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世界から学ぶ「日本のハーフマラソン活性化プロジェクト」

2022年4月07日
ヨーテボリハーフマラソン(写真/Glenn T Unger)
ヨーテボリハーフマラソン(写真/Glenn T Unger)

ランナーズ5月号ではハーフマラソンを特集しています。
ハーフマラソンは「年間を通じて高頻度で」「走歴が浅くても」出場できるなどのメリットがあります。
大会数も参加者数も多いハーフマラソンが今よりもっと面白くなれば、日本のランニング界はもっと魅力的になる(はず)!!
また、海外では「幅広い層が」「健康促進の一環として気軽に」参加できる種目としてハーフマラソンが大人気。1万人以上の参加者が都市部を走るレースも、数多く開催されています。世界のトップ選手を招待していること、主催者が民間団体であることも特徴です。
今回は世界最大規模を誇るスウェーデンの「ヨーテボリハーフマラソン」をご紹介します。
大会を盛り上げるための仕掛けが数多くなされています。


観衆は約20万人、人口50万人の街を6万人が走る

スウェーデンの人口第2の都市「ヨーテボリ」。1980年に参加者1800人で始まった大会は徐々に規模を拡大し、今では毎年5万人以上が参加。イギリスのグレートノースランと並んで世界最大規模のハーフマラソンと言われています。1994年には米誌「ランナーズ・ワールド」で世界のロング・ディスタンスレース・ベスト10に選出されました。沿道の観衆は約20万人、海に面した街を一周するコース上では50の音楽バンドが演奏します。
ウエーブスタートは約25グループに分かれて約3時間かけてスタートをきっていきます(ヨーテボリに本拠を置く自動車のボルボ・カーズからは従業員約1,500人以上が参加)。また、レースが開催される週は11.5kmのトレラン、リレー、知的障がいがあるランナーやキッズのためのレースが行われ、週全体での参加者は約8万人(メイン種目のハーフマラソンは土曜開催)。木曜から土曜にかけての3日間は混雑と大気汚染への配慮から、街の公共交通機関が無料になります。


◎2015~2016年に同大会に参加した野上麻理さんの出走記

仕事の関係でスウェーデンの首都ストックホルムに次ぐ第2の商業都市であるヨーテボリに2015年から2年間住むことになりました。「ここには世界でもっとも大きなハーフマラソンがある」と聞きヨーテボリハーフにエントリー。出場してみるとびっくりの連続でした。
前日にドームで受付があるのは日本の都市型大会と同様でしたが、6万人規模の大会はスタートの仕方が違う。
約6万人がおよそ2,500人ごと、全25のグループに分かれ、3~5分ごとに時間差でスタートしていくのです。第1グループは13時、最終グループは16時です。どのグループに入るかは持ちタイムによって(主催者によって)決められ、私は後方グループ。
15時39分にスタートする際は、前半グループの人が続々とゴールしてくるタイミングでもありました。
走り出してまたびっくり。港のある街をぐるっと一周するのですが、3~4kmおきにバンドがいるほか、沿道にテーブルを出してランナーを肴にパーティーをしている住民がたくさん! 人口50万人の街で開催される参加者6万人以上のレースは街全体で盛り上がるイベントなのだ、と新鮮でした。
レース後、ランニング仲間の自宅で打ち上げをしながら「どうせ多くのランナーに出場してもらうなら世界一を目指そう」と、主催者と街が一体となって、現在の規模・方式になったと教わりました。また、スウェーデンには学校のクラブ活動がない代わりに地域に各種スポーツのクラブチームがあり、この大会には地元のクラブチームがボランティアとして運営に関わっていることを知りました。

次回(4月8日)はランニングコーチの金さんと経営学者の小川さんが「経済的視点で考えるハーフマラソン活性案」の対談を掲載します。


バンド演奏がランナーを盛り上げる(写真/Glenn T Unger)
バンド演奏がランナーを盛り上げる(写真/Glenn T Unger)

現在発売中のランナーズ5月号では他にも海外のハーフマラソン事情を掲載しています。


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