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ロンドンで人類初の2時間切りが誕生!「驚異的ペースアップの裏側」②

2026年5月01日

1978年の本誌予想は「人類の限界は1時間50分」

ランナーズでは過去に「フルマラソン2時間切り」に関する記事を何度も掲載した。その内容を紹介するとともに、今回達成された記録との「答え合わせ」をしたい。

1978年7月号の誌面
1978年7月号の誌面

本誌創刊間もない1978年7月号では「マラソンの記録はどこまで伸びるか?」という特集で、早くもこの話題に言及している。君原健二さんの指導者で、当時東海大学教授だった高橋進さんは、「ケニアあたりの選手がマラソンに本格的に乗り出した時、一気に大幅な記録更新が実現する」と予想。
2時間切りについては、当時の記録伸び率などから「早ければ23年後に突破できるだろう」としている(実際は倍以上の48年を費やした)。そして、2時間切りをできるランナーの条件として「5000m12分35秒、1万m26分0秒の走力」を挙げている。今回2時間切りを達成したセバスチャン・サウェ選手はロード中心のランナーだが、初マラソンで2時間を突破したヨミフ・ケジェルチャ選手は5000m12分38秒、1万m26分31秒という自己ベストを持つのでかなり近い。
1978年の本誌予想は人類の限界は1時間50分1978年7月号「マラソンの記録はどこまで伸びるか?」さらに、高身長のランナーが大きなストライド(175~185㎝)で、想像を絶する努力によって速いピッチ(210~220歩/分)を獲得した時は「1時間50分前後が見え、それが人類の限界となる」という、大胆な予想もしている。


記録伸び率からの推測では「2028~30年達成」と僅差

2005年3月号の誌面
2005年3月号の誌面

2005年3月号ではランニング学会初代会長の山地啓司先生が連載で「夢の1時間台突入は25年後?マラソンの記録はどこまで伸びるのか」を執筆。記録予測の方法として①過去のそれまでの記録から年間の伸び率を求めて推定する方法②1万mの記録から推定する方法③生理的可能性から推定する方法、の3つを紹介した。そして研究者らが伸び率から推測した2時間切りの到達年は「2028年」と「2030年」だったとしており、これはかなり現実の「2026年」に近い年になっている。
生理学的視点からの予測としては、アメリカのジョイナー博士による「世界のマラソンランナーの最高値である最大酸素摂取量が84ml/㎏/分、その維持能力=乳酸性作業閾値が85%をそれぞれ当てはめ、マラソンの限界は1時間57分48秒」という数値を紹介。これは近年登場した厚底シューズが考慮に入っていないことから、さらに上回る可能性もあるかもしれない。


人類初の2時間切りが誕生

2011年3月号の誌面
2011年3月号の誌面

1万m世界記録保持者が日本式トレーニングで達成?

2011年3月号には「フルマラソンでいつか2時間は切れるのか」を掲載。これは2010年秋にアメリカの科学誌が「フルマラソンで最初に2時間を切るのはどんな選手でいつ頃可能か?」と世界中の研究者に投げかけたテーマに対し、回答レターを投稿した日本体育協会スポーツ科学研究室の森丘保典先生と東京マラソン財団理事長や日本体育協会スポーツ科学研究室長を務めた伊藤静夫先生が対談した企画。レター集では、「ランニングエコノミー」「体温調節」「遺伝子」をポイントに挙げる研究者が多かった中、森丘先生のグループは「1万m世界記録保持者(当時)のケネニサ・ベケレ選手に走行距離を重視した日本式トレーニングをさせる」という内容だった。当時の日本のマラソン歴代トップ10の持久係数(フルマラソンのタイムを1万mのタイムで割った数字。低い方が1万mに対してマラソンが速い)の平均が4.52だったことから、ベケレ選手の1万m26分17秒にこれを当てはめると1時間58分48秒になるとしている。
今回、実際に2時間切りを果たした2人の持久係数をみると(1万mまたは10㎞のベストで計算)、サウェ選手(26分49秒と1時間59分30秒)が4.46、ケジェルチャ選手(26分31秒と1時間59分41秒)が4.51となり、いずれも4.52より低い持久係数となった。
サウェ選手は週240㎞走っているそうで、月間に換算すると1000㎞以上となる。これは日本のマラソン選手と同等の走行距離。シューズや補給の進化に加えて、森丘先生の回答レターと近い方向に進んだ結果2時間切りに結びついたといえるかもしれない。






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