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【連載:バックヤードウルトラ⑨】「BAGMAN!!!」オーストラリアでの熱烈な応援と取り戻した自信(世界のバックヤードウルトラを走る ― シドニー編 後編)

2026年6月01日
2026年4月Sydney's Backyard Ultra (オーストラリア)にて「BAGMAN!!」と声をかけてくれた選手と肩を組む一コマ (SBU大会公式)
2026年4月Sydney's Backyard Ultra (オーストラリア)にて「BAGMAN!!」と声をかけてくれた選手と肩を組む一コマ (SBU大会公式)

「1時間で6.7km走る」ことを身体の限界まで繰り返す、バックヤードウルトラという競技をご存知でしょうか。近年国内外ウルトラランナーの間で人気が高まりつつあります。この競技に魅せられて脱サラ、大会に参加するだけでなく自身でも大会を企画、さらには普及活動も行っている水野倫太郎さんがその魅力について綴る連載です。


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オーストラリア、シドニー郊外のセント・アイブス・ショーグラウンド。子ども向けのアスレチックも併設される自然豊かなイベント広場。現地時間4月18日午前8時。気温は13℃、夏が終わり、秋の訪れを感じさせるよく晴れた穏やかな朝。史上最大の700名超のランナーがエントリーリストに名を連ねたSydney's Backyard Ultraが熱狂と共に幕を開けました。

私がこれまでに出場してきたバックヤードウルトラでは経験したことがない人混み。さながら、ちょっとしたフルマラソンのスタートのよう。休憩時間を長くとるために、スタート地点に毎時間00分ギリギリに向かうと、後方からのスタートを余儀なくされるほど。序盤は、自分のペースで走り出せないストレスを多少感じつつも、先は長いと言い聞かせて、気持ちを落ち着かせます。

スタートエリアのレイアウトは、周回コースに向かう一本道を囲むようなコの字型。両サイドには、自前で機材を持ち込む選手たちのテントが立ち並びます。スタートゲート正面は、オフィシャルテントが20張りほど設置され、テント機材を持たない選手たちの待機スペースが用意されています。


Sydney's Backyard Ultra (オーストラリア)の会場航空写真。広場の上半分に選手たちやオフィシャルのテントが立ち並ぶ。(SBU大会公式)
Sydney's Backyard Ultra (オーストラリア)の会場航空写真。広場の上半分に選手たちやオフィシャルのテントが立ち並ぶ。(SBU大会公式)

今回、私は、宿泊から機材の手配までを一手に引き受けてくれたPeterのおかげで、スタートゲートから20メートルほどのところに、テントを設置。Peter、彼の友人のScott、そしてわざわざバックヤードのためにベトナムから海を渡ってきたイギリス人女性のPiaと私。テントを共にする4名の選手、それぞれのサポートクルー。Peterが名付けたチーム名は、「Team BAGMAN」。仲間がいる心強さと共に走ることができました。

オーストラリアは、私の愛称「BAGMAN」のいわば生まれ故郷。昨年のDead Cow Gullyでバッグ片手に94LAPを走った姿が、オーストラリアのバックヤードコミュニティに、強烈な印象を残していたようです。
今回のシドニーでも、毎周のように「君がBAGMANか!」「一緒に走れて嬉しいな」「YouTubeでドキュメンタリー見たよ!」などなど多くの選手が話しかけてくれました。

選手だけではなく、会場のギャラリーも、私が通り過ぎるたびに「BAGMAN!!」と声援を送ってくれます。アスレチックで遊んでいた子どもたちが沿道に駆け寄ってきて、ハイタッチを求めてくれることも度々。
有力選手として注目されるプレッシャーもありつつ、「BAGMAN!!」の声援が幾度となく気持ちを奮い立たせてくれました。

レースは、3月のポーランド遠征の失敗を活かした計画的な補給が奏功。65LAPまで記録を伸ばしましたが、足裏の痛みと水膨れからの出血の影響があり66LAPでDNF。4位という結果でした。

Sydney’s Backyard Ultraは、オーストラリアのバックヤード人気を象徴するような大会でした。20代前後の若者も多く、リボンで華やかなヘアセットをした女性ランナーやトレランザックでスピーカーを背負い音楽を流しながら走るランナーなど、楽しみ方は様々、自由で開放的な雰囲気。嬉しい再会もあれば、新たな出会いにも恵まれ、共走を大いに楽しむことができました。

レースを終え数日、シドニー空港に向かう途中で、Peterから驚きの発言が飛び出します。「君がまたオーストラリアに帰ってくる来月のDead Cow Gullyは、サポートで行こうかと思っているんだ」


<プロフィール>
みずの・みちたろう
プロウルトラランナー。1995年生まれ。神奈川県秦野市在住。バックヤードウルトラを主戦場に、2024年、2025年、日本代表として世界選手権に出場。自己ベストは 94LAP/約630km。
活動の軸は、走ること・伝えること・つくること。『走るはつなぐ』『共走』をテーマに、「丹沢ループス」「バックヤードウルトラ神奈川大会」等のイベント企画やバックヤードウルトラのドキュメンタリー上映会・ポッドキャスト配信にも精力的に取り組む。2026年は海外バックヤードを転戦予定。



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