写真/小野口健太
|
「ここを多い時で50本駆け上がります」
そういいながら自宅近くの “マイ階段” を案内してくれたプロトレイルランナーの鏑木毅さん(56歳)。階段や坂ダッシュ、縄跳び、立ち幅跳びなど「重力に逆らうトレーニング」を、50歳を過ぎ加齢による衰えを感じ始めてから重視するようになったといいます。その理由や効果、おすすめトレーニング方法を聞きました。
********
編集部 階段トレーニングなど、重力に逆らうトレーニングを取り入れるようになったキッカケを教えてください。
鏑木 今56歳ですが、50歳直前に鹿屋体育大学で測定をして、UTMBで3位になった40歳の時の数値と比較したんです。そうしたら体脂肪や筋力はそんなに変わっていなかったんですが、荷重をかけて脚でバンッと瞬発的に地面に力を伝えるパワーが 70%くらいに落ちていたんです。ランニングってまさにその力を使うじゃないですか。加齢によるランニングのパフォーマンスダウンって、心肺機能などの衰えもあると思いますが、この瞬発的に地面を蹴るパワー、重力に逆らう力の衰えが一番顕著だと思ったんです。そう確信してから、階段や坂ダッシュ、縄跳び、立ち幅跳びなどを取り入れるようになりました。特に階段を一段抜かしで駆け上る練習に一番効果を感じていて、頻繁に取り入れています。
編集部 平地で行うインターバル走よりも階段トレーニングに効果を感じている理由はどういった点でしょうか?
鏑木 加齢とともに全力でダッシュすることができなくなっていると感じています。でも階段は一歩一歩、パンッパンッと意識して蹴らないと次の一歩が出せない。そういう特殊な環境だからこそ、加齢によってパフォーマンスダウンしても高負荷をかけ続けることができる。これが階段のメリットだと思っています。
編集部 階段トレーニングは実際どんな風にやるのですか。
鏑木 東京の自宅周辺、群馬の実家近く、仕事で行く全国各地にマイ階段があって、いろんな階段を使ってやっています。今日はあそこで速いスピードで20本、今日は別の階段でペースを少し落として10本×5セット、など日によって本数や負荷を変えます。トレランの様々なサーフェイス(上り、下り、路面、異なる傾斜など)への対応力をつけるためにも、いろんなパターンでやることを意識しています。毎日同じパターンでやっていると、モチベーションも落ちますから。両足ジャンプ、片足ジャンプをやる日もあります。42kmの中でいろんな状況に対応しながらペースを維持しなければいけないマラソンのトレーニングとしても、身体にいろんな揺さぶりをかけることは非常に有効なのではないでしょうか。
********
今月22日発売のランナーズ5月号では、実際に階段トレーニングを行う際のポイントやお勧めメニューも掲載しています。ぜひご覧ください。
※こちらから記事検索ができます。

ランナーズ12月号 10月22日発売!
さぁ、フルマラソン挑戦!
「30kmの壁」を突破する思考法
フルマラソン30km以降の失速を防ぐことは多くのランナーにとって永遠の課題。では、フルマラソンで失速しないランナーは何を考えてどんな行動をとっているのか。その理由を解明すべく、ランナーズ編集部はメールやSNSで「マラソンで失速しないランナー」にアンケートを実施しました。
失速しないランナーの分析に加え、スポーツ心理学研究者による失速対策法や運動生理学者による「失速しやすい条件」を解説。フルマラソンで快走したいランナーは必見です!
短期連載 100日間でサブフォー達成最終回
最終回の今号は「本番レース快走のために残り10日前から我慢すること×9」を解説します。
「直前まで練習を頑張りすぎる」「ドカ食いのカーボローディング」「宿泊先での長湯やサウナ」など、あてはまることはありませんか? サブフォー目標以外のランナーも参考になる内容です。
東京2025世界陸上競技選手権大会
ここが凄いぞ小林香菜選手!
東京2025世界陸上競技選手権大会が9月13日から21日に開催されました。
マラソンで女子の小林香菜選手(大塚製薬)が7位に入賞。小林選手は早稲田大学時代、「早稲田ホノルルマラソン完走会」というサークルに所属していました。サークル出身の元市民ランナーが世界陸上入賞にたどり着いた強さの裏側に迫ります。
本誌購入は年会費7,800円「ランナーズ+メンバーズ」がお勧め!
「ランナーズ+メンバーズ」は毎月最新号が自宅に届く(定期購読)だけでなく、「デジタルで最新号&2011年1月号以降が読み放題」「TATTAサタデーランが年間走り放題」「会員限定動画&コラム閲覧可」のサブスクリプションサービス! 年会費7,800円の超お得なプランです。
※こちらから記事検索ができます。