![]() トレーニングを兼ねて全国のフルマラソンに出場している宇野さん(写真は今年のとくしまマラソン)
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2023年度に達成したのは全完走者の3.6%(全日本マラソンランキングより)で、多くのランナーにとっての憧れとなっているサブスリー。そのサブスリーを40歳を超えてから初めて成し遂げたランナーを紹介する連載です。今回は「練習会で5秒差スタート」「フルマラソンをトレーニングにする」練習によって19年姫路城マラソンを2時間59分14秒で走った宇野敏和さん(50歳)です。
宇野敏和さん(うの・としかず)
1974年生 50歳 自営業
サブスリーを達成した大会とタイム: | 2019年姫路城マラソン(2時間59分14秒) |
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現在の自己ベスト: | 2022年ランナーズフルマラソンチャレンジin大阪(2時間52分9秒) |
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宇野さんが走り始めたのは37歳。「スーツが着られなくなるくらいに太った」ことがきっかけだった。
「小学校から社会人までサッカーをやっていました。小学校の行事で長距離走を走ることがあり、1番になったりして持久力には自信がありました。76kgまで増えた体重をまずは70kgくらいまで落とすために走る方法を選びました。 初レースの東京マラソンは4時間18分48秒(2013年)。その後、走ることの楽しさに目覚めていきました」
身長185cmの宇野さんの"ベスト体重"は63kg。気がつけば76kgになってしまった身体のために走り始め、定期的にランニングをするようになった。
大会に出ると2回に1度くらいの割合で自己ベストを更新し、どんどんと意欲が高まっていき2017年にはランニングクラブに入会。自分よりレベルの高いランナーたちと練習するようになった。
「当時は走り始めて5年目で3時間半くらいの走力でした。クラブに入りサブスリー達成が見えてきた頃、私はひとつの作戦を立てました。それはクラブで練習するインターバル走(400m~1000m)で、他のランナーから5秒後にスタートし、彼らに必死に追いつくことで走力をあげる方法です。『毎回全力で走る!』と決め自分より速いメンバーの力を最大限に利用させてもらいました」
最低でも同時フィニッシュ、常に追い抜くことを目標にしてこの作戦に全力で取り組んだ。ターゲットが前に見えるため目標にしやすく、自らを追い込むことが可能になり、スピード強化に効果があったという。
スピードを鍛えるのと同時に重視したのは走行距離の増加。宇野さんの走行距離は16年が月150km、17年が200km前後で「クラブのメンバーと比較して圧倒的に不足していると感じた」ため、レースに出ることで延ばしていった。
「川内優輝さんを意識して、私もフルをはじめ10kmから100kmまで多くのレースに参加するようにしました。18年はフルマラソンだけで6レース出場。月間走行距離は平均281kmになりました。レースに出ることで身体のコンディションを確認できるし、精神面も整います。特に本命以外にもフルマラソンを走ることで、30~35km過ぎに自分の身体がどうなるのか把握できます。脚が重くなるのか、身体が疲弊してくるのか、気温や湿度との関係などもチェックすることで不安材料を減らしています」
サブスリーを達成したのは19年の姫路城マラソンで、44歳の時。このレースに向けては前年10月の富山マラソン、1月の勝田全国マラソンをいずれも中間点をサブスリーペースで通過し3時間3分台でフィニッシュ。「ペース配分をうまくして後半落ちなければ達成できる」と手ごたえを得ていた。
そして、姫路城マラソンでは中間点を1時間28分台で通過すると、そこからの下りではキロ4分前後にペースアップ。「この下りを走っているときに今日ようやくサブスリーできるんだ……と涙がこぼれました」。残り5kmで脚がつってやや失速したが、そのまま2時間59分14秒で初サブスリーとなった。
現在の自己ベストは22年ランナーズフルマラソンチャレンジin大阪の2時間52分9秒。23年にはフルマラソン11レースを完走。4年にも8レースを予定しており、レースを使いながら走力を高めている。
「サブスリーを達成してから記録を狙うのは最後にしようと思ったこともあります。でも走るとまた目指したくなる。今年の8月は暑さに負けずに400km走りました」
今シーズンは10月に長井マラソン、11月つくばマラソン、12月奈良マラソンのスケジュール。2025年2月の大阪マラソンで2時間45分を目指している。
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