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箱根駅伝予選会間近! 池井戸潤さんの最新長編『俺たちの箱根駅伝』を箱根に青春を燃やしたアールビーズ社員が語る

2024年10月17日

10月19日に第101回箱根駅伝予選会が開催されます。ランナーズ10・11月号では、池井戸潤さんによる長編小説『俺たちの箱根駅伝』の読みどころを2号にわたって「往路」「復路」の10区間立てで掲載しています。さらに、11月号では池井戸潤さんの直筆サイン入り『俺たちの箱根駅伝』を抽選で10名様にプレゼントするキャンペーンも実施中です。学生時代に箱根駅伝に携わり、現在は当社(株式会社アールビーズ)に勤務する4名が本作の魅力や読みどころについて語り合った座談会から、一部を抜粋してお届けします。


座談会参加メンバー

(上写真左から順に)
須河宏紀(33歳・ランナーズ編集部)
出身校:中央大学
箱根駅伝出場歴:3区、7区、10区

有田洋二(47歳・イベント事業本部)
出身校:駒澤大学
箱根駅伝出場歴:なし

高瀬晋治(52歳・イベント事業本部)
出身校:東海大学
箱根駅伝出場歴:3区、4区

小原延之(32歳・RECS計測運営部)
出身校:専修大学
箱根駅伝出場歴:9区


『俺たちの箱根駅伝』とは?

2024年4月24日(水)に発売された池井戸潤さんの長編小説。「箱根駅伝」を目指したが予選会で敗退し、学生連合チームに選出された明誠学院大学陸上競技部4年の青葉隼斗と、同大の新監督に就任し連合チームの指揮を執ることになった甲斐真人をはじめとする学生連合チームの姿や、テレビ中継を担う「大日テレビ」テレビマンたちの苦悩と奮闘が同時に描かれる。



箱根駅伝における監督の存在とは?

作中の主要人物の1人が予選会後に明誠学院大学の監督に就任した甲斐監督だ。作中では「メンタルが七割」など監督の印象的な言葉が数々登場するが、今の箱根駅伝に求められる監督像とはどんなものか。

――商社マンから新監督になった30代の甲斐監督についてどう思われましたか?

高瀬 「青山学院大学の原晋監督をオマージュしているのかなと思いましたが、少し違いますね。就任直後、周囲から否定されてばかりで大変そうです……」

有田 「私個人の話でいえば、駒澤大学では監督は絶対的な存在でした。当時の監督、森本葵さん(2021年に逝去)は800mの元日本記録保持者です。入学してから『あの森本さんが監督なんだ』としばらく実感がわきませんでした。そのような経緯もあり、部員が監督に反発する作中の描写は新鮮でした」

小原 「私は2年生の時に予選会で敗退してから、元カネボウ監督の伊藤国光さんが監督に代わりました。実績のある方ですし、私たち選手はスムーズに受け入れができたと思っていました。しかし、就任後初めての予選会で敗退したときに外部から否定的な意見が出てきました。伊藤さんは日本のトップ選手でしたが、自身に箱根駅伝の出場経験がなく、学生の指導経験もない。そんな監督が指導するのはどうなのだと。特にOBや他の関係者からの批判が多かったです。作中でも予選会で敗退して監督が交代している姿や、新監督へのチーム内外からの批判が描かれていたので、すごくリアリティがありました」

高瀬 「今は多くの監督が実業団や高校での指導実績を持つ方々なので、作中の商社マンが監督になる設定は斬新でした。学生まで選手で、その後一般就職して実業団選手の経験もない監督が活躍する話は現実ではあまり聞かないので、面白い設定だと思います」

須河 「たしかに聞いたことがないですよね。そういう方が監督になることができると、また新しい風が吹いて面白いと思います」

高瀬 「最近は監督とコミュニケーションをとりながら、納得して物事を決めたいという選手が増えたように感じますね。組織体制にしても、監督に加えてコーチが数人いて現場担当とスカウト担当が分かれたりして、細やかに選手を見ています。30年前の私たちの時代は監督が1人で見ているケースが多かったんです。補佐がいても週末に指導に来てくれるOBだけで専業コーチはいない形が一般的でした。今の時代は、練習方法などの情報は出回っていますし、そういった面よりも選手のモチベーションアップにつながるメンタルマネジメントが指導における鍵になっている気がします」

須河 「作中で甲斐監督が箱根駅伝は『メンタルが七割』と言っていましたが、まさにその通りですね。彼は声かけの幅がとても多彩で、選手が思わずやる気になってしまう。これからは甲斐監督のように、メンタルをきちんとマネジメントできる監督が求められていると思います」

高瀬 「ランナーだけでなくZ世代の部下を持つ方も参考になるかもしれませんね」


学生連合の存在

作中ではチームとしての出場を逃した関東学生連合の選手を中心にストーリーが進んでいく。本戦で「参考記録扱い」となり区間賞を取っても幻となる状況の中で、選手たちはどのようなモチベーションで走るのか。

――学生連合は高瀬さん、有田さんの学生時代はありませんでしたがどう思われていますか?

高瀬 「連合チームは改めて考えてみたら面白い仕組みだなと。 他のスポーツに置き換えた時に、そういった敗者復活チームってほとんど存在しないと思うんですよ。例えば野球だと、甲子園の都道府県予選で負けてしまった選手から選抜で結成されたチームが本戦に出場することはない。自分のチームで出場できなかったとしても、やっぱり箱根駅伝に出場できたかどうかは選手本人の人生にとって、かなり大きな違いになると思います。出場チャンスが予選会で敗退した選手にも与えられることはいい仕組みだと思います」

有田 「選手目線で考えると、本来はチームで出場することを目的にしてきたところから、チームのなかで1人だけの出場となってしまう。本人にとって本番までいろいろ揺れ動くものがあるのだろうなと。作中でも、選手の一人ひとりのエピソードやその心情が描かれていたのは、読んでいて込み上げるものがあ りました。私自身が箱根駅伝に 出場できなかったので、そういったシーンに感情移入してしまったかとは思うのですが」

――小原さんはチームメイトが連合チームで箱根駅伝に出場していますが、チーム内の雰囲気はどうでしたか。

小原 「チーム内では選ばれた選手を応援しようという雰囲気でしたね。予選会でチームトップで走っていた力のある選手だったので、誰も批判するようなことはなかったです。作中だとチームメイト同士のわだかまりみたいなものが生じていましたが、公平に実力で選ばれているのでみんな素直に応援する流れでした。チームから箱根に出場する選手が出ると士気が高まるので、いい仕組みだと思います」


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ランナーズ11月号では、座談会「復路」全文とともに、池井戸潤さんサイン本『俺たちの箱根駅伝』を抽選で10名様へプレゼントキャンペーンを実施しています。ぜひご覧ください。



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