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たとえばマネージャーとして異動した先の部下が全員初対面の出向社員で、「1カ月で結果を出せ」と言われたらどうするだろうか。関東学生連合チームの監督はそれに近い役割を果たす。今年の連合チームはオープン参加でなければ1区が区間新、復路は7位相当と大健闘。12月10日にメンバーが決まり、その3週間後にレース本番の強行軍だった。大学も学年もバラバラなチームでどのように箱根路に挑んだのか。
文/吉田誠一
10月に箱根駅伝予選会が終わった数日後。11年ぶりに本選出場を逃した法政大・坪田智夫駅伝監督のもとに一本の電話が入った。関東学生連合の監督をしてほしいという依頼だった。「正直、やりたくなかったですよ。でも、断われるか聞いてみたらダメだと言われました(笑)」坪田監督が最初に考えたのは、10人をどう選ぶかだった。
「区間の決め方は毎回、その時の監督に委ねられていますが、個々の強さや練習状況までは把握できません。だから重視したのは公平性です」そこで、「ポイント制」を採用した。
「箱根駅伝予選会のハーフマラソンと、12月10日(チームエントリー)までに走った1万m、合宿での5000m×3本。このタイムをWA(世界陸連)のスコアリングテーブルでポイント化しました。WAなら文句のつけようがないでしょうから」その上で、学生連合チームのスタッフとなった大志田秀次コーチ(明治大)と長谷川淳コーチ(専修大)に意見を聞いた。
「『予選会の順位も入れてはどうか』と提案されたので、予選会の個人順位とチーム順位をそれぞれ『1位16点~16位1点』と加算することにしました」12月10日に登録メンバーが確定し、その週末は千葉・富津で合宿。2日目に最終選考となる5000m×3本を行った。
「駅伝を見据えて単独走にして、レストは5分。追い込みすぎないように、ポイントは14分30秒を上限にしました。非常に緊張感がありました。ただ、エースだと考えていた東大の秋吉拓真君が11月に体調を崩した影響で本調子ではなく、予想よりもポイントが僅差になったので、メンバーに入れるのかハラハラしました」
選手が直接顔を合わせたのは12月10日のエントリー発表の際と、この富津合宿だけ。
「どんな感じなのかと心配していたのですが、食事の時はみんなで騒いでいたりして、明るくていい雰囲気でした。私が『これだけ走れるならトラックでもいいタイム出せるよ』と声をかけた選手からは『そう言っていただけてうれしいです』と感謝されたりもしました。『次の箱根予選会は頑張らなくていいからね』と伝えました(笑)」
出走10人の区間配置は合宿終了後に改めて電話でポイントの高い順に区間を選ばせた。
「ポイント1位の川崎颯君(筑波大)が1区、2位の大島史也君(法政大)が3区を希望したので、『1区と3区以外は空いているけど、どこがいい?』と順番に一人ずつ電話で聞いて区間を埋めていきました。最後に残ったのが6区で、これもすんなり決まりました。例年であればいくつかの大学から『なぜこの区間配置なんだ?』と問い合わせが来るそうですが、今回は一本もありませんでした」
ところが、直前にアクシデントが起こる。4区の大湊柊翔(明治大)が発熱でレース前日に辞退。補欠1位の上山詩樹(専修大)も不調で出走が見送られ、坪田監督は補欠2位の本多健亮(東京大大学院)に打診した。
「東大の近藤秀一コーチに電話して、本人にも意思を確認したら『やります』と即答でした。『コース分からないよね?』と尋ねると『分かりません。でも、行きます』と。念のため補欠3位と4位の大学にも『もしもの時に備えてください』と連絡しました」
区間エントリー前日の12月28日にはオンラインで体調の確認と必要事項の伝達はしたが、選手の付き添いや給水は各大学に任せて本番を迎えた。
「何度も集合しても負担になりますし、結束を固めることよりも調整を優先させました。『11時間切り』と『15位相当以上』という目標は掲げましたが、オープン参加で順位もつかないので、選手たちが連合チームでの経験をどう生かせるかを重視しました。選手には『競技を続ける人も引退する人も、箱根駅伝に関わったことを次の一歩に生かしてほしい』と伝えました」
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