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大学4年時の箱根駅伝(2区)
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現在発売中のランナーズ7月号の表紙を飾るのは鈴木健吾選手と一山麻緒選手の世界最速夫婦。
マラソン日本歴代1、2位の記録を持つ鈴木健吾選手はファンや関係者の中で「フォームが綺麗(格好良い)」と評判です。かねてから"フォーム改善"に重点を置いている、恩師の神奈川大学・大後栄治監督(57歳)に話を聞きました。
健吾が高校2年生の時にレースを走っているのを見てスカウトしました。当時はまだ全国的には無名でしたが、ランニングフォームに全く"力み"がなく心地よいテンポで走っていたからです。
"力みがない"とはどういうことかというと、各関節の動き(可動)に無駄がなく、力点と脱力点のタイミングが良く、足が地面に着地した時に得られる反力を効率的に推進力に転換できることです。そのため、エネルギーロスが少なく、身体が受ける衝撃も軽減されていることが予想できます。
たとえば彼は強化合宿中の血液検査でハードな練習をしているにも関わらず、筋繊維細胞の破壊度を想定できる「CK」(クレアチンキナーゼ)が他の選手と比較してあまり上がりませんでした。また、日頃からジョグの量が多くて、大学3年の箱根駅伝予選会で日本人トップになった翌日にも30kmをひとりで走っていました。このようなことができるのはランニングフォームに"力み"がない、すなわち筋肉や関節にかかる負担が少ないからです。一言で言うと最高の省エネ走法ですね。
"力み"がない走りを体得するための基本となるのは姿勢です。
日頃から正しい姿勢を保持していなければ、ランニング中にも無駄な動きが発生します。そのため神奈川大学陸上部では朝練習の最初に必ず「正しい姿勢で真っすぐ立つ」ドリルを行い、その後に「四股」「ランジ」「縄跳び」「ラダートレーニング」などを行った上でランニングに入っていきます。
彼が大学生の頃は1kmあたり2分52秒前後を切るペースになると急激に「力み」が生まれていたので、2分50秒前後から40秒台が目安になるトラックでは、勝負することができませんでした。それが実業団に入って上半身の筋力をアップしたことでランニングスキルが向上し、1万mで27分台をマークするようになり、マラソンのペースに対して余裕度が生まれたように感じます。これが日本記録につながったのではないでしょうか。
上半身の筋力が高まれば肩甲骨の可動域が高まり、それに伴い股関節がダイナミックに働き、ストライドが自然と広がります。
私自身、箱根駅伝や全日本大学駅伝で好成績を残したいという気持ちはありますが、各選手の身体の発達度合いによって、求める課題を設定する必要性があると考えます。その意味で教え子が日本記録を出してくれたことに対しては、充実感や達成感を与えてくれたように感じています。夫婦で迎える世界陸上は持てる力を全て発揮してほしいです。
現在発売中のランナーズ7月号では鈴木選手、一山選手が語るオレゴン世界選手権に向けての想いを掲載しています。
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