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スタミナ、持久力アップに必要な栄養素とは?(PART4)

2021年4月26日

朝食の食パンをライ麦パンに変えるだけでも、糖質とエネルギー代謝に関わるビタミンB1を摂ることができる

朝食の食パンをライ麦パンに変えるだけでも、糖質とエネルギー代謝に関わるビタミンB1を摂ることができる


今回はスタミナアップにつながる食事の選び方をマスターしましょう。トレーニング開始時点で、肝臓や筋肉のグリコーゲン濃度や、血液や細胞中のアミノ酸濃度が高くビタミンB群が身体の隅々に行き渡っている状態を目指します!


スタミナアップにつながる食事の選び方

トレーニング前の食事
エネルギー源となるグリコーゲンの材料である“糖質”とエネルギー代謝に関わる“ビタミンB群”(中でもビタミンB1)を十分に摂取するようにしてみましょう。


長時間のランニングには必須のエネルギー源!

●糖質ごはん・パン・麺
春雨・じゃがいも・さつまいも・かぼちゃ・とうもろこし・人参
バナナ・りんご・ぶどう・ドライプルーン・レーズン 等

白い(または、炊いただけの)ご飯だとたくさん食べられない場合は、炊きこみご飯やビビンバ、中華丼などにすると食べやすくなります。
また、副菜に春雨サラダや春雨スープ、かぼちゃやサツマイモの煮物やサラダ、ポタージュスープ、ヒヨコ豆や金時豆の煮ものなどを選ぶようにすると糖質の摂取につながります。また果物にも糖質が含まれています。主食はもちろん、副菜や果物も上手に利用しましょう。


エネルギー代謝に必須のビタミンB群(特にビタミンB1)

●ビタミンB1豚肉、鮭、ぶり、うなぎ、胚芽米、発芽玄米、雑穀米、麦飯、ライ麦パン など

8つのビタミンB群はすべてエネルギー代謝に関わっています。連携しながら働いているのでどれも重要な役割を果たしますが、中でもビタミンB1は糖質をエネルギーとして利用するときに不可欠なビタミンです。しかし、調理の過程で損失しやすく、エネルギー消費量が増えるとそれだけ必要量も増すので、特に走る前の食事ではより積極的に摂取したい栄養素です。

主食を白いご飯から胚芽米や発芽米に変えたり、ライ麦パンにすると、糖質と合わせてビタミンB1も多く摂ることができます。白いご飯でもかつお節やごまをふりかけるとビタミンB1量のプラスαになります。
また、主菜に、豚肉の生姜焼きや豚のキムチ炒め、鮭のちゃんちゃん焼き、ぶりの照り焼きなどを選ぶようにすると、たんぱく質と合わせてビタミンB1を摂取することができます。

また、にんにくやニラ、玉ねぎ、長ネギなどとともに摂取すると、脂溶性となり身体に蓄えやすく、長くエネルギーを生み出したい持久トレーニングの前にはおすすめの組み合わせです。

食後3時間以上空く場合は、通常の食事で問題ありませんが、食後2~3時間程度で走る場合は、比較的消化のよいものを選びます。
食物繊維を多く含む胚芽米よりも白米やうどんを選ぶようにしたり、おかずは脂っこいものより、脂が少ないもの、消化を助ける大根おろしなどをセットにする等、食事からトレーニングまでの間にどれくらい時間があるかに応じて、選び方を工夫してみましょう。


前の食事から5時間以上経過している場合や、空腹を感じているときは補食も利用しましょう!

▶トレーニングの1時間程前に摂取できる場合
・補食で消化のよい糖質を多く含むものを中心に摂取しましょう。
・塩や梅干しのおにぎり、蒸しパンやカステラと合わせて、牛乳や豆乳をセットでとれば、たんぱく質の摂取も併せて行うことができます。

▶トレーニングまで30分程しか時間がない場合
すぐに吸収される(すでに分解されている形)糖質とアミノ酸(特に筋肉のエネルギーとして利用される“BCAA”)を摂取しましょう。エネルギーゼリーやエネルギージェルと合わせて、BCAAを摂取するとよいでしょう。ビタミンB群も併せて摂取できるようなタイプを選ぶようにするとエネルギー代謝の効率が高まります!


トレーニング後は素早い回復を目指して、次のトレーニングにつなげる!

▶トレーニング直後
特に長時間・ハードなトレーニングを行った場合、肝臓や筋肉に蓄えていたグリコーゲン量は低下し、また筋肉のタンパク質の分解なしにこういったハードなトレーニングを行うことは難しいともいえます。糖質とBCAAを素早く補給することで、筋肉のタンパク質分解を抑制することが大切です。BCAA入りのスポーツドリンクや、果汁100%のオレンジジュースとBCAAを摂るようにしましょう。

▶トレーニング後の食事
トレーニング後は、ランニングを行うためのエネルギーとして消費された肝臓や筋肉のグリコーゲンを補充し、筋肉のタンパク質分解を修復・合成することで疲労を素早く回復させ、次のトレーニングに備えます。
適切に糖質が摂取されれば、体内に貯蔵できるグリコーゲンは24時間で回復するといわれており、トレーニング後の食事もとても重要です。糖質とたんぱく質が不足しないように、またその代謝・合成に必要なビタミンB群を多く含むものを摂取しましょう。

糖質とともにクエン酸を一緒に摂取すると、グリコーゲンの貯蔵スピードが高まるので、主食のごはんを五目ちらしのように酢飯ごはんにする、梅としらす・しその混ぜご飯にする、果物としていちごやグレープフルーツなどの柑橘類をとる、といった工夫もおすすめです。


このほか、酸素をからだの隅々に運搬するのに必要なヘモグロビンやミオグロビンの材料となる『鉄』もスタミナアップには大切です。ただし、吸収率が低いだけでなく、食事でのエネルギー不足やたんぱく質が不足していると「鉄」だけを意識して摂っても体のなかではうまく働きません。必要なエネルギー量や栄養素のバランスを整えたうえで、ランニングの前だけでなく普段の食事から不足のないように、鉄を多く含むレバーや牛肉などの赤身の肉、ぶりや鯖等の青魚、あさり、納豆などの大豆製品、切干大根、ひじき等を主菜や副菜のなかに取り入れるようにするとよいでしょう。

4回にわたってスタミナアップのために必要な食事をご紹介しましたが、特に必要なエネルギー量、どれくらいの食事量をとればよいかは、あくまで目安です。人それぞれ体型も違えば、運動量も変わってきます。日々の栄養摂取量が適切かどうかを判断する一つの方法として、日々の体重と体脂肪の変化、体調やランニングを行うときのパフォーマンスも合わせて見てみましょう。体重が増えたり身体が重たく感じるようであればもちろん量の調整が必要ですが、スタミナアップのための食事や補食の摂り方を実践してみて、以前よりも走りやすくなった! 最後まで粘り強く走ることができた! 疲れの取れ方が変わった! など、食事がトレーニングにどう影響するかも確認してみましょう。


市民ランナー版「トレーニングを支える食事・栄養補給」とは?(PR)

深野祐子(管理栄養士・ランニングコーチ)

PART1はこちら
PART2はこちら
PART3はこちら


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※参考文献
・2020年度スポーツ栄養学最新理論 寺田新 氏(市村出版)
・スポーツと健康の栄養学 下村吉治 氏(NAP Limited)
・スポーツトレーニングの基礎理論(西東社)
・日本人の食事摂取基準2020
・アスリートのための栄養・食事ガイド(第一出版)

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