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月間250km走る管理栄養士が教える 疲労回復をサポートする食事

2020年12月25日

健康的なランニングライフを送るには、トレーニングに加えて日常の食生活を見直すことも重要。RUNNETの利用者に行ったアンケート(※)によると、回答者のうち95%が「疲労回復に適した食事」について関心があると答えています。練習の疲れを蓄積させないために、どんなことを意識すればよいのでしょうか。

管理栄養士の上田早智子さん(31歳)は、2016年に地元のとくしまマラソンにエントリーしたことをきっかけに走り始め、半年間の練習でサブフォーを達成。その後も独学でトレーニングを続け、走歴4年目にして大阪国際女子マラソン(2020年1月)に出場、3時間1分15秒の自己ベストを記録しました。練習で25km以上走った日はさすがに疲労困憊になるそうですが、毎月200~250kmを走り続けられる秘密は、普段の食生活にあるのかもしれません。「疲労回復に適した食事法」について上田さんが解説します。


トレーニングを継続するためには、疲れを溜めないことが大事。身体のケアをしっかり行っても、普段の食事がいい加減では疲労が取れにくくなってしまいます。定期的にランニングをしている人は、食習慣も見直しましょう。


「バランスのよい食事」をする簡単な方法

ランナーが感じている「疲れ」には、筋疲労、内臓疲労、精神的な疲労など、様々な種類があります。これらをひとまとめに「疲労」と呼んでいるのですが、疲労の回復にまず大事なことはバランスよく食べること。糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン・ミネラルをバランスよく摂るからこそ、疲労回復によいとされる栄養素が働いてくれるのです。

といっても、どうすれば栄養バランスが取れるのか分からない方もいるでしょう。簡単な方法としては、食事の「色」を見ること。バランスのよい食事は「色鮮やか」なのです。牛丼1品だと色が少ないですが、サラダや味噌汁を添えることで色が増え、結果として栄養バランスがよくなります。お肉料理でもミニトマトやキャベツ、ブロッコリーなどを添えて色を増やすことが大事です。
1日3食ともバランスのよい食事にするのは難しいですし、継続するのは精神的にもきついはず。そこで、朝食にトーストを食べるとしたら、チーズやバナナ、ヨーグルトなどをプラスする、お昼をコンビニで済ますときは、サラダや野菜ジュースを買うことをおすすめします。


筋肉の疲労回復には「たんぱく質」と「糖質」

一度に長い距離を走り込んだ日や大会に出場した日など、筋肉疲労や筋肉痛を起こしているときは、筋肉を補修してくれる「たんぱく質」と筋肉のエネルギー源となる「糖質」の補給が必要です。また、筋肉の疲労を感じていなくても、ランナーは普段からたんぱく質を意識して摂ることが重要。ただし、夕飯のおかずでたんぱく質をたくさん補給しようとすると、余計な脂肪まで一緒に摂ってしまうことがあるので要注意です。たとえば、ハンバーグ1つ(200g程度)には成人が1日に必要とする脂肪の半分の量が含まれています。余計な脂肪を摂らず、たんぱく質だけを摂るには、プロテインやアミノ酸サプリメントを活用するのもいいでしょう。私の場合、走ったあとの30分以内にサプリメントを補給して、筋肉の疲労回復に努めています。
1回の食事で身体に吸収できるたんぱく質の量には限りがありますので(人によってその量は異なる)、朝、昼、晩の3回に分けてたんぱく質を摂るのが理想的。朝食なら牛乳やチーズ、生卵、ゆで卵などをプラスするのがおすすめです。


「代謝」を上げるビタミンB1も重要

さらに、体内の「代謝」を上げることも重要です。エネルギー源となる炭水化物(糖質)をしっかり摂るのはもちろんですが、代謝がしっかり回らないと疲労は抜けません。そのため、代謝を助けるビタミン、ミネラルが必須になるのです。中でも疲労回復に重要なのは「ビタミンB1」です。このビタミンB1は運動で多く消費されてしまうので、ランナーはより多くのビタミンB1をとらなくてはなりません。
ビタミンB1を多く含んでいる食材といえば豚肉ですが、豚肉にはたんぱく質も含まれていますので一石二鳥。ただし、水溶性のビタミンB1は、過剰に摂取しても余分なものは尿中に排泄され、体内に蓄積しにくい栄養素です。そこでおすすめするのは、アリシンを含む食材と一緒にとること。アリシンは、ニンニクやニラ、ネギなど香りの強い野菜に多く含まれている栄養素。ビタミンB1はアリシンと結合することによって吸収率が高くなります。
たんぱく質、ビタミンB1、アリシンの3つを同時にとれる代表的な料理といえば「豚キムチ」「生姜焼き」です。どちらもフライパン1つでできる簡単な料理ですので、料理が苦手な人にもおすすめします。



※「ランナーの食事・サプリメント摂取状況調査」(調査期間:2020年11月3日~11月10日 回答者数:6,527)


上田早智子
管理栄養士。以前は運動とは無縁の生活だったが、何かに全力で挑戦しようと走り始め、走歴4年で大阪国際女子マラソンに出場。フルマラソン3時間1分15秒のベストタイムを出した。仕事柄、食事にはこだわっており、野菜は毎日350g以上摂っている。2020年4月よりランニング親善大使「TeamR2」のメンバーとしても活躍中。




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