![]() ビルの谷間のスタート地点は、日陰で涼しかったのだが……
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みなさんこんにちは。前回危惧した通り、「弘前・白神アップルマラソン」に続き、20℃超えのマラソン大会を走る羽目になってしまった、暑いのダメダメランナー・岩谷です。
10月27日に開催された本命レースの「水戸黄門漫遊マラソン」当日まで、「暑いの飛んでけー!」と“雨乞い”をもしつつ天気予報をウオッチし続けたのですが、最後まで「晴れ」、しかも最高気温24℃という数値は覆されることはありませんでした。
スタート地点は朝からピーカンのいい天気。でも、ビルの谷間ということもあって日陰も多く、意外にも10月末らしい程よい涼しさは感じられました。しかし、「これだったらいけるかな」と思ったのも束の間、スタート後の長い直線道路を左折すると日陰は消滅。直射日光を左前方からもろに浴びることになりました。
まだ2kmも走っていないのに「最後まで走れるのか俺?」と頭の中に黄信号が灯る始末。晴れ渡る青空を映し、美しく輝く千波湖を左に望む下りの跨線橋で、「リラックス、リラックス」と自分に言い聞かせて走り下りるのが精一杯でした。
「これは前半は相当抑えないと、最後までもたないな」。そう思いながらも、今日のレースの目標は? と自分に問うと、「抑えすぎたら、それはそれで早々にレース終了だ!」。そもそものペース戦略は「前半抑えて後半徐々に上げていき、ギリギリ3時間30分切りを狙う」というもの。しかしこれを、さらに序盤抑えていたのでは、目標達成の目はない。ここはわずかな可能性に賭け「まずは予定通りのペース配分を守るのみ!」と、暑さを全身で感じながらも、つぶれない程度の必死さで脚を動かし続けました。
幸いなことに、15kmほど行ったところで「午前中いっぱい晴れ」の予報に反して空は徐々に曇りがちに。そして体感温度も下がり始め、少しだけ楽になっていったのです。でも、「これはラッキー!」とばかりにペースを上げるのではなく、当初の予定通り「ハーフまでは自重してそこからが勝負だ」と我慢の走りを続けました。
ハーフを過ぎ、いよいよ行くぞ!と思うも、脚が反応してくれません。ペースアップをしても維持できないのです。ここで3時間30分切りの夢が潰えたのを実感しました。将棋でいうと投了。「負けました」と神妙な面持ちで静かに一礼をするといったところでしょうか。
結果は、3時間36分43秒(ネット)。曇り空に助けられ何とか気力で走り続け、自己ベストは更新できましたが、後半気持ちよくビルドアップし、ガッツポーズで3時間30分切り! という理想とは程遠いフィニッシュでした。とはいえ、弘前の時のように失速しなかったのは、暑い中での走り方を少しは学習できたのかなと思いました。
月刊ランナーズ2024年2月号の記事「ペース戦略を科学で検証!」では、マラソン世界記録の多くがネガティブスプリットで出たことを引き合いに、ペース配分について検証していました。
「ネガティブスプリットはあくまで結果。どんなレベルのランナーでも最大限力を発揮しようとしたら、イーブンペースで走るのが望ましい」(桜美林大学・山本正彦教授)。また、「前半と後半のタイム差が5~6%に収まれば、ある程度力を出し切れたと評価できる。イーブンペース守ることを基本に、むしろ世界記録保持者たちのように、ネガティブスプリットでもいいかなというくらいの余裕を持って走るべき」(筑波大学・鍋倉賢治教授)
とのこと。今回の私のタイムを分析すると、前半1時間48分20秒、後半1時間48分23秒。前半と後半タイム差がたった3秒と、完璧なイーブンペース。つまり、こんな暑さの中でも、力を出し切れたと言えるわけです。ということは、前半の暑ささえなければ、余裕でビルドアップして3時間30分切りも達成できたのでは……?
![]() 最後の激坂でランナーズの行場編集長の声援にビックリ!
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まあ暑さのせいと、今さら言っても始まりません。最近の気候を考えると、弘前もそうだったように、10月の暑さというのは、十分に予想できたはず。「水戸黄門漫遊マラソン」を本命レースにしたことが、そもそも間違いだったと思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、私には10月末開催のレースを本命とする確固たる理由がありました。それは、来年2月の別府大分マラソンに、3時間30分切りのタイムを出してエントリーできるラストチャンスだったからです。私の別大マラソン出場への思いについては月刊ランナーズでも2回ほど書かせていただきましたが(24年5月号、24年10月号)、水戸で3時間30分切りを達成して別大の二次募集に滑り込む。そして、62歳にして別大マラソン初出場を果たす。そんなストーリーを思い描いていたのです。しかし、そのストーリーは完結しないまま終了と相成りました。
というわけで、思い描くストーリーを少々改訂!
改訂版は「再来年の別大を目指して……」。そんなストーリーで、続けてまいります。次なるレースは4週間後のつくばマラソン。まだまだ3時間30分切りを目指します。
つくばマラソンは昨年14年ぶりに自己ベストを更新した、私にとって縁起の良い大会。気温もさすがに11月末ともなれば低くなることでしょうし、今回の水戸黄門漫遊マラソンでは、暑い中、投了後も気持ちを切らさず走り続け、昨年つくばで出した自己ベストを上回れたのだから、今年のつくばではさらにいいところまでいけるのではないか? そんな予感もしています。
今回、夢は儚く潰えました。でも、これで終わったわけではありません。安っぽいドラマの結末のようで恐縮ですが、来年の別大は無理でも、再来年の別大があります。何なら、再来年がだめなら再々来年……。いやいや、そういうことでは、いかん、いかん! 日々加齢に抗っていかねばならないのだから、何が何でも「63歳にして別大マラソン初出場を果たす!」。これしかありません! その一歩として、つくばで3時間30分切り。To Be Continued ! なのです!
![]() 黄門様御一行と
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岩谷隆志/いわやたかし(62)
フリーランス・ライター兼コピーライター時々デザイナー。メタボ解消目的に40歳を過ぎて走り始め、フルマラソンにチャレンジ。47歳の時の3時間43分20秒をピークに記録は停滞したが、月刊ランナーズのある特集を担当したことをきっかけに還暦過ぎて一念発起。2023年11月のつくばマラソンで14年ぶりに自己ベストを更新(3時間39分34秒)。24年10月の水戸黄門漫遊マラソンで3時間36分43秒に短縮し、現在は3時間30分切りに挑戦中。
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短期連載「100日間でサブフォー達成!」
8月1日から100日後は11月9日――全国各地で秋のフルマラソンが開催されます。いま、サブフォーを目指して準備を始めるには絶好のタイミング。本企画では、ランナーズでお馴染みの猪瀬祐輔コーチ監修のもと、「サブフォー達成を目指す100日トレーニングプログラム」を紹介します。100日後、笑顔でゴールを駆け抜けませんか?
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60代サブスリーを諦めない
2024年度全日本マラソンランキングでサブスリーランナーは過去最多の1万2339人、その中で60代は男女合わせてわずか80人。
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「苦しみの先にある栄光」
6月29日に第40回サロマ湖100kmウルトラマラソンが開催され、昨年に続き30℃を超える過酷な条件の中、1,952人が完走(完走率58.4%)。フィニッシュ時のランナーの表情やコメントは、ほぼ全員が充実感にあふれていました。
40年間で37回連続完走(コロナ禍で3回中止)の越智利国さんの手記、古くから大会運営に携わる2人の町長が振り返るサロマの40年を、ランナーの表情と共にお届けします。
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