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夏場もしっかり走り込むために(PART1)~今が肝心! 2週間で「暑熱順化」を成功させる~

2021年6月15日

Question
夏の水分補給
毎年秋のレースに向けて夏の走り込みを試みるも、暑さに弱く、途中でバテてうまくいきません。解決策はあるのでしょうか?


Answer
「暑さの中でも走れる身体」をしっかり準備することがまず大切です


回答者:深野祐子(管理栄養士・ランニングコーチ)


「暑熱順化」って何?

――いよいよ蒸し暑い日も増えてきて、すぐに真夏が来てしまいそうです。毎年秋のレースにエントリーして、夏場はがっつり走り込みたいと意気込むのですが……結局失敗してしまいます。途中で苦しくなって、すぐバテちゃうんです。

深野先生(以下F):私たちは走るとき、筋肉を動かして熱を生み出しています。汗をかくなど、熱を外に逃がすことで体温(深部体温)を一定に保つ機能が働いて、私たちは走り続けることができます。適度な体温の上昇は運動のパフォーマンスを高めますが、その上昇が“過度”になるとパフォーマンスは低下してしまうんです。

特に、夏場の暑いときに長時間走ると、気温や湿度なども影響して必要以上に体温(深部体温)が上昇しやすく、身体にとってはとてもハードな状態になるんです。でも、対応策はちゃんとありますよ。まず、「暑熱順化」はうまくいっていますか?

――暑熱順化! ああ…言葉は聞いたことはあるんですが、正確に理解しているか、自信がないです。

F:端的に言えば、「暑さに身体を慣らすこと」ですね。6月は真夏のように暑くないにも関わらず、熱中症が起こりやすいんです。なぜなら、身体が暑さにまだ慣れていないから。「汗をかいて体温を下げる」という身体の機能がうまく働かず、身体に熱が蓄積されてしまうのです。

――なるほど! いつもは平気だった距離が、暑い日だと苦しく感じたことがあります。

F:まさに、身体が暑さを負担に感じている表れかもしれませんね。汗をうまくかけず、熱を身体の外に逃がし、体温を調節する機能の準備がしっかりとできていないと、過度な体温上昇を招いてしまい、長時間の運動はできませんから。
でも、本格的な暑さを前にした今のこの季節は、暑熱順化にトライするのに最適なタイミングなんです。今意識的に「順化」を行うことで、夏場の走り込みをスムーズに始めることができると思いますよ。


こう取り組む! 明日からできる「暑熱順化」

――今年こそ夏を無駄にしたくない! すぐに始めたいです。方法としてはどのようなものがありますか?

F:今の暑さを利用した環境下での運動トレーニングを、一定期間繰り返し行います。暑さへの抵抗力が強まり、身体が暑さに慣れていくのが分かると思います。「順化期間」として2週間ほどを目安に設定すると良いでしょう。


【おすすめ! 暑熱順化メソッド】

★いつ?
あえて暑い時間帯に走る。早朝や深夜より、昼休みや休日の昼間など、陽の高い時間が◎。暑さに身体が慣れていない=身体にかかる負担も大きいので、不足がないよう水分をこまめに摂取するのが大切!

★どんなトレーニングを?
「ラクだな」~「ちょっとキツいな(息がハッハッとなるぐらい)」の運動強度(最大酸素量50~60%ほど)で60分~100分前後の運動(ランニング)を実施。暑さに身体が慣れるまでは、普段よりも強度を落とす・時間を減らしたところからスタートして、次第に負荷を高めていく。

※運動が習慣化している人としていない人では個人差があるので、体力に応じて無理なく調整してください

★どのくらいの期間?
トレーニング開始から1~2週間程度。トレーニング間隔は3日以上連続して間を空けないこと。日中にトレーニングできない場合も、暑い時間帯に少しでも外出して汗をかくようにするなど、なるべく身体を暑さに慣らすことを意識して過ごす。


―――最近では日差しを避けて、つい日陰を選んで走りがちでした。せっかく走るなら暑熱順化、取り組みたいですね。どうなると成功したと言えるんですか?

F:暑熱順化がうまくいくと、血漿量や発汗量が増え、同じ運動強度での心拍数が低下するという効果があります。しかも、その効果は短期間で失われず、通常の環境でも行動がラクに感じるようになるというデータもあります。

―――よーし、2週間で身体を夏仕様にチェンジ! がんばります!

F:取り組んでいる間は身体にかかる負担も大きくなるので、くれぐれも水分補給を怠らないようにしてくださいね。冷やしたものを、こまめに摂るのが大切です。そのほかにも夏場のトレーニングを長持ちさせる、効率の良い水分の摂り方のコツがあって……それは次回お話しましょう!

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