速く走るために実践している脳の活用術を聞きました。
顧問からの激励が力になった高校時代
|
ゆげた・まりこ(68歳)
60代女性として世界初のサブスリー達成。昨年の神戸マラソンで67歳で2時間58分59秒をマーク。
2025年の箱根駅伝2区は、ベストレースのひとつです(区間賞・区間新記録)。走り出した瞬間から自分の身体が力強く感じて、「今日はいける」という確信がありました。15㎞と20㎞の上り坂はきつかったですが、どのレースよりも多い沿道からの応援も力になりました。
一番苦しかったラスト3㎞の上り坂では、途中で脚が止まりそうになりました。そのとき頭に浮かんだのは大学や駅伝部の仲間、そして家族のことです。ケニアでは母と6人きょうだいで暮らし、1日1食で食べ物が満足にない時期もありました。
いま自分が走ることで家族を支えている――。それを思うと、どのレースでも身体をもう一度動かせるんです。
ケニア人ランナーの多くは家族を養うために走っています。厳しい環境で生きていくには、自分を信じる心が必要です。だから成長するにつれて、自然とメンタルが強くなっていきます。僕もレースで苦しいとき、自分を信じて心を強く持ち、困難を乗り越えようと自身を奮い立たせています。
皆さんもレースの後半に苦しくなったときは、たとえ根拠がなかったとしても「自分ならできる」と自分を信じて走ってください。
「自分の走りが家族を支える」とラストスパート
|
リチャード・エティーリ(22歳)
ケニア出身。東京国際大学人間社会学部4年。5000m・1万m・ハーフマラソンの日本学生記録保持者
私の会心のレースの1つが、銀メダルを獲得した2021年の東京パラリンピック1500m決勝です。 このレースではブラジルの選手がトップで独走し、私は500m地点から2位争いを引っ張っていました。最後の1周、後ろのロシアの選手が追いかけてきていることが足音で分かり、必死に逃げました。
最後の直線ではさらに足音が迫る中、練習でも出たことがないような力が出て、ラスト10mで銀メダルを確信、そのままフィニッシュしました。
このレースのように、私が主なモチベーションにしているのは「音」や「数字」です。周りのランナーの足音や、伴走者が伝える残りの距離やタイム。さらに苦しさが増した時は「あと◎歩頑張ろう」のように、歩数を数えながら走ることもあります。
一般ランナーのように視覚から脳に刺激を与えられない分、聴覚をキッカケに脳に刺激を与えているのだと思います。
また、練習時に意識しているのは毎週別のメニューを行うこと。例えば30㎞走を2㎞速く3㎞ゆっくりの変化走にしたり、400m10本のインターバル走でも100mジョグでつなぐ日と200mジョグでつなぐ日を設けるなど、多くのバリエーションで行います。
マンネリ化を防げるので、脳に多くの刺激を与えながら新鮮に練習に取り組めると感じています。
足音が迫るプレッシャーでリミッターを解除
|
わだ・しんや(49歳)
パラリンピックで3つのメダルを獲得しているブラインドランナー。フルのベストは2時間23分27秒(2024別府大分)。
力を発揮するにはポジティブでいることが大切。身体が限界を超えると脳は頑張れなくなるため、練習不足なら目標をあえて低くしたり、どのくらいのタイムが出せるか力試しを楽しむ気持ちで前向きになりましょう。
また、前半から飛ばしすぎると体内のグリコーゲンが激しく消費されます。そうすると脳のエネルギーもなくなってしまうので、脳の力を生かせません。
レースでは「少し速いけど話せる」ペースをキープしましょう。
(山本正彦先生/2016年3月号「マラソンは脳力だ」より)
Q. レースの途中で飽きます
A. 周囲のランナーや自分自身のゼッケンに着目し、横並びの数字を足し算、引き算、掛け算、割り算などをします。
数字遊びで脳を回転させることで退屈な気分を紛らわせます。
Q. 毎回歩いてしまいます……
A. 脳は自分が意識していることの関連情報を気づかぬうちに取捨選択していると言われています。
「今日も歩いてしまいそう……」などと思い込んでいると、少し脚が張ってきただけで「まずい!」と過剰に捉えてしまいます。
そこで、ポジティブな言葉を常に視界に入るようにします。他のランナーの背中に書かれたメッセージなど、元気なランナーに目を配りましょう。
(後藤敏雄コーチ/2016年7月号「今すぐ出来るランナー『脳トレ』」より)
※こちらから記事検索ができます。

ランナーズ9月号 7月22日発売!
脳のリミッターをはずして速くなる!
「僕は脳のリミッターをはずすことができるから、力を出し切れる」。1月のニューイヤー駅伝で22人を抜いたプロランナー・吉田響選手はそう語ります。「失速の原因は脳がブレーキをかけること」という理論を度々取り上げてきた本誌は今回、吉田響選手に「吉田流・脳のリミッターのはずし方」を徹底インタビュー。ランナーの実体験から、ランナーが脳のリミッターをはずして持てる力を最大限に発揮する方法を学びます。
ジョグジョグが聞く、教えて! あなたのMy Run, My Peace
純烈・後上翔太
50周年記念キャラクター・ジョグジョグが、走ることの魅力を探る連載第7回。今回は、歌謡コーラスグループ・純烈のメンバーとして、全国各地の温浴施設でも数多くのステージに立ってきた後上翔太さん(39歳)。「お風呂とマラソンの相性は最高。銭湯×ランニングの親善大使になりたい」と語る後上さんのランニングライフを聞きました。
夏を制する黄金タイムは?
朝ラン vs 夜ラン
これからの時期、日差しの強い昼間走ることは、とてもではないが難しい‥‥‥。では、いつ走るかというと、候補となるのは必然的に「朝」と「夜」の2つ。本企画では、朝ラン派と夜ラン派が実践談を通してそれぞれの利点を紹介。さらに、練習効果を倍増させる方法や、「朝起きてすぐに走り出しても大丈夫?」「夜にスピードを上げて走ると、その後なかなか眠れない」などのお悩みに専門家が答えます。
本誌購入は年会費7,800円「ランナーズ+メンバーズ」がお勧め!
「ランナーズ+メンバーズ」は毎月最新号が自宅に届く(定期購読)だけでなく、「デジタルで最新号&2011年1月号以降が読み放題」「TATTAサタデーランが年間走り放題」「会員限定動画&コラム閲覧可」のサブスクリプションサービス! 年会費7,800円の超お得なプランです。
※こちらから記事検索ができます。