「人生には3つの坂がある。上り坂、下り坂、“まさか”だ。特にマラソンは“まさか”の連続だよ」
これは、ジャカルタ・アジア大会で、32年ぶりに男子マラソンの金メダルを獲得した井上大仁選手(MHPS)が、大学1年生の夏に、所属する山梨学院大学の上田誠仁監督にかけられた言葉です。
井上選手は高校時代、全国大会に出た経験が無く、大学に入ってからもしばらくは、右足首の故障などで、なかなか走れない日々を過ごしていました。悩む井上選手を誘い、山梨県甲府市にある渓谷「昇仙峡」を目指してサイクリングに行ったときのことを、上田監督はこう話してくれました。
「そこは自転車を担いで上るような場所があったり、頂上だと思っていたら、更に上があったり、予想もしていなかった道が続きます。井上は『まだ登るんですか?』と聞いてきましたが、そこで『3つの坂』の話をしたんです。こんな“まさか”に動じてはいけない、と」
それ以降、井上選手はどんどん記録を伸ばし、箱根駅伝に4年連続で出場。2月の東京マラソンでは、2時間6分54秒の日本歴代4位を記録しました。
アジア大会では、ラスト数十mで競り合うバーレーンの選手と接触するシーンがありましたが、動じることなく、振り切って1位でゴール。7年前に恩師からかけられた言葉を、井上選手は大きな舞台で実践してみせました。
※現在発売中の『ランナーズ』10月号には、上田監督が駅伝やランニングの本質を綴る人気連載「疾風勁草知(しっぷうにけいそうをしる)」が掲載されています。また連載「恩師への手紙」では、トレイルランニング世界選手権代表で、山梨学院大OBの荒木宏太さんから、上田監督への手紙を公開しています。ぜひご一読ください。
(ランナーズ編集部/栗原)
![]() 2月の東京マラソンでゴールする井上選手(写真/青山義幸)
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