箱根駅伝でテレビ中継された時のポーズを再現する八田秀雄先生
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専門家がランニングに関する研究発表や意見交換をする「第38回ランニング学会大会」が3月14日と15日、大阪府吹田市の大阪学院大学で開催されました。その中で東京大学名誉教授の八田秀雄先生が「乳酸から考えるランニング」と題して特別講演。八田先生は2025年の箱根駅伝で関東学生連合チームの古川大晃選手(東大大学院=当時)に給水したシーンがテレビで中継され、『給水おじさん』として一躍話題になりましたが、今回は本業である乳酸研究者として「乳酸は疲労物質ではない」という考え方をもとに100枚以上のスライドを使って発表しました。その一部を掲載します。
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乳酸というのは、糖の分解の過程でできるものですが、それ自体が疲労物質ではありません。最近では乳酸がミトコンドリアを増やすシグナルとして働いている、ということが分かってきています。比較的ゆっくりした強度で走るとあまりミトコンドリアは増えないのですが、そこに乳酸濃度が高くなる条件を加えると、ミトコンドリア関連の物質がはっきり増える、という実験結果があります。
最近では強度が高いトレーニングを行うと、糖を使うだけでなく、結果的に脂肪を使う能力、つまり脂質酸化能力も高まる可能性がある、ということが分かってきています。高強度トレーニングというと、糖代謝だけを鍛えているように思われがちですが、実際には脂肪酸濃度が上がり、水素イオンや乳酸の刺激を通じて、ミトコンドリア機能全体が高まっていくと考えられます。
もちろん、30km走や40km走のような長時間トレーニングも、脂肪酸濃度を高めるという意味では非常に有効です。どちらか一つが正解というわけではなく、強度と時間の両方がトレーニング効果を決めている、ということです。
乳酸は高強度トレーニングの結果として生じるものですが、同時に身体を適応させるための重要な情報でもあります。
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