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ニッポンランナーズを立ち上げた直後の2002年から金哲彦さんが担当した「サブスリー道場」。ランニングフォームやトレーニングの基礎を身につければ、「誰でもサブスリーはできる」と力強く宣言した。
市民ランナーでサブスリーを達成しているのは、ほんの一握りの人たちです。そのため、素質がなければ無理だとか、ものすごい量のトレーニングが必要だとか、そんなふうに思われているみたいですね。でも、特別な素質も、生活を犠牲にするような膨大なトレーニングも必要ないと私は考えます。誰にだってサブスリーはできるんです。ある時サブスリーまであと少しという女性ランナーにアドバイスする機会があったのですが、下脚だけでちょこちょこ走っているんです。走りの基礎を身につけるだけでサブスリーできると思いましたね。
市民ランナーの走りを見たり、トレーニング方法を聞いたりすると、改善すべき点をたくさん抱えているようです。つまり、まだまだ伸ばせる余地をたっぷり残しているということ。もうこれが自分の限界と思っている人たちも、あきらめないでほしいです。
サブスリーを達成するにはスピードが必要だと考える人が多いみたいですが、これも間違いだと思います。1㎞4分15秒ペースで走り続けることができればゴールは2時間59分ですが、1㎞だけなら多くのランナーがこのペースで走れるはず。子どものころ、運動会でいつもビリだった人だって走れるペースです。つまり、サブスリー達成に、スピードなんかいらないってことですね。
大切なのは、いかに楽に1㎞4分〜4分15秒程度のペースで走れるか、ということ。そのためには、がむしゃらにスピード練習を行うより、走りの基礎を身につけることのほうがずっと大切でしょう。こう考えてみると、皆さんにとってサブスリーというのは、実現不可能な目標ではありません。富士山の頂上は山裾から眺めれば遙か高い所にありますが、実際に登ってみれば誰にでも登頂できます。ちょうどそんな感じ。確かに現在のレベルの違いで到達までの時間の差はあるでしょうが、とても無理と思っている人でも、きっと達成できる目標です。
何年も頑張ったが駄目という人は、道に迷った登山家のようなもの。間違った努力を重ねてしまったんでしょう。道さえ間違えなければ、きっと頂上に行き着くことができます。
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現在、環太平洋大学で日本トップレベルの中距離選手を育成している吉岡利貢教授は2009年、自身の経験や科学的理論をもとにした「故障せずにサブスリーを達成する方法」を誌面で伝えた。
市民ランナーの多くが走行距離、すなわち「量」をトレーニングの指標としています。しかし、走行距離の多さ=マラソンの結果、ではないように、「量」だけでマラソンのパフォーマンスを決めることはできません。
その違いを決める要因として、まずトレーニングの「強度」が挙げられます。そして、量と強度のバランス、トレーニングと休息のバランスなど、トレーニングライフ全般の性質でもある「質」もまた、パフォーマンスの違いを生み出す主要な要因となります。
マラソンパフォーマンスは、①最大酸素摂取量(VO2max)、②ランニングエコノミー、③乳酸性作業閾値(LT)の3つの体力要素から大部分が決定され、フルマラソンのタイム向上にはこの3要素のレベル向上が不可欠ですが、走り始めはただ走るだけでも、この3要素全てを高めることができます。しかし、走力が上がってくると、1つのトレーニングで3要素全てを鍛えることは難しくなります。練習量にも限界があります。
そこで重要になってくるのが、各要素別に的を絞って強化することです。レベルの高いランナーほど、スピード練習やペース走といった多種類のトレーニングを行う必要性が出てくるのは、そのような理由からです。しかし、このような多種類のトレーニングの実行は、故障するリスクを高めたり、時間的問題で行えない人もいます。
それに対して私がお勧めするのが「ジャンプやスキップでランニングエコノミーを高めること」「自転車と坂道を使ったトレーニングでLTペースを速くすること」「サーキット的筋トレをした後のジョグで脂質代謝機能を高めること」といった、故障のリスクが低くなおかつ短時間でも実践できるトレーニングです。現在、タイムの伸びが鈍化、もしくはストップしている人には是非行っていただきたい内容で、継続して行えば必ず身体能力は上がります。
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現役時代は1万mで世界陸上に出場、引退後は城西大学を箱根駅伝に導き、40歳を過ぎてから2時間20分台を記録した平塚潤さん。トップ選手のノウハウから「様々な刺激を与えることがサブスリーへの道」と伝えた。
市民ランナーの皆さんがサブスリーを達成するために重要なのは、練習の効率を上げることです。私は市民ランナーと交流して、サブスリーを目指す方々が非常にハードな練習に取り組んでいることを知りました。同時にそれを活かすための知識が欠如していることも知りました。その結果、練習の効率が悪くなっています。サブスリー目前で伸び悩む人が多いのは、量を増やしたりするだけでは、到達できないレベルに達している証拠だからです。
具体的には「練習の組み合わせ」と「フォーム」です。この2つの効率が上がると、レースペースに対しての余裕度が高まり、失速を防げるのです。練習については、土曜日と日曜日にいずれもポイント練習をするセット練習で身体に大きな負荷を与えたり、朝に10〜15㎞走り夕方にも5㎞以上のジョグをすることでポイント練習のような効果を持たせたりします。フォームに関しては内転筋を鍛えるワイドスクワットなどをすることで、ガニ股や腰の落ちを防いでスムーズに前に進むことができるようになります。
実際にサブスリーを達成した人々に聞くと「脚筋に強い刺激が入るトレーニング」が共通していました。それは、「セット練習」「定期的なレースペース走」「スピード練習」「クロカン走」など様々な方法です。これは良い意味で「火に油を注ぐ」ことです。定期的に走っていることで養った基礎となる走力(灯)に、刺激(油)を入れると、走力(火)は一気に高まる(燃え上がる)のです。年間を通して走っている人だからこそできることでもあります。
キロ4分15秒で42.195㎞走り続けることは簡単ではありません。生まれもったセンスや運動経験によっても異なりますが、身体と心に対して「様々な負荷」を「段階的」に与え続けた人こそたどり着ける領域。それが「サブスリー」という名の勲章です。
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