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32歳で日本人経産婦として初の2時間30分切りを達成した田中千洋さん。現在、長女の希実さんは女子1500m、5000m日本記録保持者だ。育児とランニングについて本誌で語った。
たなか・ちひろ
1969年生まれ。29歳で出産後、日本人経産婦として初の2時間30分切りを達成。1997年・2003年北海道マラソン優勝、フル2時間29分30秒(2002年名古屋国際女子)。女子1500m・3000m・5000m日本記録保持者の田中希実選手の母
1998年12月、赤ちゃんがお腹にいるとわかった時、もうマラソンはやめようと思ったんです。でも主人が「日本で初めて出産後に2時間30分を切ったランナーになろう」と言ってくれたので、出産後も競技を続けようと決意しました。
妊娠中は走らずに、水泳とウォーキングを1日おきに、1回30〜60分行っていました。当時は参考資料も少なく、走っていて「もし何かあったら」と思うと怖くて走れませんでした。
99年9月に長女を出産し、身体は比較的順調にもとの体力へと戻っていきました。産後1カ月からウォーキングなどを始め、4カ月で10kmレースを37分台で完走。ジョギングなら20km近く走れていて、走る感覚は出産前と変わりませんでした。
でも子育てをしながらのランニングが楽だったわけではありません。子どもがミルクを受け付けなかったので、数時間おきに母乳をあげなくてはなりませんでした。胸が張っていると走りづらいので、練習に行く前はあらかじめ母乳を出して、冷蔵庫に保存してから外へ出ていきました。
また子どもが熱を出せば私も風邪をうつされてしまうなど、走る時間と機会を作るのに本当に苦労しました。
何よりも辛かったのが、練習に行こうとすると、子どもに泣いてしがみつかれた時です。私は元実業団選手の夫と練習に行っていたので、2人同時に家を空けることが多かったのです。その間子どもはお互いの両親に預けましたが、こんな想いをさせてまで走ってもいいのかと、精神的に随分葛藤がありました。そんな中でも、夫の励ましや家族の協力により、練習は続けることができました。出産前は月間600〜700kmだった走行距離を400〜500kmにし、インターバルよりもペース走を増やしました。
そして出産から2年6カ月後の名古屋国際女子マラソンで、2時間29分30秒。32歳にして念願だった2時間30分を切ることができました。支えてくれた人たちに感謝すると共に、私の走りが、同じママランナーの励みになってくれればと思います。昔は泣いて練習を邪魔していた娘も、今では「大きくなったらマラソンランナーになる」と言ってくれています(笑)
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