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日本アルプスを往復する当社アールビーズ社員の飴本
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この夏、当社アールビーズ社員の飴本義一(58歳・デジタルプロダクト開発部)が、日本で最も過酷といわれる山岳レース「トランス・ジャパンアルプス・レース(TJAR)※」のコースを逆走で往復する830kmに挑戦。ただでさえ過酷といわれるコースを大会出走ではなく、単独で往復した奮闘記を発売中の12月号ランナーズでは掲載しています。今回はその一部を抜粋してご紹介します。
※TJARとは?
毎年8月に開催。コースは富山県富山湾からスタートし、北、中、南アルプスを越えて静岡県の駿河湾をゴールとする。
総距離415km、累積標高は27,000m。これを制限時間8日間(192時間)以内に踏破しなければならない。
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「もう以前のような走力には戻れないのだろうか」
コロナ収束後、走力とモチベーションが戻りつつある中で、こう感じることが増えていた。年齢を重ねるにつれ、目指せる限界が少しずつ下がっていく。それならば、今この瞬間にしかできない挑戦をしよう――
そう思い立ち頭によぎったのが、TJARコースの往復だった。過去にTJARを3回完走し、2年前には逆走も成功していたため、往復も不可能ではないと感じていた。「自分をコントロールし、苦しくてもあきらめなければチャンスが訪れる」。私がジャーニーランを好む理由の一つである。今回の挑戦には最低16連休が必要となる大きなハードルがあったが、2カ月前に職場に相談したところ、「面白そうですね!ぜひやってください」と快諾され、休暇の取得が実現。実際には移動時間も含めて17連休となった(!)
8月10日の朝に自宅を出発し、静岡のスタート地点に移動。準備が整い次第、スタートすることにした。実質的な制限時間は、16日後の8月26日中に自宅へ戻るまで。今回のコースは、静岡市の大浜海岸からスタートし、富山県魚津市の早月川河口で折り返し、再び大浜海岸へ戻るという往復コース。北・中央・南アルプスを計6回越える、総距離約830km、累積標高差54,000mの挑戦となる。細かい関門は設けず、折り返し地点の魚津到着を「8日以内」と設定した。
今回挑戦した往復約830kmのコース
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事前に特別な練習はしていない(と自分では思っている)が、月間走行距離は通年で500kmを維持。6月頃から週末は可能な限り標高2500m以上の山に行き、深夜から正午過ぎまでの12時間以上、身体を動かし続けた。また完走の肝となる計画作成には登山計画作成サービスを利用。標準コースタイムの70%のペースで進むことを決める。イーブンペースで進むことを前提に1日24時間のうち、深夜0時からの18時間を移動時間、18時から6時間を睡眠を含む休憩時間として十分な休息を入れた(?)計画とした。装備は普段の山行で使用しているものを中心に準備し、食料を除き4kg程度に収める。途中調達もするが、別途食料も持参した。
1日目、8月10日午前10時30分。静岡市の大浜海岸に到着し、スタートの一歩を踏み出す。気温は35℃。開始早々、汗が止まらない。しかし、目指すは16日以内の完走、1日平均52km。ひたすら走り続ける。
4日目、中央アルプスに挑む。走ってみると、事前のタイム設定が予想以上に厳しく、この区間だけで計画から4時間のオーバー。心は焦り、不安が押し寄せる。それでも大きな障害に阻まれたわけではない。「できることはただ一つ、前へと進むことだ」そう自分に言い聞かせる。その思いが功を奏したのか、ロード区間に入ると逆に余裕が出て、ほぼ予定通りのペースに戻った。
6日目、標高約2300mの薬師峠にさしかかる。日差しは想像以上に強く、体力の消耗を懸念。ここで早めに休憩をとり、夜の移動時間を長くすることに決めた。長年の経験とコースの知見を活かし、ヘッドライトをつけて暗闇の登山道を進む。「限られた時間をどう使うか」この挑戦の中で常に突きつけられるテーマである。
8日目、魚津で折り返し。後半戦に入り、手応えはあるものの、徐々に余裕が失われていく。まとまった睡眠をとる時は基本 的にテント場でテント設営をして寝るが、移動中に睡魔に襲われることも多い。道脇の地面にマットを敷き、防寒着を着て横になり、15〜30分程度の仮眠をとって脳を回復させる。
また往路では山小屋の利用を控えていたが、復路に入ると積極的に利用することにした。普段はあまり会話を好まない自分が、人とのふれあいを求めて山小屋を利用しようと考えたことに、自分でも驚きを感じた。
苦難を乗り越え、迎えた最終日16日目。残り80km。ロード区間に入り、自らに課した制限時間まで残り21時間。当初の計画よりも3時間の遅れがあるが、果たして時間内にゴールできるのか……
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ランナーズ12月号では、今回挑戦した「奮闘記」の全文を掲載しています。ぜひご覧ください。
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