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箱根予選会で古川選手は1時間4分10秒でゴール
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来年の東京箱根間往復大学駅伝競走の開催が近づいてきている中、多くのメディアで取り上げられているのが、関東学生連合に選出された東京大学大学院博士課程1年の古川大晃選手。月刊ランナーズでは古川選手に、予選会やご自身の研究テーマ「人の後ろを走るとなぜ楽なのか?」について手記を寄せてもらっていた。
私は熊本県八代市の進学校で陸上競技を始め、タイムが伸びていく中で箱根駅伝に憧れを持ち始めました。高校3年時の5000mのタイムは15分台止まりでしたが、箱根常連校の監督が誘いにきて下さったこともあり、箱根駅伝出場を熱望するようになりました(編集部注:高校トップ選手のタイムは13分台~14分前半)。しかし、経済的な事情もあって断念しました。
その後、1年間の浪人を経て熊本大学に進学し、陸上に取り組みました。ここで練習環境に恵まれ、全日本大学駅伝に日本学連選抜として出場、熊本城マラソン二連覇等の成績を収めることができました。
そうして走りと向き合う中で、いくつかの疑問が生まれてきました。
そのひとつが「人と一緒に走るとなぜ楽になるのか?」です。
特に、前のランナーの後ろについて走る「追尾走」の状況下では、ひとりでは維持できないペースを維持することができます。しかも、時には「きつさ」まで軽減されます。その感覚が不思議に思え、アカデミックな分野でこれを検証してみたくなったのです。熊本大学卒業後は陸上と研究にとって最適な環境を求め、九州大学大学院の修士課程に進学。そこで研究の面白味を知り、今年の春さらに研究内容を深掘りすることができる東京大学大学院(総合文化研究科)に進学しました。
追尾走をすると楽になる要因は様々あると思いますが、よく知られているのは空気抵抗の低減です。第二に、意識の焦点に変化が起きることです。追尾走中は前のランナーに意識が向きやすく、単独走に比べて外的焦点が増えると考えられます。また、いくつかの研究では、「外的焦点の増加」のほうが「内的焦点の増加」よりも、身体への負荷やきつさを抑えられることが示されています。
東京に来たことで、箱根駅伝を目指すチャンスが訪れました。私を含めて東大大学院の選手10人が箱根駅伝予選会の参加標準記録を突破したため、チーム(大学院)としての予選会出場権を獲得することができたのです(※1)。
頑張れば学生連合の一員として箱根を走れるかもしれない、と思い、今年の7月後半から予選会を意識した練習を開始しました。大学院のチームメイトで、2020年の箱根駅伝で関東学生連合10区を走った阿部飛雄馬君が練習パートナーを務めてくれ、9月には青山学院大学の合宿やハイレベルな市民ランナーの練習会に参加させていただきました。
そうした準備を経て、箱根予選会に臨みました。目標は、箱根駅伝本戦出場を逃した大学の選手の中で10番以内に入ること(学生連合チームに選出される基準であるため)。スタート後は大きな集団の中央から後方で、空気抵抗をできる限り減らしながら走りました。15kmまではほぼ予定通りのペースでしたが、その後にキロ3分9秒までペースダウン。ここからさらに研究の内容を活かして、前を走るランナーの動きに焦点を合わせ、「きつさ」から意識を外すようにしました。その結果、箱根駅伝本戦出場を逃した大学の選手の中では14位。
目標には届かず、本戦出走の厳しさを肌身で感じました。
今年、関東学生連合に選出された10人のタイムを合算すると、例年にも増してハイレベルでした。現状で僕はチーム(関東学生連合)内の14番手であり、箱根駅伝本番での出走は厳しいポジションであることを認めつつ、関東学生連合の一員になれたことを誇りに、出走の準備を進めていきたいと思います。
(※1)関東学生連合チームは本戦の出場権を得られなかった大学から予選会の上位者が選出されて結成される(各校1人などの条件あり)。
(※2)箱根駅伝予選会に出場できるのは公認記録「1万m34分以内」の参加資格を有する選手が10人以上いる大学
古川選手の手記全文は現在発売中のランナーズ1月号に掲載しています。
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