9月16日(日)に開催されたベルリンマラソン(ドイツ)の取材に行きました。エリウド・キプチョゲ選手(ケニア)が2時間1分39秒の世界新記録を出したことは報道されている通りですが、キプチョゲ選手が前日の記者会見で「好調」を宣言するなど、ベルリンではレース前から「世界新記録」への期待が高まっていました。
エリート選手を招待するレースの多くは、記録更新をアシストするためにペースメーカーが30km前後まで一定のラップを刻みますが、ベルリンマラソンの〝お膳立て〟はそれだけではありません。先頭集団の前を走る車から「リアルタイムのペース」「ゴールタイム予測」「1㎞毎のラップ」「世界記録に対するタイム差」が表示されているため、先頭集団のランナーは「今のペースで走り続けたら世界新記録を樹立できる!」等の情報を常に把握することができるのです。
10年以上前に、ランナーの「リアルタイムペース測定システム」を開発したのが、物理学者のヘルムート・ウィンター (68歳)さんと、地理学者のショーン・ハートネットさん(65歳)。ともにサブスリーをマークした経験を持つランナーです。
「世界記録更新に挑むランナーを見て『彼らの限界値を高くすることに貢献したい』と考えたことが、『リアルタイムペース測定システム』を開発したキッカケです。私も走っているのでよく分かりますが、マラソンはペースコントロールを上手くするほど持っている力を発揮できることに着目したのです。今はGPSでペースを測ることができますが、GPSは衛星環境や坂によってわずかなタイム差が生じることがあります。その点、200m毎にタイムを測定するこの方法はより正確だと自負しています(ウィンターさん)」
ちなみに今大会のキプチョゲ選手はハーフを1時間1分6秒で通過し、後半は1時間0分33分にペースアップ。世界記録更新の陰には地元ベルリンの市民ランナーの活躍もあったのです。
(ランナーズ編集部/黒崎)
※ウィンター さん、ハートネットさんが開発した「リアルタイムペース測定システム」はシカゴマラソン、ドバイマラソン、ヒューストンマラソンなどでも採用されています。
左がヘルムート・ウィンターさん、右が地理学者のショーン・ハートネットさん
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通常、マラソン大会にはスタートからのタイムが表示されています。しかし、ベルリンマラソンの先頭を走るランナーには「リアルタイムのペース」「ゴールタイム予測」「1km毎のラップ」も表示されているのです
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前日の記者会見で好調を公言したキプチョゲ選手(真ん中)
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世界新記録更新を市民ランナーに伝える大会スタッフ
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