![]() スウェーデンのイエテボリで開催された世界マスターズ陸上競技選手権のメイン会場
|
月刊ランナーズ編集部員の山本が8月13日~25日にスウェーデン・イエテボリで開催された世界マスターズ陸上競技選手権(以下、世界マスターズ)に出場しました。実はこの大会、35歳以上なら誰でも「日本代表」として参加できるのです。どうすれば参加できるのか、現地の様子とともにレポートします。
********
世界マスターズは「35歳以上であれば、経歴や過去の実績に関係なく、誰もが歓迎され、平等に能力を発揮することができます」と掲げている通り、35歳以上なら誰でも参加できる世界大会です。オリンピックや世界陸上に出場するには標準記録を突破するなど一定の資格を満たす必要がありますが、世界マスターズに必要なものは「事務手続き」のみです。
まずは日本マスターズ陸上競技連合に登録し、登録番号を発行してもらいます。そうしたら世界マスターズ選手権の大会公式Webサイトにアクセスして必要事項を入力。簡単に言えばこれだけです。
サイトは英語ですが、中学生レベルの英語力があればだいたい理解できますし、Webブラウザには翻訳機能もついています。あとは自分で航空券などの移動手段と宿泊先を確保し、現地集合・解散です。楽勝ですよね?
いや、楽勝というのは言い過ぎかもしれません。自動翻訳があるとはいえ、今大会の会場はスウェーデン。土地勘もなければ、そもそも何語? どうやって行くの? 通貨って何だっけ? などと疑問が噴出しました。しかし、そこはさすが世界マスターズ。ちゃんと公式サイトに現地情報の案内ページが作られていました。言語はスウェーデン語で、通貨はユーロではなくスウェーデンクローナ。イエテボリはスウェーデン第2の都市で、交通機関も発達しているようです。だんだん現地のイメージができてきました。ただし、スウェーデン語はアルファベットですが、単語にtやgがたくさん混じっていて自動翻訳なしでは読めません……。
宿泊先は大会公式サイトから申し込めますが、1泊約2万円と高額だったので私はAirbnbという民泊アプリを使いました。1泊7,000円ほどの滞在先を見つけ、メッセージも自動翻訳でやり取りして完了です。航空券は直行便がないので、私はパリ経由の周遊チケットを。オリンピックを観戦した後に世界マスターズに出るというプランにして、トータルで約34万円ほどです。円安やオリンピック期間中というのもあってか割高ですが、一生に一度の記念なのでOK! ランナーズ10月号を作り終えた翌日からヨーロッパに飛びました。
そして到着したスウェーデンは北欧なので秋のよう。気温は20℃にも届かず、曇りの日は長袖でも過ごせるほどです。初日はスマホが通信障害のために終日圏外になっていたので焦りましたが、街中のあちこちにフリーwifiが飛んでいるのでそれを拾いながら情報を集め、Google MapとGoogle翻訳を酷使してどうにか宿泊先にたどり着きました。イエテボリの街はバスと路面電車(トラム)が発達しており、滞在中は何度も乗り間違えましたが、すぐに次の便が来るので意外と何とかなります。
レース前日には会場でアスリートビブス(ゼッケン)などを受け取り、翌日はM40(男子40~44歳)5000mに出走。気温17℃という日本とは比べものにならないような好条件でしたが、パリとイエテボリで遊び過ぎたのか思ったほど走れず、19分6秒とシーズンベストすら更新できませんでした……。それでも、日本代表のユニフォームを着て1995年に世界陸上が開催された「ウレヴィスタジアム」を走れたのは幸せな体験で、レース中は「このままレースが終わらなければいいのに」とも思いました(要は仕事をしたくないだけ?)。
![]() M40 5000mは別会場で、1995年に世界選手権が開催されたウレヴィスタジアムで行われた
|
こうして日本代表として出場した5000mの結果は全然でしたが、これでも出走した63人中46位。参加者の全員が速いわけではありません。レース後は同じ組を走ったランナーたちと記念撮影をしたりして世界大会らしい交流も楽しみました。スウェーデン開催ということでヨーロッパからの参加者が多かった印象ですが、レースを走っていると「ジャパン!!」と応援されたり、レース前に女性係員から「ジャパンのユニフォームはキュートね」と褒められたりして、貴重な体験ができました。なお、優勝は14分29秒44で、2008年北京オリンピック7位のJuan Luis BARRIOS NIEVESというメキシコの選手でした。
5000mの翌日には公園を2周するオープン10kmレースも開催されたため、そちらにも急きょエントリーして40分28秒で完走。2度目の日本代表気分を味わってから帰国の途に就きました。ちなみに日本代表ユニフォームは自腹での購入が必須で、上下で約16,000円です。それと、世界マスターズへの参加費は47,000円ほどでした(日本チームマネージャーの滞在費を分担して負担することになります)。
![]() 日本代表ユニフォームはクレーマージャパン製で自腹購入する
|
世界マスターズは2年に1度の開催で、次回(2026年)の開催地は韓国・テグです。パリオリンピックに刺激を受けた皆さん、次回はあなたも日本代表になってみませんか?
※こちらから記事検索ができます。
ランナーズ6月号 4月22日発売!
練習変えずにフルが5分速くなる(?)
「ランナーよ、ピッチを上げろ!」
1月の大阪国際女子マラソンで日本人トップの2位に入り、世界陸上の日本代表に選出された小林香菜選手は1分間のピッチ数が220以上。取材を行うと、「ピッチを上げる」ことは市民ランナーがタイムを上げるのに適した方法でした。特に中高年ランナーの皆さんはピッチ増によるタイム短縮の可能性大! 速くなりたいランナー必読です。
春から実践! 速くなるダイエット×15
タイムを縮める上で、減量が効果的な手段であることに疑いはありません。ダイエットというと「美味しいものを食べるのを我慢しなければいけない」というイメージを持ちがちですが、「日々の習慣を少し変える、工夫するだけで減量できるテクニックはたくさんある」と、研究者で自己ベスト2時間46分の記録を持つ髙山史徳さん(34歳)は言います。髙山さん監修のもと「速くなるダイエット×15」を伝授します!
【特別インタビュー2本立て】
早大のランニングサークル「早稲田ホノルルマラソン完走会」出身、卒業後1年で9月の世界陸上マラソン日本代表まで駆け上がった小林香菜選手と、今年の箱根駅伝2区を日本人最高記録で走破、創価大を卒業した今春から実業団サンベルクスと契約を結びプロランナーとして活動を開始した吉田響選手にそれぞれインタビューしました。
本誌購入は年会費7,800円「ランナーズ+メンバーズ」がお勧め!
「ランナーズ+メンバーズ」は毎月最新号が自宅に届く(定期購読)だけでなく、「デジタルで最新号&2011年1月号以降が読み放題」「TATTAサタデーランが年間走り放題」「会員限定動画&コラム閲覧可」のサブスクリプションサービス! 年会費7,800円の超お得なプランです。
※こちらから記事検索ができます。