![]() 昨年1月の館山若潮マラソンで学校名入りのユニフォームで走る福元さん(写真中央)
写真/軍記ひろし |
3月8日~9日に第16回神宮外苑24時間チャレンジが開催されました。男子の部は253.104kmで福元 翔輝さん(29歳)が初優勝を果たし、2025IAU24時間走世界選手権の日本代表に内定しました。福元さんは都内の明星学園中学校で理科の教員として勤務しながら、フルマラソンや24時間走に出場しています。大会後、日頃のトレーニング内容やレース当日のお話を伺いました。
選手は制限時間の24時間内にできるだけ長い距離を走ることを目指す。国際的には国際ウルトラランナーズ協会(IAU)が競技規定を定めており、世界選手権も開催されている。男子の日本記録は原良和選手の285.366km(2014年)、女子は仲田光穂選手の270.363km(2023年)が日本記録および世界記録となっている。
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――ランニングを始めたキッカケを教えてください。
「もともと喘息持ちだったので、体を鍛える目的で中学から陸上長距離を始めました。高校は都内の公立高校へ進学し、競技を継続しました。高校時代は東京都選抜大会で優勝しましたが、勝敗を意識しすぎたことで走ることへの楽しさが薄れていき、高校卒業後から教員2年目までの約6年間はランニングから離れていました。再び本格的に走り始めたのが2020年で、顧問を務めていた陸上部の生徒たちの活躍がキッカケでした」
――現在のトレーニングについて教えていただけますか。
「月間走行距離は400~450kmほどです。ジョグのペースはキロ5分15秒を基本にしています。一般的に強度の高いポイント練習と呼ばれるような練習は月に2~3回程度の実施で、空いた時間で誘っていただいた市民ランナーの練習会のペースメーカーも行っているため中強度中心の練習となっています。直近1週間の具体的なメニューは以下のような内容です。
・(1km+0.4km)×4本(キロ3分35秒・82秒)
・1.6km×4本(キロ3分35~40秒)
・6km走(キロ3分10~15秒)
・50分ジョグ(キロ5分15秒)
学校へは朝8時には出勤しており、部活指導や職員会議が終わる18時が平均的な退勤時間になります」
――生徒たちは先生がランナーであることをどう思っていますか?
「担当は理科ですが、服装のせいか体育教師に間違われることが多いですね(笑)。生徒たちは、私が走ることを特別視せず、自然に受け入れているようです。生徒だけでなく、校長先生や他の先生方、保護者も私の活動を応援してくださっていて、神宮外苑24時間チャレンジの優勝も朝礼でサプライズ発表してくださいました」
――ランニングが教師の仕事に活かされていると感じることはありますか?
「ランニングは生徒や保護者との会話のきっかけにもなります。『今日は何km走ったんですか?』『東京マラソンは出るんですか?』といった質問を受けることが多く、そこから自然とコミュニケーションが生まれるので、仕事にも良い影響が出ていると思います」
――24時間走に挑戦しようと思った理由を教えてください。
「最初の挑戦は、2024年5月の弘前24時間走でした。ちょうど担任をしていた学年が卒業するタイミングだったので、私自身も新しいチャレンジをしようと出場を決意しました。しかし、大会では16時間で途中棄権。初挑戦の不安から攣り止め等の薬を服用しすぎて吐き気が止まらなかったことが理由です。『いつかはリベンジしたい』という気持ちが湧き、8月の千歳24時間走にもエントリーしましたが、インフルエンザで出走できず、今回の出場を迎えました」
――24時間レースに向けた特別なトレーニングメニューがあれば教えてください。
「昨年11月に開催された大田原マラソンが一度に走った最長距離で、練習量を増やしたり、なにか特別なことをしたりすることもなく当日を迎えました。ただ最初からハイペースで走って距離を稼ぎ、残りは気持ちで粘ろうと考えていました。そのためキロ5分前後のペースでゆとりを感じられるように、フルマラソン用の練習で仕上げて臨みました」
――レースを振り返ってみていかがでしょうか?
「24時間コースに居続けたのは初めてでしたが、スタッフの方々のサポートが素晴らしく、エイドでは温かい食事が提供され、応援の声も絶えませんでした。レースは序盤からキロ5分を切るペースで進み、3時間経過時点でトップに立ちました。しかし、残り21時間を後ろから追われ続けるのは、精神的に苦しかったです。加えて、前半は雪が降るコンディションで、最後の4時間はアキレス腱の痛みと闘いながら走り続けました。それでも最後まで走り切れたのは、ハンドラーとして24時間支えてくれた父や、いつも応援してくださる方々のおかげだったと思います」
――今後の目標を教えてください。
「常に生徒の先頭になって走り続けることです。私は陸上部の顧問として『競技以外を疎かにしているチームは応援されない』と指導しています。だからこそ、教師としての仕事をしっかりこなしながら、競技にも全力で取り組み続けたいと思います。今後はウルトラマラソンの日本代表として世界選手権の団体戦でメダルを獲得するという新たな目標ができました。可能性は無限にあると思うので、これからも走り続けます」
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万国共通「走る力は生きる力」
3月2日に開催された東京マラソンは約3万7000人が出走し、海外からの参加者は約1万7000人。2月24日の大阪マラソンには約3万2000人が参加し、海外からのエントリーは約6000人。世界各国のランナーにあなたにとっての「走る力は生きる力」をインタビューしてわかったことは、言葉や文化が異なっても、ランニングを通じて前向きな人生を切り開いていることは万国共通、ということでした。
40年連続サブスリー達成者に川内優輝がインタビュー
今年2月の別府大分マラソンを2時間59分27秒でフィニッシュし、40年連続サブスリーを達成した日吉一郎さん(当時59歳)に、マラソン2時間20分以内で100回以上走破し、ギネス記録保持者である川内優輝選手がインタビュー。「なぜこれほど長い間継続できたのか」を聞きました。
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