」という成分は胃を刺激し、食欲を増してくれる効果があります。

そして今回、覚えていただきたいのが「クエン酸」です。食べたものを代謝し、エネルギーに変えるために重要な栄養素で、すっぱいものに多く含まれています。梅干しや柑橘系の果物が食材として代表的なものです。こちらも食欲を増す効果が期待できますので、私も現役時代はよく取り入れていました。「果物」は「勝ち飯®」でも推奨しており、オレンジやグレープフルーツをメニューに足したり、水分補給に「オレンジジュース」を取り入れることも疲労回復に役立ちます。
「糖質」「タンパク質」を摂るだけでなく、消化や吸収のために必要な栄養素を知ると、無理なく効果的な疲労回復へとつながるのです。


代謝を進めるために必要な栄養素は?

消化、吸収のために必要な栄養素についてもう少し補足します。エネルギー源の代謝のためにはビタミンB群が必要になります。具体的には「糖質」の代謝にはビタミンB1、「脂質」にはビタミンB2、「タンパク質」にはビタミンB6が欠かせません。さらにビタミンB1を働かせるためにはニンニクに含まれる「アリシン」といった栄養素も有効です。このようにいろいろな栄養素が連動して、体内に吸収されるのです。ここからもバランスのとれた食事の重要性がお分かりいただけるでしょう。なかでも豚肉やうなぎ、大豆製品はたんぱく質とビタミンB群が豊富に含まれており、積極的に取り入れたい優れた食材です。

日常的に疲れにくく、回復力の高い身体を作るためには野菜も重要です。特に酸素を摂り過ぎると体内で活性酸素となり、老化を早め、免疫力を低下させますが、そうなると練習が継続できなくなったり、パフォーマンスの維持が難しくなります。この活性酸素を除去する「抗酸化作用」の強い栄養素が万能ビタミンと言われる「ビタミンC」で、色の濃い野菜に多く含まれています。また先ほど挙げたオレンジジュースにも含まれるもので、意識して摂取してください。

また飲み物では「勝ち飯®」のなかにある「乳製品」の一つである牛乳も積極的に取り入れてほしいもののひとつ。カルシウムはこの連載でも触れている通り、不足しがちな栄養素の一つで、たんぱく質も取ることができます。寝る前にホットミルクにすれば寝つきが良くなる効果も期待できます。
疲労回復のためにも基本はバランスのとれた食事であることに変わりはありません。そのメニューの中でポイントを意識し、消化・吸収を高める栄養素を加えていくことが大切なのです。


疲労回復のためのおすすめのレシピ

梅じゃこおにぎり

https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/705145/
激しい運動後の補食に!糖質とクエン酸を同時に補給!

かつおの竜田焼き

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疲労回復に効果があると言われているイミダゾールペプチドが含まれているかつおでご飯のすすむおかず

銀鮭の甘酒みそ漬け

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アミノ酸とビタミンが豊富で「飲む点滴」と言われている甘酒。ただ飲むだけでなく、おかずに使用してみましょう。

ポーク&オレンジピーマンの炒め梅肉あえ

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ビタミンB1が豊富な豚肉とクエン酸が豊富な梅干しの組み合わせ!


「勝ち飯®」とは?

味の素株式会社は2003年に日本代表選手およびその候補選手を対象とした国際競技力向上およびメダル獲得数増の為のコンディショニングサポート活動、「ビクトリープロジェクト®」をスタートさせました。その長期に渡るサポート活動の知見とスポーツ栄養学の裏付けにより誕生したのが、アスリートの栄養環境を改善するための栄養プログラム「勝ち飯®」です。「何を食べるか」ではなく、「何のために食べるか」を考えることを推奨しています。
https://www.ajinomoto.co.jp/sports/kachimeshi/


管理栄養士。2008年北京五輪に競泳日本代表選手として200mバタフライに出場。現役引退後は母校・日本大学のコーチングスタッフとして指導。2015年には管理栄養士の資格を取得し、スポーツにおける食の大切さを、自らの経験を加味して、多くのアスリートやジュニアアスリート・親へのセミナーを行う。




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