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この写真は一昨年12月に開催された福岡国際マラソンで撮影したもの。見事なまでに「ナイキの厚底シューズだらけ」です。近年、陸上競技者や俊足市民ランナーの大半が厚底シューズをはいていることは周知の事実ですが、厚底シューズはいつから広まったのでしょうか?
ランナーズ編集部が把握している範囲で、厚底シューズが世界的に初登場したのは2016年のリオデジャネイロオリンピック。先日の東京オリンピックでも優勝したエリウド・キプチョゲ選手(ケニア)がナイキの試作品をはいて出走、金メダルを獲得したのです(当時、ほとんどの選手は薄底シューズをはいていました)。
オリンピックという大舞台がメーカーの技術革新を示す第一歩になっていたことが「後から振り返ると」分かります。
立命館大学陸上部コーチ、市民ランニングクラブ「ブルーミング」代表を務める高尾憲司さん(1998年広島アジア大会1万m優勝)は厚底シューズが登場した当初のことをこう振り返ります。
「最初は『ソールがこんなに分厚くて本当に走れるのか?』という気持ちも持っていました。私が現役の頃は『スピードを上げて走る時は薄底シューズをはいて、足裏で地面をつかむような感覚を持つことが大切』と教わりましたし、『足を握る(地面をつかむ)力が強いランナーは記録がよい傾向にある』ことを示すデータもあったからです。もちろん私自身、レースでは薄底で軽量化されたシューズをはいていました」
しかし数年が経過した今は考え方が変わったと言います。
「立命館大学陸上部のある選手は当初『厚底シューズは自分には合わない』と言っていましたが、筋トレやフォーム改善に取り組むなど、試行錯誤しながら使う過程で記録が向上、今では『違和感なくはけるようになった』と語っています。シューズのみに注目が集まりがちですが、記録向上の背景にある本質的な部分は『グッズの進化』が『トレーニングの進化』を促進していることだと信じています」
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