※本記事は『ランナーズ2026年3月号』掲載内容になります。
3分24秒差を逆転して往路の優勝テープを切った青山学院大の黒田朝日選手
写真/青山義幸、菊池陽一郎、ランナーズ編集部 |
第102回箱根駅伝は青山学院大が大会新記録で3連覇を果たし、1区、2区、5区、8区、10区で区間新記録が生まれるハイレベルなレースとなった。なかでも圧巻だったのが青山学院大の5区・黒田朝日選手。従来の区間記録を1分55秒更新する1時間7分16秒(20.8km)で走破した。黒田選手の走りの特長を、早稲田大時代に5区で2度区間賞を獲得した金哲彦さんが解説。今回から編成ルールが変更された関東学生連合チームにも着目した。
黒田選手のタイムは想像はしていました。青山学院大の原晋監督も事前に『1時間7分台は出る』と言っていましたし、夏合宿で上りの練習をした時には前回5区で区間記録を出した若林宏樹選手よりも速かったのです。平地も2区で区間賞を取り、区間記録も更新するエースと言える選手ですし、もともと上りにも強かった。だから『彼ならやるだろうな』という感覚はありました。
では、なぜ速いのか。私が考えるのは上りでもストライドがほとんど縮まらないことです。上り坂を速く走るポイントは身体の角度、重心の位置、上半身と下半身の連動ですが、黒田選手は身体をコントロールする能力が非常に高く、シューズの反発をうまく使って弾むように進みます。これまで5区で〝山の神〟と呼ばれた柏原竜二選手(東洋大)と神野大地選手(青学大)はパワーで踏ん張って〝グイグイ〟上るタイプで、今井正人選手(順天堂大)は〝スイスイ〟。パワーに頼ると出力が長持ちしないのでマラソンは難しい面もあるのですが、黒田選手は〝スイスイ、グイグイ〟、つまり両方を持ち合わせていて、上り坂を平地のように走れます。予定している別府大分マラソンは速いペースになりにくいので日本記録までは届かないかもしれませんが、将来的にはマラソンで成功するタイプだと考えています。
ほとんどのフルマラソンでも途中に坂道があります。市民ランナーにとっても上りで強く踏み込むのではなく、黒田選手のようにシューズの反発を生かした弾むような走りは参考になると思います。
現在のコースになった2017年以降、箱根駅伝5区の区間賞と区間2位との差は最大でも24秒だった。それが今回は2分12秒に広がった。1kmあたりの平均では黒田選手は3分14秒、従来の区間記録は3分19秒だった。
| 2022年 | 1時間10分33秒 | 11秒 |
| 2023年 | 1時間10分04秒 | 15秒 |
| 2024年 | 1時間9分14秒 | 18秒 |
| 2025年 | 1時間9分11秒 | 20秒 |
| 2026年 | 1時間7分16秒 | 2分12秒 |
※現在のコースになった2017年以降
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