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達成率0.3%の超人たち 60代サブスリーの走談室②「中高年ランナーに最適なスピード走とは?」

2025年8月05日

現在発売中のランナーズ9月号では2024年度の国内達成者が80人だった「60代サブスリーランナー」を特集。「達成の秘訣」や「若者へのアドバイス」を掲載しています。
誌面に載せきれなかった企画として、3人のサブスリーランナーが今後サブスリーを達成したい人や、サブスリーを60代まで維持したい人からの質問に答える「走談室」をRUNNET短期連載として掲載します。


回答者:
・中尾孝昭さん(63歳・福岡・2時間57分21秒)
・高松伸二さん(62歳・福岡・2時間49分41秒)
・藤岡英二さん(65歳・三重・2時間52分12秒)
年齢、タイムは2024年度全日本マラソンランキングより



Q1.49歳からマラソンを始め、現在56歳で3時間14分です。還暦までにサブスリーをしたいのですが、ある程度強度の強いスピード練習(インターバルなど)を行うと、故障がちになります。また、ロング走をすると疲労からの回復に時間がかかるのも含めて、コンスタントに距離を踏めていないのが悩みの為。 サブスリーの為には、どの程度のスピードが必要かを知りたい。スピード走はどんな内容でどの程度の頻度おこなっていますか?
(56歳男性・3時間14分34秒)

藤岡さん 確かに還暦近くなると練習強度を上げると怪我のリスクがどうしても増えてしまいます。特に過度なスピード練習は危険が伴います。キロ4分15秒で走り切ればサブスリーはできる訳ですからスピード練習でもキロ3分30秒を切るスピードは必要ないと感じます。サブスリー目標ならキロ4分を体に染みこませれば充分かと思いますよ。インターバルなら3分50秒。ペース走ならキロ4分を意識した練習を継続的に積めば確実にサブスリーは射程圏内です。

高松さん ランニングを始めた年齢がほぼ同じ、56歳で還暦サブスリーを目指して走っていたのも全く同じです。目標の持ち方が還暦までにサブスリーを達成という3~4カ年計画はとても良いと思います。現状取り組まれているスピード練習(インターバルなど)が故障の誘因と分かっているならば、少し強度を落とし、その分時間や回数を増やすことで対応されてはいかがでしょうか。明確な目標を持つことは大事なことですが、それ以上にその目標に対して自分の現在地を確認し計画を見直しながら練習を進めていくことの方が大切だと感じています。

コンスタントに距離が踏めてないことがお悩みとのことですが、実は私も全く同感で同年代のサブスリーランナー比べ距離は踏めていません。ここ3年連続で月間平均距離は300kmに達していません。ただ、距離に囚われすぎると目標(サブスリー)達成のために必要なことが見えなくなると感じています。具体的には私たちの年代では筋力や柔軟性を補う練習も同時にやっていくべきと考えています。

中尾さん サブスリーをするには、キロ4分10秒で20km 以上を走れる必要があります。質問者さんの現在のマラソンタイムはキロ4分35秒ですね。マラソンに特化した練習でビルドアップ(キロ4分50秒→4分25秒)とペース走(マラソンを走るくらいの楽な感覚)を毎週どちらかを1回、距離は12km→20kmに延ばしていきましょう。併せてゆっくり長い距離を毎週走り込み、最初は30kmくらいか2時間から少しずつ距離か時間を延ばして45kmくらいを走れるようまで行けたら、次の段階として坂コースも30kmくらいから始め、45kmくらいに延ばしていきましょう。まずはマラソンを失速せずに走れる脚作りメニューをこなすことからスタートし、慣れたら自然にペースが楽になりますから少しずつキロ4分10秒から4分5秒までできるようまで継続してください。

1年間5分くらいが短縮目安で、3年後を見て、故障しないように積み重ねます。60歳以上のサブスリーはもうすぐ100人になると思いますから、不可能ではありません。
スピード練習をやるならキロ4分15秒で2~5kmを2~5本、全力を出し切らないようにすること、フォームが乱れないことが必須です。それ以外の日はジョグで疲労回復とフォームチェックしてください。



Q2.臀部の慢性疲労が顕著なため、身体の不調に対する付き合い方を教えてください。
(44歳男性・2時間47分30秒)

藤岡さん 私も本格的にマラソン練習を始めた56歳頃から中足骨疲労骨折やシンスプリント、坐骨神経痛、貧血、モートン、鵞足炎等々ひと通りの怪我を経験し、おかげで知識も豊富になりました(笑)。ケガを未然に防ぐ確実な知見は持ち合わせておりませんが、調子が良くて気持ちよくガンガン走れる時に限って、怪我した事だけは強く記憶に残っていて気を付けています。練習ノートもつけるようにしており、具体的にどのような時にケガをしやすいか理解しました。

また、走る前の入念なアップと練習後のダウンが重要です。ストレッチも入念に行ってから本練習に入る事をお勧めします。そして、臀部の疲労の真因がどこにあるのか探るべきです。走り方なのか、過去の怪我が原因なのか。最近ではセンサーを着けて自分のクセを科学的に解明し、痛みや疲れの元を探ることも出来ますよ。感覚ではなく事実に基づいた真因の追求と対策が必要だと思います。

高松さん  ランナーとして永遠のテーマですね。自分自身も答えを持ち合わせていませんが、考え方として「結果には必ず原因がある」、臀部の慢性疲労に対して薬や鍼灸など対症療法だけおこなっていても根治には至らず、症状は繰り返すはずです。原因を突き止め、その原因を解消するアプローチを地道にやっていくことが大切だと考えています。

中尾さん 臀部だけでなく全体のバランスを見てください。弱い部分に最終ダメージが残ります。ポイント練習を頑張ったら、2、3日はゆっくりペースを落としたジョグにしたり、ポイント練習を出し切らずにこなすのがよいと思います。あとはマラソンペースに対して速すぎるメニューをやりすぎると腰、尻、大腿筋にダメージを受けますから、本番までコンスタントにこなせる練習計画に基づいて走る事と、スクワットやランジなどの補強運動を織り交ぜることをお勧めします。


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9月号では回答者たちが60代サブスリーの「トレーニング」や「心がけ」を話し合った座談会を掲載しています。ぜひご覧ください。



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